幹部候補生 (日本軍)
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日本陸軍における幹部候補生(かんぶこうほせい)とは、中等教育以上の学歴がある志願者の中から選抜され、比較的短期間で兵科または各部の予備役将校、あるいは兵科または各部の予備役下士官になるよう教育を受ける者[* 1]。場合により幹候と略されることもある。日本陸軍では下士官以上が部隊の幹部という位置づけであった。
注釈
- ^ 陸軍での正式な呼称は1937年2月の陸軍武官官等表改正(勅令第12号)まで各部の高等官は「将校相当官」であり、兵科、各部ともに下士官は1931年11月の陸軍武官官等表改正(勅令第270号)まで「下士」であったが、便宜上ここでは時代にかかわらず「将校」と「下士官」で統一する。
- ^ 在郷軍人(ざいごうぐんじん)は予備役・後備兵役の将校、准士官、下士官、兵、帰休兵、および補充兵の総称。『防衛研究所紀要』第17巻第2号144頁
- ^ 軍隊以外の社会を日本の軍隊用語では「地方(ちほう)」と呼んだ。本記事では地理的な意味合いとの混同を避けるため軍隊の対義語を「民間」とし、軍隊に属さない役所や公務員も「民間」に含める。
- ^ 帝国大学撰科と小学科を除く(徴兵令第11条)。
- ^ 文部大臣が認めるもの(徴兵令第11条)。
- ^ 文部大臣が認めるもの(徴兵令第11条)。
- ^ 禁固刑あるいは賭博犯として処罰された者は徴兵令第12条により一年志願兵の資格がなかった。また重罪の刑に処せられた者は同第7条により兵役そのものを許されない。
- ^ 入営でなく入隊は一年志願兵条例原文ママ(第16条、第18条、第19条、第23条)。
- ^ 同じ年の陸軍少尉の俸給が月額平均で28円、歩兵上等兵の給料は月額平均2円60銭あまり、歩兵二等卒が月額平均で1円20銭あまり、警視庁巡査の月給が勤続年数に応じて6円以上10円以下であった。「単行書・明治職官沿革表附録歴年官等并俸給表(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A07090185800
- ^ 前納した経費に残金があれば返還された(一年志願兵条例第2条、第3条)。
- ^ 一年志願兵条例第23条。
- ^ 二等軍曹は当時の下士官で一番下の階級である。1899年12月、陸軍武官官等表の改正(勅令第411号)によりに階級名を伍長へ改められた。「御署名原本・明治十九年・勅令第四号・陸軍武官官等表改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020000800 「御署名原本・明治三十二年・勅令第四百十一号・陸軍武官官等表中改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020421600
- ^ 「予備」見習士官等の語句は1889年5月公布の陸軍予備後備将校補充条例の条文による。1896年12月公布の陸軍補充条例以降の条文では「予備役」となる。 「御署名原本・明治二十九年・勅令第三百七十九号・陸軍補充条例制定(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020261900
- ^ 一等軍曹は当時の下士官で下から二番目の階級である。1899年12月、陸軍武官官等表の改正(勅令第411号)により階級名を軍曹へ改められた。「御署名原本・明治十九年・勅令第四号・陸軍武官官等表改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020000800 「御署名原本・明治三十二年・勅令第四百十一号・陸軍武官官等表中改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020421600
- ^ 同じ1928年、現役の兵科少尉となる陸軍士官学校の士官候補生第40期卒業者は225名である。生徒卒業 『官報』第474号、1928年7月26日
- ^ 陸軍補充令原文ママ(第2章)。陸軍では1937年2月の陸軍武官官等表改正(勅令第12号)まで、将校および将校相当官のうち尉官とその相当官を士官、佐官とその相当官を上長官としていた。「御署名原本・昭和十二年・勅令第一二号・明治三十五年勅令第十一号(陸軍武官官等表)改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03022080400
- ^ 10か月修業者は200円、1年修業者は240円。『日本の軍隊ものしり物語』131頁
- ^ 改正陸軍補充令第52条、第53条、第55条では「各兵科」とあるのみで憲兵科を除くとする文言はない。しかし憲兵科は新兵が入営することがないため、現実においては修業の制度上憲兵科の幹部候補生は不可能である。
- ^ 私立校は申請により配属することができた(陸軍現役将校学校配属令第2条)。
- ^ 経理部または衛生部の幹部候補生は歩兵部隊に、獣医部の幹部候補生は騎兵、砲兵、または輜重兵部隊に入営する(陸軍補充令施行規則第102条)。陸軍省令第27号 『官報』第277号、1927年11月30日
- ^ 1931年11月、陸軍兵等級ニ関スル件(勅令第271号)により一等卒は一等兵に改められた。「御署名原本・昭和六年・勅令第二七一号・陸軍兵等級表ニ関スル件(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03021825000
- ^ 期間はおよその目安である。以下同じ。
- ^ 1931年11月、陸軍兵等級ニ関スル件(勅令第271号)により二等卒は二等兵に改められた。「御署名原本・昭和六年・勅令第二七一号・陸軍兵等級表ニ関スル件(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03021825000
- ^ 例として経理部の伍長相当階級は三等計手、衛生部の伍長相当階級は三等看護長。「御署名原本・明治三十五年・勅令第十一号・陸軍武官官等表改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020522600
- ^ 経理部は三等主計、衛生部は三等軍医または三等薬剤官、獣医部は三等獣医。「御署名原本・明治三十五年・勅令第十一号・陸軍武官官等表改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03020522600
- ^ 陸軍予備役将校同相当官服役停年名簿によれば、少尉任官は予備役に編入された年の3年後または2年後となる例が多い。陸軍予備役将校同相当官服役停年名簿 昭和6年4月1日調陸軍予備役将校同相当官服役停年名簿 昭和9年4月1日調
- ^ 禁固以上の刑に処せられた者、破産宣告を受け復権をしていない者は幹部候補生になることができない(陸軍補充令第55条)。
- ^ 官衙(かんが)とは一般には官庁あるいは役所を意味する。陸軍の官衙には東京中心部に置かれた陸軍省などのほか、兵器廠や各地の連隊区司令部、陸軍病院なども含まれる。『陸軍読本』58-68頁
- ^ 期間はおよその目安である。以下同じ。
- ^ 召集の時期は情勢により適宜変更されている。日中戦争が始まった1937年の例では在営満期に引き続いて召集された。「大日記甲輯昭和12年(防衛省防衛研究所)」 アジア歴史資料センター Ref.C01001446100
- ^ 各部の場合は予備役の見習主計、見習医官、見習薬剤官、または見習獣医官。
- ^ 1937年2月の陸軍武官官等表改正により、各部の将校相当官は各部将校となった。同様に各部の見習士官ならびに下士官の相当官も各部見習士官、各部下士官となった。「御署名原本・昭和十二年・勅令第一二号・明治三十五年勅令第十一号(陸軍武官官等表)改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03022080400
- ^ 1940年9月に技術部として独立する。「御署名原本・昭和十五年・勅令第五八四号・陸軍補充令及昭和十三年勅令第百三十七号(陸軍補充令中改正)中改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03022498400
- ^ 期間はおよその目安である。以下同じ。
- ^ 現在の司法修習生にあたる。
- ^ 陸軍予備士官学校令その他の勅令は1945年11月に廃止された。「御署名原本・昭和二十年・勅令第六三二号・陸海軍ノ復員ニ伴ヒ不要ト為ルベキ勅令ノ廃止ニ関スル件(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A04017774000
- ^ 陸軍補充令第60条中の「又ハ陸軍大臣ノ定ムル部隊」の適用と考えられる。
- ^ 陸軍経理学校における幹部候補生修学期間はおよそ5か月ないし8か月とされた。 「御署名原本・昭和十四年・勅令第五八五号・陸軍経理学校令中改正(国立公文書館)」 アジア歴史資料センター Ref.A03022393200
- ^ 憲兵および飛行機操縦者を除く(第1条)。
- ^ 後述する特別幹部候補生とは異なる。
- ^ 研究科、専科等の別科を除く(第2条)。
- ^ 修業の課程において将校に適さないとされた者は乙種幹部候補生に変更された。
- ^ 1945年8月上旬に約6100名が各陸軍予備士官学校に入校した。『全陸軍甲種幹部候補生制度史』130-131頁
- ^ 大学令による大学において医学を修め学士と称することを得る者、または官立、公立もしくは文部大臣の指定した私立医学専門学校医学科を卒業した者。医師試験に合格した者。外国医学校を卒業し、または外国において医師免許を得た者で命令の規定に該当する者。
- ^ 現役期間を軍医任官から満1年間に限定し、以後は予備役となる。ただし志願者は陸軍大臣に出願することで引き続き現役に服することが可能であった(臨時特例第4条)。
- ^ 現役期間を任官から満2年間に限定するもの。志願者は2年間の現役満了をする3か月前に順序を経て陸軍大臣に出願することで引き続き現役に服することが可能であった(陸軍省令第37号、第10条)。
- ^ 現役期間を採用から満2年間に限定するもの。
- ^ 兵籍(へいせき)とは軍の構成員である身分のこと。
- ^ 現役将校のうち、とくに陸軍大学校卒業者は中央官衙勤務に配置されることが多い。
- ^ 一般に中尉と少尉が「下級将校」あるいは「初級将校」とされた。
- ^ 1933年以降の制度の場合。
- ^ 試験成績によって甲種乙種に区分する前の幹部候補生と、乙種幹部候補生は従来と同じ「座金」の特別徽章を着用した。
出典
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