権利行使
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:14 UTC 版)
著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる(63条1項)。この許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法および条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる(63条2項)。また、この許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない(63条3項)。 著作物の放送又は有線放送についての許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする(63条4項)。 著作物の送信可能化についての許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、23条1項の規定は、適用しない(63条5項)。23条1項の規定とは、「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む)を行う権利を専有する」とするものである。 共有著作権(共同著作物の著作権その他共有に係る著作権)は、その共有者全員の合意によらなければ行使することができないが(65条2項)、各共有者は、正当な理由がない限り合意の成立を妨げることができない(65条3項)し、信義に反して合意の成立を妨げることができない(65条4項、64条2項)。また、代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない(65条4項、64条4項)。 共同著作物とは、「2人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用できないものをいう」(2条1項12号)と定義される。間違いやすいのは、二次的著作物で、「キャンディ・キャンディ事件」(最判平成13年10月25日判例)の事案においては、ストーリー作者により事前に原稿用紙に執筆されたストーリーに基づいて作画者が作画をするという方式がとられており、二次的著作物に該当するものと判断された。 次に間違いやすいのは結合著作物である。これは、各人の創作的表現を分離して利用可能なものであり、たとえば、「歌詞と楽曲」「小説と挿絵」などがこれに該当する。この場合は、共同著作物ではなく、それぞれが著作物であり著作権を有すると解される。
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