海軍少尉とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 海軍少尉の意味・解説 

少尉

(海軍少尉 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 01:11 UTC 版)

少尉(しょうい)は、軍隊の階級の一つ。尉官に区分され、中尉の下、准尉の上に位置する。士官将校)の最下級である。


注釈

  1. ^ 法令全書では布達ではなく「沙汰」としている[9] [10]。また、第604号はいわゆる法令番号ではなく法令全書の編纂者が整理番号として付与した番号[11]
  2. ^ 兵部省は弁官宛に海陸軍大佐以下の官位相当表を上申していたが決定に日数がかかっており、明治3年7月28日に官位相当表の決定を催促をしている[12]
  3. ^ 1870年6月1日(明治3年5月3日)には、横須賀・長崎・横浜製鉄場総管細大事務委任を命ぜられた民部権大丞の山尾庸三に対して、思し召しにより海軍はイギリス式によって興すように指示している[13]
  4. ^ a b 1870年10月26日(明治3年10月2日)に海軍はイギリス[注釈 3]、陸軍はフランス式を斟酌して常備兵を編制する方針が示され、各藩の兵も陸軍はフランス式に基づき漸次改正編制させていった[14]
  5. ^ 少尉は古代中国でも見られる官職名であるが、新式軍隊の階級として使用したのは中国の用例と比べて日本がそれより早いことから、日本が先に新義語として転用した可能性が高いと推測される[15]。 荒木肇は、律令制の官職名が有名無実となっていたことを踏まえて、名と実を一致させる。軍人は中央政府に直属させる。などの意味合いから衛門府・兵衛府から尉官の官名を採用したのではないかと推測している[16]
  6. ^ 明治4年2月22日に春日艦乗組の後藤勇、根津勢告、溝口太兵衛、岩切仲左衛門を海軍少尉に任じた[21]。 同年5月19日に日進艦二等士官の田尻半八を海軍少尉に任じた[22]。 同月23日に龍驤艦機械方士官助の篠原顕作、同二等測量士官見習の本田知二朗、同水夫長の和田覚左衛門、同士官見習の堀直四朗を海軍少尉に任じた[23]。 明治4年5月に林覚之進を陸軍少尉に任じ、同年5月25日に同人に第2連隊第1大隊1番小隊半隊長を命じる辞令を別に出している[24]。また、同年5月に田村武之進を陸軍少尉に任じ、同年5月25日に同人に第2連隊第1大隊2番少隊半隊長を命じる辞令を別に出している。同日に江木良次郎を陸軍少尉に任じ、このとき同人に第2連隊第1大隊3番小隊半隊長を命じる辞令を別に出している。このように陸軍少尉の階級と半隊長の職を区別している[25]
  7. ^ 陸軍では服役年の始期は明治4年8月を以って始期とするため、その以前より勤仕の者であったとしても総て同月を始期とした[26]。 海軍では服役年の始期について、准士官以上は明治4年8月以前は服役年に算入しない[27]
  8. ^ 明治4年12月調べの職員録によれば海軍少尉として42名、陸軍少尉として90名が掲載されている[30]
  9. ^ これまでの順席では海軍を上、陸軍を下にしていたが、明治5年1月20日の官等表から陸軍を上、海軍を下に変更した[32]
  10. ^ 当時の官制に規定がないことに拘らず現に明治4年7月以前に一時賜金、明治4年8月以後は恩給年に通算した先例もある軍人の名称の内、少尉に相当するものには次のようなものがある(個人名は省略)[38]
    • 明治23年陸軍恩給令により恩給を受けている者の内
      • 少尉心得:退役時は歩兵少佐
    • 明治24年軍人恩給法により恩給を受けている者の内
      • 少尉心得:退役時は歩兵中佐
      • 四等士官:退役時は歩兵中佐
      • 少尉心得勤:退役時は工兵少佐
      • 少尉心得:退役時は歩兵少佐
      • 少尉心得:退役時は歩兵大尉
      • 准少尉、四等士官:退役時は歩兵大尉
      • 少尉心得:退役時は歩兵大佐
      • 准少尉:退役時は一等軍吏
  11. ^ 少尉心得はその本官の職を取る。本官とは、中少尉は小隊長の職を取る[39]
  12. ^ 前項の少尉心得に等しいもの[39]
  13. ^ 准席はすべてその官相当の職を取っていたもの。即ち中少尉は小隊長[39]
  14. ^ 四等士官は少尉相当であってその職を取っていたもの[39]
  15. ^ 前項の四等士官に等しいものであってその職を取っていたもの[39]
  16. ^ 1873年(明治6年)5月以前に用いられた各種名義の軍人について、当時の官制に於いて規定した明文がないものの、例えば心得、准官のような名義の者であっても当時は戦時に際して上司の命令を以て実際に軍隊・官衙等に奉職しその任務を奉じたことから、明治25年5月に陸軍大臣の請議による閣議に於いてこれらを軍人と認定しており[36] [37] [注釈 10]、これらのうち少尉に相当するものには明治3・4・5年の頃の少尉心得[注釈 11]、明治2・3・4年の頃の准少尉並び職務[注釈 12]、明治2・3・4年の頃の少尉准席[注釈 13]、明治元年以降、明治4年頃までの四等士官[注釈 14]・准四等士官[注釈 15]などがある[40] [39] [37]
  17. ^ 明治5年1月に海軍省が定めた外国と国内の海軍武官の呼称によるとソブリューテナントを少尉に対応させている[41]
  18. ^ ただし、卒業者が出る前に、海軍が解体されるに伴い、廃校。
  19. ^ ただし、専門学校卒業者に限る。
  20. ^ 以前は「予備少尉候補生」。
  21. ^ 以前は「予備特務士官」。
  22. ^ おおよそ1年前後。
  23. ^ 所持する免状の他、乗船履歴や民間での職務も関係する為。

出典

  1. ^ MinShig (2000年3月26日). “衛門府条”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 現代語訳「養老律令」. 2023年11月5日閲覧。
  2. ^ MinShig (2000年3月26日). “左衛士府条”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 現代語訳「養老律令」. 2023年11月5日閲覧。
  3. ^ MinShig (2000年3月26日). “左兵衛府条”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 現代語訳「養老律令」. 2023年11月5日閲覧。
  4. ^ MinShig (1997年7月11日). “左右兵衛府四部官(四等官・四分官)”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 官職. 2023年11月12日閲覧。
  5. ^ MinShig (1999年1月12日). “左右衛門大少尉”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 官職. 2023年11月12日閲覧。
  6. ^ MinShig (1998年10月2日). “検非違(使)大少尉”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 官職. 2023年11月5日閲覧。
  7. ^ MinShig (1997年7月16日). “府の四部官(四等官・四分官)とその官位相当”. 官制大観 律令官制下の官職に関わるリファレンス Ver.0.8. 官職. 2023年11月5日閲覧。
  8. ^  太政官『海陸軍大中少佐及尉官及陸軍曹長權曹長ヲ置ク』。ウィキソースより閲覧。 
  9. ^ 内閣官報局 編「第604号海陸軍大中少佐及尉官及陸軍曹長權曹長ヲ置ク(9月18日)(沙)(太政官)」『法令全書』 明治3年、内閣官報局、東京、1912年、357頁。NDLJP:787950/211 
  10. ^ 「御沙汰書 9月 官位相当表の件御達」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C09090037000、公文類纂 明治3年 巻1 本省公文 制度部 職官部(防衛省防衛研究所)
  11. ^ 国立国会図書館 (2019年). “7. 法令の種別、法令番号” (html). 日本法令索引〔明治前期編〕. ヘルプ(使い方ガイド). 国立国会図書館. 2023年12月2日閲覧。
  12. ^ 「弁官往復閏 7月 官位相当表の義々付上申」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C09090036900、公文類纂 明治3年 巻1 本省公文 制度部 職官部(防衛省防衛研究所)
  13. ^ 「海軍ハ英式ニ依テ興スヘキヲ山尾民部権大丞ニ令ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070892000、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第百十四巻・兵制・雑(国立公文書館)
  14. ^ 「常備兵員海軍ハ英式陸軍ハ仏式ヲ斟酌シ之ヲ編制ス因テ各藩ノ兵モ陸軍ハ仏式ニ基キ漸次改正編制セシム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070892100、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第百十四巻・兵制・雑(国立公文書館)
  15. ^ 仇子揚 2019, pp. 83–85, 附録65.
  16. ^ 荒木肇陸軍史の窓から(第1回)「階級呼称のルーツ」」(pdf)『偕行』第853号、偕行社、東京、2022年5月、2023年11月12日閲覧 
  17. ^ a b 「各藩ノ常備兵編制法ヲ定ム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070861600、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第百八巻・兵制・徴兵(国立公文書館)(第2画像目から第3画像目まで)
  18. ^ a b 「単行書・大政紀要・下編・第六十五巻・官職八・陸軍武官」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A04017112800、単行書・大政紀要・下編・第六十五巻・官職八・陸軍武官(国立公文書館)(第7画像目)
  19. ^ 「薩長土ノ三藩ニ令シテ御親兵ヲ徴シ兵部省ニ管轄セシム」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070858800、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第百八巻・兵制・徴兵(国立公文書館)
  20. ^ 「東山西海両道ニ鎮台ヲ置キ兵部省ノ管轄ニ属ス」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15070838700、太政類典・第一編・慶応三年~明治四年・第百六巻・兵制・陸海軍官制(国立公文書館)
  21. ^ 「海軍諸達 伊東四郎海軍大尉任官外数件達」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C09090212500、公文類纂 明治4年 巻4 本省公文 黜陟部1(防衛省防衛研究所)
  22. ^ 「5月19日 飛準丸1等士官塩澤善十郎同2等士官朝枝辰太郎任海軍中尉他」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C10070829600、明治4年従正月至7月 省中達留(防衛省防衛研究所)(第2画像目)
  23. ^ 「5月23日 海兵士官徳田彦二見習士官井上直八任海軍中尉」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C10070830100、明治4年従正月至7月 省中達留(防衛省防衛研究所)
  24. ^ 「5月25日 白井龍吉任陸軍大尉及第2連隊第1大隊小隊隊長申付他」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C10070830500、明治4年従正月至7月 省中達留(防衛省防衛研究所)
  25. ^ 「5月25日 竹内信之允海軍中尉及第2連隊第1大隊2番小隊隊長申付他」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C10070830700、明治4年従正月至7月 省中達留(防衛省防衛研究所)(第2画像目から第3画像目まで、第5画像目から第6画像目まで)
  26. ^ JACAR:A15110505000(第9画像目から第10画像目まで)
  27. ^ JACAR:A15110505000(第25画像目から第26画像目まで)
  28. ^ 内閣官報局 編「太政官第400 官制等級ヲ改定ス(8月10日)」『法令全書』 明治4年、内閣官報局、東京、1912年、317−321頁。NDLJP:787951/195 
  29. ^ a b 「兵部省官等改定・二条」国立公文書館 、請求番号:太00424100、件名番号:001、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第二百二巻・兵制一・武官職制一
  30. ^ 「職員録・明治四年十二月・諸官省官員録(袖珍)改」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A09054276600、職員録・明治四年十二月・諸官省官員録(袖珍)改(国立公文書館)(第76画像目から第77画像目まで、第83画像目から第84画像目まで)
  31. ^ 内閣官報局 編「明治5年正月20日太政官第16号官等表」『法令全書』 明治5年、内閣官報局、東京、1912年、45−47頁。NDLJP:787952/78 
  32. ^ 「官等改正」国立公文書館、請求番号:太00236100、件名番号:002、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第十四巻・官制一・文官職制一(第2画像目)
  33. ^ 内閣官報局 編「太政官第62号 兵部省ヲ廃シ陸海軍両省ヲ置ク(2月28日)(布)」『法令全書』 明治5年、内閣官報局、東京、1912年、71頁。NDLJP:787952/91 
  34. ^ 内閣官報局 編「第154号陸海軍武官官等表改定(5月8日)(布)」『法令全書』 明治6年、内閣官報局、東京、1912年、200−201頁。NDLJP:787953/175 
  35. ^ 「陸海軍武官官等表改正・二条」国立公文書館、請求番号:太00424100、件名番号:004、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第二百二巻・兵制一・武官職制一(第1画像目から第2画像目まで)
  36. ^ JACAR:A15112559500 (第1画像目から第2画像目まで)
  37. ^ a b JACAR:A15112559500 (第10画像目)
  38. ^ JACAR:A15112559500 (第5画像目から第6画像目まで)
  39. ^ a b c d e f JACAR:A15112559500 (第7画像目から第10画像目まで)
  40. ^ JACAR:A15112559500 (第3画像目から第5画像目まで)
  41. ^ 「海軍武官彼我ノ称呼ヲ定ム」国立公文書館、請求番号:太00432100、件名番号:003、太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第二百十巻・兵制九・武官職制九
  42. ^ 岩倉規夫、藤樫準二 『日本の勲章-日本の表彰制度-』 第一法規出版、1965年1月。
  43. ^ 兵機統合化以前の海軍機関学校卒業生は、「機関少尉候補生」。
  44. ^ 自衛隊広島地方協力本部「自衛隊しまなみ通信」


「少尉」の続きの解説一覧

「海軍少尉」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「海軍少尉」の関連用語

海軍少尉のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



海軍少尉のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの少尉 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS