彗星
*関連項目→〔星〕
『子不語』巻7-179 孛星(はいせい=彗星)は女身で、性質は淫蕩である。雨乞いをする道士が、孛星が田に降りる日を待つ。その日、田にいる白衣の女に、童子が3つの符を投げつけると、女は裙(スカート)を捨て、上衣を脱ぎ、全裸になって狂奔した。道士の「雨よ降れ!」の一喝で女は仰臥し、陰部から雲気がたちのぼって、5日間、雨が降った〔*符を用いて某家の嫁を孛星の身代わりとし、裸にして雨を降らせた、との解釈もある〕。
*星の化身の女が地上で水浴する→〔星〕5bの『捜神記』巻4-2(通巻72話)。
*女性の裸身が雨を呼ぶ→〔雨乞い〕2の『夜叉ケ池』(泉鏡花)。
『ディープ・インパクト』(レダー) 巨大な彗星が地球に接近し、このままでは衝突する。宇宙船メサイア号が彗星まで飛び、核爆弾を彗星に埋めて爆発させ、軌道を変えようとする。しかし彗星は大小2つに割れただけで、なおも地球へ向かって来る。小彗星は大西洋に落下して大津波を引き起こし、多くの都市を破壊した。メサイア号は核弾頭もろとも、大彗星に体当たりする。大彗星は爆発して無数の小片になり、人類は滅亡を免(まぬが)れた。
『ムーミン谷の彗星』(ヤンソン) おさびし山の天文台の学者が、「4日後の8月7日午後8時42分に、彗星が地球に衝突する。4秒遅れるかもしれんが」と警告する。ムーミン一家と仲間たちは、森の洞窟へ避難する。8月7日午後8時42分4秒。真っ赤に燃える彗星が地球へ突っ込む。大きな音がし、地面がふるえ、やがて静かになる。スナフキンが「地球は壊れなかった。彗星は、しっぽで地球をかすっただけだ」と言う。
★3.凶兆と見なされる彗星も、喜びの心で見れば、輝かしいものに見える。
『戦争と平和』(トルストイ)第2部第5篇 ナターシャはアンドレイ公爵との婚約が破棄され(*→〔妻〕5)、悲しみの日々を送っていた。ピエールがロストフ家を訪れて、ナターシャを慰めるうち、彼の心の中にナターシャへの強い愛情がわきあがる。帰宅するピエールは、冬の夜空に、1812年の巨大な彗星が輝くのを見る。世界の終焉を予言すると言われた彗星だが、ピエールには、この彗星こそ、人生の新たな意味を見出した自分の心に相応するもの、と感じられた。
★4.彗星は「ほうき星」とも言う。
『天稚彦草子』(御伽草子) 夫・天稚彦(=天稚御子)を捜して、妻が天へ昇る。箒(ほうき)を持つ人が出て来たので、「天稚彦のいらっしゃる所はどこでしょうか?」と尋ねると、その人は「私は知りません。この先で出会う人に聞きなさい。私は箒星(ははきぼし=ほうきぼし)と申します」と言って、通り過ぎて行った〔*妻はその後、「すばる星」や「玉の輿に乗る人」に出会い、天稚彦の御殿へたどり着く〕。
『チョコレット』(稲垣足穂) 人間が妖精たちを尊敬しなくなり、無視するようになったので、妖精たちは天へ昇り、赤・青・緑など色とりどりで、傘や棒や柄杓など形も様々な「ほうきぼし」になった。そのうちの1つが、ある時、小児の姿で地上へ降り、硬い小さなチョコレットの中に入った。鍛冶屋が鉄槌でチョコレットをつぶすと、ピカッと光るものが、鍛冶屋の屋根を2つに割って、真上へ抜けて行った。
*尾のないホーキ星→〔尾〕6の『一千一秒物語』(稲垣足穂)「黒猫のしっぽを切った話」。
*ホーキ星と思ったら赤鉛筆→〔夢で得た物〕2の『一千一秒物語』(稲垣足穂)「赤鉛筆の由来」。
『衝突する宇宙』(ヴェリコフスキー) 紀元前2千年頃、木星から1つの彗星が放出され、楕円軌道を描いて太陽系内を巡り始めた。紀元前15世紀、彗星は50年を隔てて2度、地球に接触し、暴風・地震・洪水などの大災害をもたらした。世界各地の神話で語られる天変地異の物語は、この時の記憶だ。紀元前8世紀、彗星は火星と衝突したために、軌道が楕円から円形に変わり、地球と水星の間の空間を回る惑星になった。これが現在の金星である。
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