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広域関東圏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/05 23:54 UTC 版)

日本 > 広域関東圏
広域関東圏のデータ
位置
Kanto-region3 Small.png

広域関東圏(こういきかんとうけん)とは、関東地方1都6県に、その周辺県を含めた地方名。

一般的には、関東1都6県(茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県)と甲信越3県(山梨県長野県新潟県)及び静岡県の1都10県を指し[1]、静岡県を除いた地域は特に関東甲信越とも呼ばれる。また、広域関東圏は福島県を含めた1都11県とする場合もある。

目次

概要

関東1都6県(茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県)に隣接する県には、北から福島県新潟県長野県山梨県静岡県の5県がある。これら5県はそれぞれ、首都圏整備法1956年(昭和31年))で山梨県が首都圏に含まれ、東北開発促進法(1957年(昭和32年))で福島県と新潟県が東北地方に含まれ、中部圏開発整備法(1966年(昭和41年))で長野県と静岡県が中部圏に含まれた。各県の開発計画に伴う公共事業の窓口としては、これらの枠組みで知事会や経済団体などが形成され、「地方」の枠組みともなって来た。

しかし、現代は第三次産業の比率が大きくなり、また、東京の影響力が大きくなってきているため、東京、あるいは関東地方(特に南関東)との経済的連関が深い地域として「広域関東圏」という枠組みがみられるようになった。

この枠組みに対し、構成都県を判り易くした関東甲信越静(かんとうこうしんえつせい)との名称も用いられる。

ここで述べている範囲を「関東甲信越」と呼ぶ場合、静岡県もその範囲に含んだ上で、静岡県を意味する地名が省略されるというケースや、単純に「(関東)1都10県」と表記するケースもみられる。

ただし、新潟県北陸地方中部地方に、山梨県及び長野県中部地方東山地方に、静岡県東海地方中部地方にそれぞれ含まれることもあるため、これら4県の「地方・地域区分」としての立場は複数存在する。なお、中部地方及び東海地方は、愛知県を中心とした経済圏の意味で使用されることがある。

関東地方に隣接する各県の状況

新潟県・山梨県・長野県

東京に本拠地を置く企業のブロックや、中央省庁(財務省財務局公正取引委員会厚生労働省厚生局など)の地方支分部局では、関東地方1都6県に甲信(山梨県長野県の2県)を加えた関東甲信、ないしは関東に新潟県山梨県の2県を加えた関東甲越、さらには関東地方新潟県山梨県長野県の3県を加えた関東甲信越山梨県関東地方に含めた首都圏に信越[2]を加えた関東信越という枠組みがよく見られる。

甲信越」と呼ばれる3県は、県境や交通網で繋がっている地域(新潟県上越地域と長野県北信地域東信地域間、山梨県国中地域と長野県の中信地域南信地域間)においては一定数の相互の人的・経済的交流があるものの、特に明治維新以後はそれぞれの県が別個に東京と直接繋がる形で発展した。都道府県間流動調査に見られるように、県外への流出1位が3県とも東京都となっており、「甲信越の中心都市は東京」とも言える。したがって、「甲信越地方」としてのブロック性は薄く、「関東甲信越(関東甲信越地方)」という表現は「関東と新潟県」「関東と山梨県」「関東と長野県」のそれぞれのつながりをまとめて表現しているともいえる。

長野県において重要になるのは、旧信濃国の2地域性であり、河川水系・地形上の理由から、塩尻峠善知鳥峠鳥井峠和田峠大門峠麦草峠を境に南北に大きく分かれており、南側はいずれも太平洋に河口がある天竜川木曽川富士川の流域に属する一方、北側は日本海に河口がある信濃川姫川関川の流域に属するため、「長野県」という括りはある意味問題を生じる[3]。その上、長野県中信地域のうち木曽地区及び南信地域のうち下伊那地区は、東京よりも名古屋をはじめとする中京圏との人的交流や経済・文化的結びつきが強いため、広域関東圏の範疇に含まれないことが多いほか、木曽地区は、古代においては美濃国に属し[4]江戸時代には尾張藩の領地であったことや、木曽川濃尾平野に向かって流れるため、中京圏の一部として扱われることさえある。

新潟県は、旧越後国及び旧佐渡国律令制五畿七道により北陸道に属していた[5]ことから、現在の地理区分でも北陸地方[6]とみなされることもあるものの、律令制の距離による等級区分においても、北陸道の他の国々が中国に位置づけられる[7]一方で、越後国佐渡国両国は遠国となっていたり[8]親不知を境に言葉のアクセント(西は垂井式、東は東京式)、文化(の形等)も異なってきた。また近現代においても、戦前の道州制案では北陸3県を「名古屋州」とする一方で、新潟県は「東京州」としたりする例があったりするなど、新潟県北陸3県が同じ枠組みとならないケースも存在してきた。このほかに、新潟県阿賀野川以北に位置する阿賀北地域は、東京都心からの直線距離が 250 km を超過する(例えば東京都心 - 村上間の直線距離は283.75km[9])など関東甲信越静1都10県の中では最も長く、関東地方とその周辺を対象とする道路地図等では掲載されないこともある[10]

山梨県において重要となるのは、旧甲斐国の2地域性であり、方言学や河川水系・地形上の理由から、柳沢峠大菩薩峠笹子峠御坂峠・精進湖トンネル・中之倉トンネル[11]を境に、西側は国中地域、東側は郡内地域と文化圏が大きく分かれており、甲府市を中心とする国中地域は甲信静地方の感覚がある一方、郡内地域関東地方の感覚があるため、「山梨県」という括りはある意味問題を生じる。特に郡内地域南関東との文化的人的経済的交流が極めて濃厚であり、東京との繋がりが国中地域に比べて極めて高いことから、甲信越静地方4県の中では唯一南関東の一部として扱われることさえある[12]

静岡県

1948年には、関東地方山梨県長野県静岡県により、関東地方知事会が設置され、関東甲信静(かんとうこうしんせい)の枠組みがみられる。又、富士山山梨県及び静岡県にまたがっているほか、山梨県甲斐国中地域及び静岡県駿河地域富士川流域に属することから、山梨県及び静岡県を包括する場合の名称は、山静地方になる。さらに、富士山山梨県静岡県に、富士川流域が山梨県国中地域及び静岡県駿河地域にそれぞれまたがるほか、長野県南信地域及び静岡県遠江地域天竜川流域に属し、山梨県国中地域富士川及び長野県南信地域天竜川がいずれも静岡県に向かって流れ、富士川がに駿河湾に、天竜川遠州灘にそれぞれ流れるほか、山梨県静岡県とも長野県とも相互間の一定の繋がりがあるとともに、方言学上でも、静岡県山梨県国中地域及び長野県は、長野・山梨・静岡方言(ナヤシ方言)に属することから、山梨県長野県及び静岡県の3県を包括する場合の名称は、甲信静地方になる。

都道府県間流動調査によれば、静岡県と最も交流があるのは愛知県であるが、隣接する神奈川県東京都との交流の実数が(合算すると愛知県との実数より遙かに)多く、南関東1都3県との実数の合算数が愛知県との実数の2倍以上であるため、広域関東圏に含まれるとみなされる(実際に愛知県と特に交流があるのは北遠地区及び浜松市など天竜川以西の西遠地区であり、中遠地区では愛知県との交流はそこそこあるものの、静岡県中東部及び東遠地区では愛知県との繋がりは極めて低いため、表面上東海地方とされるものの、東海地方と扱わないことも相当多い。逆に東海地方静岡県を除外して、愛知県岐阜県三重県東海3県とするケースもかなり目立つ)。このほか、国勢調査によると、静岡県全体では、東京へ通勤・通学する者の数の方が、名古屋へ通勤・通学する者の数の方よりずっと多く、関東と静岡県との繋がりが深い。よって静岡県の中心都市は東京といえる。

ただし、重要となるのは静岡県の2地域性であり、旧律令国の時代から大井川以西で遠江国大井川以東で駿河国伊豆国と文化圏が分かれており、遠江地域牧之原市榛原郡(旧金谷町・旧初倉村・旧御前崎町・旧下川根村を含み、旧駿河国志太郡の旧徳山村及び旧東川根村を除く。)を除く。)[13][14]など静岡県西部では地理的にも文化的にも南関東及び中京圏の双方の要素が折衷し、天竜川以東の東遠地区及び中遠地区はやや南関東東京志向(特に東遠地区では南関東東京寄り)であるのに対し、北遠地区及び天竜川以西の西遠地区はやや中京圏名古屋志向である[15]。一方、静岡県中東部の駿河地域遠江地域のうち牧之原市榛原郡(旧金谷町・旧初倉村・旧御前崎町・旧下川根村を含み、旧駿河国志太郡の旧徳山村及び旧東川根村を除く。)を含む。)及び伊豆地域明治時代の一時期、現在の神奈川県相模地域のうち境川以西及び伊豆諸島と一緒に足柄県[16]を構成していたこともある)は南関東東京志向が極めて強い。

近年では静岡県の2地域性が変容し、遠江地域の大部分から構成される静岡県西部でも関東地方との繋がりを強化している傾向にある。最近の国勢調査によると、静岡県内の通勤・通学者数の面でも、掛川以東の静岡県中東部全域及び東遠地区では東京へ通勤・通学する者の数が名古屋へ通勤・通学する者の数より圧倒的に多く、袋井磐田では東京へ通勤・通学する者の数と名古屋へ通勤・通学する者の数がほぼ同数であり、浜松では名古屋へ通勤・通学する者の数が東京へ通勤・通学する者の数よりやや多いものの、東京駅 - 浜松駅間及び品川駅 - 浜松駅間の東海道新幹線定期券であるFREX(通勤用)とFREXパル(通学用)が、東京駅 - 掛川駅間、品川駅 - 掛川駅間及び新横浜駅 - 浜松駅間の東海道新幹線定期券であるFREX(通勤用)とFREXパル(通学用)とともに販売されている。静岡空港開港前においては、静岡県が1990年代前半に行った空港利用に関する統計調査によれば、静岡県の住民の 70% が羽田空港成田空港を使用し、名古屋空港を利用しているのは、静岡県の住民の 20% にすぎず、静岡県西部で中部空港を利用する者の大半は浜松などの西遠地区、北遠地区及び中遠地区の住民に限られる。

逆に遠江地域のうち、北遠地区及び浜松など天竜川以西の西遠地区は、長野県の下伊那地区及び木曽地区と同様に、広域関東圏の範疇に含まれないことがあるほか、特に浜名湖今切口より西側に位置する湖西市は、近世において新居(今切)関が置かれた[17]関係上、豊橋をはじめとした愛知県三河地域(特に東三河)との文化的・経済的・人的交流がとても深く、名古屋との繋がりは極めて高いことから、中京圏の一部として扱われることさえもある。

経済の範畴では、現在では関東地方1都6県に、甲信越3県と静岡県を加えた1都10県を一つのエリアと捉える傾向が目立って来ており、メーカーなどでは、新製品やエリア限定製品を発売する際に、この関東甲信越静地方1都10県で先行発売や限定発売をするケースが増えている。

なお以前は静岡県単独で新製品の試験発売(テストマーケティング)が行われるケースが多く存在したが、現在においては同県単独での試験発売は少なくなり、この1都10県もしくは関東地方1都6県に山梨県静岡県を加えた1都8県で先行発売・試験発売が行われるケースが多くなってきている。

又、静岡県は通常は東日本の範疇に含まれる[18]ものの、広域関東圏の中では唯一、電話会社の管轄はNTT西日本となっている。これについては、静岡県が名古屋と同じ旧NTT東海のエリアだったことや、東西で利用者数・資産規模等を均一化するためと言われているが、「地域性に即していないのみならず、住民の意見をも無視している」などと不満の声も多く、特に静岡市沼津市など静岡県中東部ではその傾向がかなり強い。

福島県

福島県も関東地方に隣接している為、少なからず経済的・人的交流がある。特に浜通り中通り磐越自動車道以南では、新産業都市の指定以降、京浜工業地帯の企業の工場が多数進出して、東北地方の中でも特に関東志向が強いと言われている。中でも、浜通りのいわき市以南は、常磐線複線化や常磐自動車道の開通が早かったために、県内他地域よりも茨城県との交流が多い。

交通面でも、東北新幹線なすの」の一部が郡山駅まで延長運転したり、常磐線スーパーひたち」が東京方面においていわき駅を始発終着とする例が見られ、JR東京駅からいわき・南相馬方面への高速バスジェイアールバス関東東武バスセントラル新常磐交通によって運行)が1日約40往復するなど、観光客のみならずビジネス客の移動の足となっている。これらを踏まえ、現在では特に工業面において、場合によっては広域関東圏に福島県を含めることがある。しかし、福島県全体としては宮城県をはじめとした東北地方に分類されることが大半で、関東地方と一緒のエリアに含まれる例は殆ど無い(県庁所在地の福島市が、東北地方の中心である仙台との結びつきが極めて強いのも一因である)。

広域関東圏11都県の人口

2010年10月1日現在の国勢調査による広域関東圏11都県の人口総数は、合計で51,753,850人であり、全国の人口総数の 40% を超過する[19]

  • 茨城県 2,968,865人
  • 栃木県 2,007,014人
  • 群馬県 2,008,170人
  • 埼玉県 7,194,957人
  • 千葉県 6,217,119人
  • 東京都 13,161,751人
  • 神奈川県 9,040,500人
  • 新潟県 2,374,922人
  • 山梨県 862,772人
  • 長野県 2,152,736人
  • 静岡県 3,765,044人



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  1. ^ 関東経済産業局管轄区域|関東経済産業局
  2. ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年12月発行)の「信越」の項目によれば「長野県から新潟県阿賀野川以西を地方名称など。」となっている。
  3. ^ 峠に関しては、『エアリアマップ グランプリ21 10万分の1 長野・山梨県道路地図 最新版』(昭文社、1995年5月第27版発行)による。
  4. ^ 高柳光寿竹内理三編『角川日本史辞典 第二版』(角川書店、1974年発行)の「木曾山林」の項目及び「古代日本要図」による。
  5. ^ 高柳光寿竹内理三編『角川日本史辞典 第二版』(角川書店、1974年発行)の「北陸道」の項目によれば、「愛発の関以北の日本海に面した若狭越前越中越後加賀能登佐渡の7国からなる。」と記載されている。
  6. ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編集『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年発行)の「北陸地方」の項目によれば、「中部地方を東西に長く、南北に三分する場合の一地理区。日本海沿岸地域。」となっている。
  7. ^広辞苑』の「近国」の項目によれば、律令制若狭国近国と位置付けられている。
  8. ^ Yahoo!辞書(大辞林:三省堂提供)
  9. ^ 梅棹忠夫ほか3名監修『平凡社版 日本地図帳 JAPAN ATLAS』(平凡社、1991年2月初版発行)の「関東・中部・近畿・中国・四国」の地図に基づいて算出した。
  10. ^ 『マップル ④ 関東道路地図 1:100000』(昭文社、1999年1月第2版発行)
  11. ^ トンネルと峠に関しては、『グランプリ21 10万分の1 長野・山梨県道路地図』(昭文社、1995年5月第27版発行)による。
  12. ^ 例えば、『JTB私鉄時刻表 東日本版 第4号』(JTBパブリッシング、2008年6月発行、新潟県長野県静岡県以東の私鉄各社最新情報満載と表紙に記載されている)によれば、郡内地域を南北縦断する富士急行は「東京付近 索引地図」に掲載されている。
  13. ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年発行)の島田市御前崎町金谷町川根町中川根町及び本川根町のそれぞれの項目による。
  14. ^ 『現代日本分県地図』(人文社、1992年改訂新版発行)の「静岡県(市町村変遷図)」による。
  15. ^ 例えば朝日新聞では天竜川を境に東側は東京版を、西側は名古屋版を販売している。
  16. ^ 高柳光寿竹内理三編『角川日本史辞典 第二版』(角川書店、1974年発行)の「府藩県変遷表」による。
  17. ^ 高柳光寿竹内理三編『角川日本史辞典 第二版』(角川書店、1974年発行)の「新居関」の項目による。
  18. ^ 谷岡武雄・山口恵一郎監修・三省堂編集所編『コンサイス日本地名事典 第3版』(三省堂、1989年12月発行)の「東日本」の項目の③によると、「各種文化面からは, 新潟・長野・静岡以東の地。方言学上東部方言の地で, 親不知 - 浜名湖線以東を指す。」と記されている。
  19. ^ 11都県ごとの人口及びコ11都県の合計人口は、平成22年国勢調査人口速報集計結果に基づく。
  20. ^ 東京外国語大学語学研究所編『世界の言語ガイドブック 2 アジア・アフリカ地域』(三省堂、1998年3月発行)の「日本語」(早津恵美子執筆)のうち「1 使用人口・分布地域」の204頁に掲載されている地図(『日本方言学』(1953)による(言語学大辞典 第2巻, pp.1758, 三省堂)に基づく。
  21. ^ 東京外国語大学語学研究所編『世界の言語ガイドブック 2 アジア・アフリカ地域』(三省堂、1998年3月発行)の「日本語」(早津恵美子執筆)のうち「2 系統・歴史」を参照したものに基づく。
  22. ^ 都竹通年雄(1949年)の案による。
  23. ^ ダニエル・ロング「小笠原における言語接触の歴史」(『日本語研究センター報告』第6号、1998年)において詳細に記載されている。


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