曲亭陳人とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 曲亭陳人の意味・解説 

曲亭馬琴

(曲亭陳人 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 23:11 UTC 版)

曲亭 馬琴/滝沢馬琴(きょくてい ばきん/たきざわ ばきん、明和4年6月9日1767年7月4日〉- 嘉永元年11月6日1848年12月1日〉)は、江戸時代後期の読本作者。本名は滝沢 興邦(たきざわ おきくに、旧字体瀧澤 興邦󠄂 )、後に解(とく)に改めた。号は著作堂主人(ちょさくどうしゅじん)など。


注釈

  1. ^ 戯作ではない往来物の『雅俗要文』が無断刊行された際に「著作堂馬琴作」と記されたことに強い不快感を示している[2]。馬琴はこうした使い分けを行うことについて、大田南畝が戯作に「南畝」、狂詩に「寝惚」、狂歌に「四方赤良」などを使い分けることを引き合いに出している[2]
  2. ^ 馬琴は雅俗には区別があるとして「馬琴」が雅号と混同されることを嫌った[3]。馬琴によれば、「著作堂」などが雅号である[3]。馬琴の意識では「馬琴先生」と呼ばれることについてもおかしいという[4]。戯号に「先生」をつけるのは的外れであり、敬称するならば戯号以外の号を用いるべきという意識からである[4]
  3. ^ 馬琴によれば『大明一統志』にも見えるという[7]
  4. ^ 十訓抄』の編者については諸説あるが、馬琴は菅原為長と記している[7]
  5. ^ 「才非馬卿弾琴未能」。馬卿とは司馬相如のこと。
  6. ^ 作家デビュー作『尽用而二分狂言』の主人公の名は「馬きん」[8]であった。
  7. ^ 「大名けんどん」と呼ばれる道具の名称の由来をめぐる対立。「大名けんどん」は、「けんどんそば」と呼ばれる盛り切りの蕎麦を運ぶ箱(=けんどん箱。岡持ちの原型)に豪華な装飾を施したものである。「慳貪」「倹飩」など多様な漢字が充てられる「けんどん」が何を意味するのか、この当時すでに不明になっており、現代においてもはっきりとしない。山崎は、「けんどん屋」と呼ばれる接客の簡易な(「つっけんどん」な)形態の外食店がかつて存在しており、それに由来する(なお、けんどん屋で使う器を呼ぶ「けんどん振り」が「どんぶり」の語源という説がある)という説を唱えており、現代ではこれが有利な説とされる。一方、馬琴はうどんやそばなど麺類を運搬する道具を「けんどん(巻飩)」と称したと主張(倹飩参照)、両者の議論は過熱し、相手の言葉尻を捉えての不毛な応酬に陥った[12]
  8. ^ 気を利かせて無いものを書き添えれば蛇足、画稿通りならば働きがないと言われ[21]、『八犬伝』の画工を務めた柳川重信(北斎の門人)はしばしば馬琴に罵倒されたようである[19]
  9. ^ この時の桂窓はいまだ招かれざる客であったという解釈(木村三四吾)[31]:18と、同一人物と五度も対面を許すのは馬琴としては破格の待遇であり、桂窓を相当気に入ったとする解釈(服部仁)[31]:18がある。
  10. ^ 当時馬琴が執筆中の『開巻驚奇侠客伝』で、南朝方の主人公を助ける「善玉」として描かれるべき伊勢国司(北畠満雅)を別人(北畠親能)と同一視し、さらにその親能を暗君として描くという、勧善懲悪を宗とする馬琴としては致命的な過ち。馬琴は作中で弁解を行うこととなった[31]:17

出典

  1. ^ 杉本(1977)
  2. ^ a b 『南総里見八犬伝』「回外剰筆」、岩波文庫版10巻pp.332-333
  3. ^ a b 徳田武校注『近世物之本江戸作者部類』p.278
  4. ^ a b 徳田武校注『近世物之本江戸作者部類』p.254
  5. ^ 「八犬伝」を読む-文学史上の位置づけ”. 高木元. 2019年6月5日閲覧。
  6. ^ a b 小池藤五郎「解説」『南総里見八犬伝』岩波文庫版7巻p.x。
  7. ^ a b c 「八犬伝第八輯自序」、岩波文庫版『南総里見八犬伝』第4巻p.249.
  8. ^ a b c 徳田武校注『近世物之本江戸作者部類』p.359 の注
  9. ^ 高木元. “書評 播本眞一著『八犬伝・馬琴研究』(完全版)”. 2020年2月2日閲覧。
  10. ^ 『吾仏乃記』
  11. ^ 麻生磯次「滝沢馬琴」P34(吉川弘文館) 1959年
  12. ^ 料理本のソムリエ vol.7 ジャパン・クール"DONBURI"”. 柴田書店 (2010年8月10日). 2022-20閲覧。
  13. ^ a b c 麻生(1959)、p.187
  14. ^ 「八犬伝の作者と日常生活」真山青果 『名文鑑賞読本. 大正時代』 (厚生閣, 1937)
  15. ^ 徳田武「解説」、岩波文庫版『作者部類』p.400
  16. ^ 徳田武「解説」、岩波文庫版『作者部類』pp.400-401
  17. ^ 岩波文庫版『作者部類』p.57
  18. ^ 『苅萱後傳玉櫛笥』の馬琴自序。
  19. ^ a b c d 小池藤五郎「解説」『南総里見八犬伝』岩波文庫版9巻p.xi。
  20. ^ 高木元. “読本に於ける挿絵の位相”. 2016年10月10日閲覧。
  21. ^ a b 小池藤五郎「解説」『南総里見八犬伝』岩波文庫版9巻p.x。
  22. ^ 殿村篠斎宛馬琴書簡(天保11年8月、代筆)。
  23. ^ 鈴木重三 「馬琴読本の挿絵と画家─北斎との問題など」(『鑑賞日本古典文学 第三十五巻 秋成・馬琴』 角川書店、1977年2月。後に同『絵本と浮世絵』 美術出版社、1979年3月31日、pp.161-174)。
  24. ^ a b 『南総里見八犬伝』「回外剰筆」、岩波文庫版10巻p.320。
  25. ^ a b 小池藤五郎「解説」『南総里見八犬伝』岩波文庫版10巻p.vii。
  26. ^ a b 『南総里見八犬伝』「回外剰筆」、岩波文庫版10巻p.337。
  27. ^ a b c d e f g h 古典への招待 【第84回:馬琴と渡辺崋山】”. ジャパンナレッジ. 小学館. 2016年10月9日閲覧。『新編日本古典文学全集 84 近世説美少年録 2』の解説の再録。校注者は徳田武。
  28. ^ a b 杉本苑子. “滝沢馬琴”. 朝日日本歴史人物事典. 2016年10月9日閲覧。
  29. ^ 高田衛. “木村黙老”. 世界大百科事典 第2版. 2016年10月9日閲覧。
  30. ^ 徳田武「解説」、岩波文庫版『作者部類』pp.381-392
  31. ^ a b c d e f g h i j 菱岡憲司「馬琴と小津桂窓の交流」『近世文藝』第90巻、2009年、16-29頁、doi:10.20815/kinseibungei.90.0_162020年2月2日閲覧 
  32. ^ a b 『南総里見八犬伝』「回外剰筆」、岩波文庫版10巻p.319。
  33. ^ 小津桂窓”. 国立国会図書館. 2016年10月9日閲覧。
  34. ^ 日本の沙翁 イーストレイキ博士馬琴を大いに持ち上げる『新聞集成明治編年史. 第七卷』 (林泉社, 1940) p76


「曲亭馬琴」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

曲亭陳人のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



曲亭陳人のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの曲亭馬琴 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS