しょうようじゅりん‐ぶんか〔セウエフジユリンブンクワ〕【照葉樹林文化】
照葉樹林文化論
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照葉樹林文化論(しょうようじゅりんぶんかろん)とは、1970年代以降の日本の文化人類学において一定の影響力を持った学説である。具体的には、日本の生活文化の基盤をなすいくつかの要素が中国雲南省を中心とする東亜半月弧に集中しており、この一帯から長江流域・台湾を経て日本の南西部につづく照葉樹林地域に共通する文化の要素は共通の起源地から伝播したものではないかという仮説である。また日本列島の縄文文化は照葉樹林文化の一種であるとの誤解を一部にまねいた。
- ^ 熊本大学の横山智「納豆菌プラスミドDNAによる研究」[1] 参照、トゥア・ナオについても記述。
- ^ 佐々木高明『日本文化の多重構造−アジア的視野から日本文化を再考する』小学館,1997,第三章ほか。
- ^ 中尾佐助『中尾佐助著作集第IV巻 照葉樹林文化論』所収の佐々木高明による解説、北海道大学出版会、2006年
- ^ 池橋宏『稲作渡来民』(講談社メチエ、2008年) 7頁
- ^ a b 池橋宏『稲作の起源』(講談社メチエ、2005年)
- ^ 同書61頁
- ^ 本書については山口裕文が書評(『照葉樹林文化研究会ニュースレター第二号』2008年1月)において「これまでにない悪書」「個人を標的にして事実無根の批判を繰り返し、関連する文献を深く調べず、あいまいな引用をともなう稚拙な論考」であるとし、そういった池橋の姿勢を「科学者としてもっとも恥ずべき」と苛烈な言葉で糾弾している。池橋は中尾が初期において麹酒をインド由来としたと記述するが(同書29,64頁)、中尾にそのような記述は存在しない。『栽培植物と農耕の起源』68頁では、インドには外来の酒しかないとし、ソーマも「果物の汁」とあるという。また、山口は、中尾の作業仮説を批判するのであればその仮説を乗り越えるような仮説を提出すべきだと批判した。本書評について池橋は直接応答していないが、2008年に『稲作渡来民』を発表し、照葉樹林文化論による稲作渡来説への批判的応答を行ったという(池橋宏『稲作渡来民』講談社メチエ、2008年)
- ^ a b 松木武彦『日本の歴史1:列島創世記』小学館、2007年
- ^ 縄文前期から中期、西日本の植生は照葉樹林であったが、東日本は暖温帯落葉広葉樹林である。
- ^ 上山春平・中尾佐助・佐々木高明『続・照葉樹林文化』(中公新書、1976年)
- ^ 佐々木高明『照葉樹林文化とは何か』(中公新書、2007年)
- ^ もののけ姫を読み解く
- ^ 『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』徳間書店87頁 なおフィルムコミック等では、「ワラット」と書かれる。「ワラツト」は特定の集団を指す語とされるが、他の集団である「石火矢衆」もこれを利用しているところから、特殊な雨具と思われる。
- ^ 家畜の飼育 利用をする地中海文化の影響が濃いらしい。
- ^ 日本土着の生物という設定。ニホンカモシカがアオシシ(青鹿)と呼ばれるのに対した語であろう。なお叶精作は「赤獅子」と表記しているが、作品にも絵コンテにもそのような表記は一切登場しない。
- ^ 『「もののけ姫」はこうして生まれた。』浦谷年良 徳間書店 81頁 念のため、文中宮崎は中尾を「京都の人だから」と紹介しているが、厳密には京都大学の人であって、中尾は愛知県出身である。
- 1 照葉樹林文化論とは
- 2 照葉樹林文化論の概要
- 3 影響
- 4 参考文献
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