憲法第96条
別名:日本国憲法第96条、憲法第九十六条、日本国憲法第九十六条、憲法96条、憲法96条改正
96条は、日本国憲法において、憲法改正について規定している条項。
憲法第96条が規定する憲法改正の要件は、衆議院・参議院の両議院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を得た上で、国会が憲法改正を発議し、さらに国民投票により国民の承認を得ることである。国民の承認は国民投票により、総投票数の半数を超える賛成が必要とされる。
憲法改正が国民の承認を得る手続きまで完了した場合は、天皇が改正後の憲法を国民の名において公布するとされる。日本国憲法は戦後1947年に制定されたが、改正されたことは1度もない。ちなみに米国の場合も憲法改正の発議には連邦議会の3分の2以上の要請を必要とし、改正は容易とはいえないが、1787年の憲法制定から2012年現在までに十数回改正されている。
2012年12月に衆議院総選挙が実施され、自民党が政権与党となったが、安倍晋三自民党総裁は憲法改正のハードルをあげている憲法第96条をまず改正するべきだとの見解を示している。
憲法96条の改正案は、憲法改正のために衆参両院それぞれの総議員の「3分の2以上」と定められている96条第1項を、「過半数」に変更するというもの。2012年の衆議院総選挙において自民党の公約の一つとして発表された。
2013年4月2日のMSN産経ニュースの記事によると、公明党の山口那津男代表は、憲法改正へ慎重な姿勢をみせており、連立与党内で意見が分かれている。一方で、日本維新の会の橋下徹共同代表は憲法改正に賛成の意向を示している。
2013年4月5日時点で、連立与党である公明党は党憲法調査会を開き、当面は意見集約しない考えを示した。
安倍首相は記者団に対して、憲法96条改正を同年7月に行われる参院選の公約の一つとして掲げることを、2013年5月1日に表明した。憲法改正に向けて自民党は、日本維新の会やみんなの党との連携を視野に入れている。
読売新聞の調査によると、与党である公明党の議員のうち憲法改正に賛成しているのは11%で、今後参院選に向けた影響が懸念されている。
関連サイト:
96条改正「国民のコンセンサスできていない」 公明・山口代表 - MSN産経ニュース
公明 意見集約は保留 96条改正 - 東京新聞
憲法96条、自・維・みんな9割超が改正に賛成 - 読売新聞
にほんこくけんぽう‐だいきゅうじゅうろくじょう〔ニホンコクケンパフダイキウジフロクデウ〕【日本国憲法第九十六条】
日本国憲法第96条
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 14:43 UTC 版)
日本国憲法の第9章にある唯一の条文で、日本国における憲法の改正手続について規定している。
(にほんこく(にっぽんこく)けんぽう だい96じょう)は、注釈
- ^ 日本国憲法の改正手続に関する法律では、126条1項に「国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第九十八条第二項に規定する投票総数の二分の一を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第九十六条第一項の国民の承認があったものとする。」と定め、98条2項では「投票総数(憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数をいう)」と定めている。同条項の「賛成の投票の数」及び「反対の投票の数」には、賛否が明確でない票や余事記載のある票など無効投票は含まれないため、有効投票を意味すると解される。したがって、法は「国民投票による過半数の賛成」を「有効投票数の過半数の賛成」に定めたことになる。
- ^ 1808年以前においては、憲法修正によって黒人奴隷の輸入を禁止し、また奴隷に対して過大な人口割を課することはできない、という趣旨を確認したものである。
出典
- ^ GHQ草案における「国会」は、一院制である。「国会ハ三百人ヨリ少カラス五百人ヲ超エサル選挙セラレタル議員ヨリ成ル単一ノ院ヲ以テ構成ス」(GHQ草案41条)。
- ^ 芦部信喜〔高橋和之補訂〕『憲法〔第5版〕』382頁(岩波書店,2011年)ISBN 978-4000227810
- ^ 1956年2月23日、第24回国会の衆議院内閣委員会における内閣総理大臣答弁。
- ^ 1956年3月16日、第24回国会の衆議院内閣委員会、憲法調査会法案公聴会にて。保阪正康『50年前の憲法大論争』講談社現代新書より
- ^ 芦部信喜〔高橋和之補訂〕『憲法〔第5版〕』383頁(岩波書店,2011年)ISBN 978-4000227810
- ^ 「憲法改正草案要綱」 の発表、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。
- ^ The Constitution of Japan、首相官邸。
- ^ 芦部信喜著・高橋和之補訂『憲法 第四版』、岩波書店、2007年。
- ^ 以下いずれも、初宿正典; 辻村みよ子編 (2010年). 新解説 世界憲法集 第2版. 三省堂. ISBN 978-4-385-31303-0
- ^ 第1項第2文は、1954年3月26日の第4回改正法律で付加。
- ^ 「人間の尊厳、人権、基本権の拘束力」に関する条項。
- ^ 「連邦国家、権力分立、社会的連邦国家、抵抗権」に関する条項。
- ^ 1990年8月31日調印の統一条約第4条により変更。
- 1 日本国憲法第96条とは
- 2 日本国憲法第96条の概要
- 3 条文
- 4 「国民投票による過半数」の意義
- 5 脚注
固有名詞の分類
- 日本国憲法第96条のページへのリンク