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澁谷道

澁谷道の俳句

いつまでも留守の鳥の巣あわき比良
うしろ手に花野夕山旅を閉じ
うれしさは老いて春着る臙脂墨
えんとつに雌雄のありし花野末
かなかなの澄みて雌雄のあるあわれ
こおどりして餠花くらき部屋通る
こがらしの紙の折目に花の種子
さくら散るうねりの下の淡水魚
さるすべり亡父と亡母逢う妬まし
たゆむとき厚着の麗子壁にいる
ちる木槿ナイフフォークに軽いむらさき
つゆくさと瞬きあえばちいさき身
ひき返すべき風景や西行忌
ひと解きに砂落つごとし夏の帯
ふっと刃を当つる西瓜の赤道や
ほのぐらき電流曳けり大揚羽
また独り加賀は白萩より眩し
みえていて来ぬ夏鴨の青あたま
やすむ間も足長蜂の足ぢから
わたくしは辵に首萱野を分け
シャボン玉なかの歯車いそがしく
メス沈め湯が労働者として沸る
一茶忌や窪みもどらぬ旅しとね
三尊に広き四隅のさくら冷え
人去れば藤のむらさき力ぬく
伊賀こえて猿に小蓑をおとしだま
具足煮に梁ひくくしぐれけり
冬山中に天窓ありし甘美かな
冬最上あらあらしくも岐れずに
冬最上あらあらしくも岐れずに
凌霄咲く絆はなくて深き空
凌霄濃し孤独にさとき鳥がいて
出羽薄墨めざめて人は爪を噛む
初春をのせ天秤の静止せる
初蝉のふと銀箔を皺にせる
初鰹はるかな沖の縞を着て
右手つめたし凍蝶左手へ移す
合歓ごしに鳥海うかぶいつかゆく
唄なくて最上川鳴る雪のまえ
嘴熱きおうむを肩に心太
回転扉ひらりひらりと黒炎天
坂それて六波羅密寺木の実降る
塔を攀じ見知らぬ鷹を抱くごとし
夏桔梗口すぼめしは針を吹く
夢見茣蓙巻きかかえねば失せやすき
大舞茸ごそりと採りしあとの風
婚礼や湖岸を通るだけの月
寒卵振ればちからのあるゆらぎ
山ゆるみ川あそぶなり郡上節
弛むとき厚着の麗子壁にいる
 





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