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おんじょう-しゅぎ をんじやう― 5 【温情主義】

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パターナリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/09/06 18:25 UTC 版)

(温情主義 から転送)

パターナリズム: paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉することをいう。日本語では家父長主義父権主義温情主義などと訳される。語源はラテン語pater(パテル、)で、pattern(パターン)ではない。

社会生活のさまざまな局面において、こうした事例は観察されるが、とくに国家個人の関係に即していうならば、パターナリズムとは、個人の利益を保護するためであるとして、国家が個人の生活に干渉し、あるいは、その自由権利に制限を加えることを正当化する原理である。


  1. ^ パターナリズム paternarism の「パター pater」の語源は、父親 (father) を意味するラテン語からである(江崎一郎「パターナリズム - 概念の説明 - 」、加藤・加茂編、1998年、65頁)。模様・規範を意味する英語の「パターン (pattern) 」とは無関係である。
  2. ^ この「ウォルフェンドン委員会報告」を巡ってハートとパトリック・デヴリン判事の間で戦わされた論争であるためこの名がある。詳しくはハーバート・ハートLaw, Liberty and Morality, Stanford University Prress,1963および井上茂「法による道徳の強制」、『法哲学研究』3、1972年、有斐閣を参照。
  3. ^ パターナリズムに直接言及してはいないが、明治憲法体制下の日本で、天皇を「父親」とし、臣民を「子」とする国家観について、石田雄『明治政治思想史研究』未來社、1954年、および、同「家族国家観の構造と特質」、松本三之介編 『明治思想における伝統と近代』、東京大学出版会、1996年、を参照。
  4. ^ ジェラルド・ドゥオーキンが挙げているパターナリズムの例のなかで、国家と国民に関係するものとして、オートバイ運転者にヘルメット着用を義務づける法律、自殺を犯罪とする法律、両者の同意を得ている決闘を禁止する法律、などがある(Gerald Dworkin, 'Paternalism' in Rolf E. Sartorius ed., Paternalism, University of Minnesota Press, 1983,p.20)。なお、ドゥオーキンのパターナリズムについての紹介は、中村直美「ジェラルド・ドゥオーキンのパターナリズム論」、『熊本法学』32号、1982年、を参照。
  5. ^ 直接パターナリズムに言及してはいないが、市町村などの行政機関の窓口で、クライアント(行政サービスの受け手)に対して「善意の支配」を及ぼす「第一線職員」の動態について分析した研究として、畠山弘文『官僚制支配の日常構造 善意による支配とは何か』三一書房、1989年、ISBN 4380892131
  6. ^ これについて直接パターナリズムに言及する研究はみあたらないが、一例として、20世紀初頭のオランダ領東インド(現在のインドネシア)で、宗主国のオランダは、現地住民に初等教育の機会を与え、また下級官吏や医師を養成するための専門教育機関の設置した。また、1918年には現地住民の代表を含む植民地議会 (Volksraad) を開設した。これらの諸政策は現地住民の自治能力の育成と、本国から現地政府への権限委譲を目的としていた。これらは「オランダ=白人=キリスト教徒=文明の光が、東インド=有色人=非キリスト教徒=野蛮の闇をはらい、蒙を啓き、文明に導くのだ」との発想に基づいていた(早瀬晋三・深見純生「近代植民地の展開と日本の占領」、池端雪浦編 『東南アジア史Ⅱ 島嶼部』、山川出版社<新版 世界各国史6>、1999年、283頁)。
  1. ^ 横山謙一「パターナリズムの政治理論」、澤登俊雄編著、ゆみる出版、1997年、166頁。
  2. ^ J.S.ミル(早坂忠訳)『自由論』(世界の名著38『ベンサム、J・S・ミル』)、中央公論社、1967年、224-225頁。
  3. ^ フリードソン、恒星社厚生閣、1992年。
  4. ^ 患者の自己決定とインフォームド・コンセントについては、上村貞美「患者の権利 - インフォームド・コンセントを中心に」、虫明満編 『人のいのちと法 - 生命倫理と法』法律文化社、1996年、58頁、を参照。
  5. ^ 以下のパターナリズムの類型については、花岡正明「パターナリズムとは何か」、澤登編、ゆみる出版、1997年、中村直美 「パターナリズムの概念」、『井上正治博士還暦祝賀論集・刑事法学の諸相』(上)、有斐閣、1981年、Kleinig,John, Paternalism, Manchester University Press, 1984, p.14を参照。なお、クライニッヒの議論については、パターナリズム研究会「紹介 : J・クライニッヒ著『パターナリズム』」(1) - (4)、『國學院法学』25巻1号 - 4号、1987年-1988年、に詳しい。
  6. ^ 花岡、同上、34-35頁。
  7. ^ 花岡、同上、35-37頁。
  8. ^ 本田裕志「医療におけるパターナリズム」、篠崎・加茂編、世界思想社、1989年、を参照。


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