無水硫酸とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 分子化学 > 硫酸 > 無水硫酸の意味・解説 

むすい‐りゅうさん〔‐リウサン〕【無水硫酸】

読み方:むすいりゅうさん

三酸化硫黄俗称


三酸化硫黄

分子式O3S
その他の名称無水硫酸、三酸化硫黄、Sulfuric anhydrideSulfur(VI) trioxide、Sulfur trioxide
体系名:硫黄(VI)トリスオキシド、硫黄(VI)トリオキシド


三酸化硫黄

(無水硫酸 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 21:02 UTC 版)

三酸化硫黄
識別情報
CAS登録番号 7446-11-9
特性
化学式 SO3
モル質量 80.06 g mol−1
密度 1.92 g cm−3
融点

16.9 ℃

沸点

45 ℃

への溶解度 水と反応
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −397.77 kJ mol-1
標準モルエントロピー So 256.77 JK−1 mol−1
危険性
EU分類 腐食性 (C)
Rフレーズ R14, R35, R37
Sフレーズ (S1), (S2), S26, S30, S45
関連する物質
関連物質 二酸化硫黄
硫酸
塩化スルフリル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三酸化硫黄(さんさんかいおう、: Sulfur trioxide)は、硫黄酸化物で、化学式 SO3 で表される。硫酸無水物であることから無水硫酸とも呼ばれ、硫酸の工業生産の用途に使われる。酸性雨の原因物質の1つであり、日本では大気汚染防止法により特定物質に指定されている。

構造と結合

原子価殻電子対反発則から、気体のSO3は硫黄原子を中心とした平面正三角形構造(D3h対称)を取ると予測されている。

電子状態に着目すると硫黄原子の酸化数は+6、電荷は0であり、6つの電子対を保持している。分子軌道法の点から見ると、これらの電子対のほとんどは非結合的な性質を持っており、典型的な超原子価分子となっている。

化学的性質

三酸化硫黄は硫酸の無水物であり、水と以下のような反応が起こる。

γ-SO3分子

固体のSO3は微量の水に依存した複雑な挙動を示す[2]。気体が凝集すると、純粋な三酸化硫黄がγ-SO3と呼ばれる三量体を形成する。この固体は無色で融点は16.8℃である。この環状構造は[S(=O)2(μ-O)]3と表記されている[3]

SO3が27℃以上で凝集してできる相は融点が62.3℃であり、α-"SO3と呼ばれている。α-"SO3の見た目はアスベストのような繊維状である。[S(=O)2(μ-O)]n型の高分子であり、末端はヒドロキシル基になっている。β-SO3と呼ばれる相もα型と同じく針状であるが分子量と融点が異なり、融点は32.5℃である。γ相とβ相は準安定相であり、時間の経過に伴い安定なα相へと徐々に相転移する。この相転移には微量の水が関わっている[4]

固体の蒸気圧は同一温度ではα < β < γの順に大きくなる。また液体の蒸気圧はγ相の値とほぼ同じである。このためα-SO3の結晶を加熱すると、ガラス容器を粉砕するに十分な程の蒸気圧の急増が見られる。この現象はα爆発と呼ばれている[4]

SO3は高い吸湿性を持つ。熱濃硫酸に木や綿を浸すと発火するが、これは SO3が木や綿の炭水化物に含まれている水分を脱水してしまい、炭水化物が燃えやすくなるためである[4]

外部リンク

関連項目

参考文献

  1. ^ 『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、2014年。 
  2. ^ Holleman, A. F.; Wiberg, E. "Inorganic Chemistry" Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  3. ^ Advanced Inorganic Chemistry by Cotton and Wilkinson, 2nd ed p543
  4. ^ a b c Merck Index of Chemicals and Drugs, 9th ed. monograph 8775

「無水硫酸」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



無水硫酸と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「無水硫酸」の関連用語

無水硫酸のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



無水硫酸のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
九州環境管理協会九州環境管理協会
財団法人 九州環境管理協会(以下、「当協会」とします)ホームページに記載されている全ての文章、写真その他の画像等の著作権は、すべて当協会に帰属します。これらを無断で転載・複製することは、私的使用または引用として使用する場合を除き、著作権法で禁止されています。
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの三酸化硫黄 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS