工場災害
爆発や火災、ガス漏れ、破裂などの工場災害が右肩上がりで増加し、2007年は過去最高になりました。死傷事故も増加の兆しを見せています。設備の老朽化や杜撰(ずさん)な管理体制、安全管理に詳しい熟練作業者の減少など、さまざまな理由が考えられます。
高圧ガス保安協会の調査によると、製造事業所の災害事故件数は2002年から増加に転じ、2007年は10月末時点で110件と、すでに2006年累計(98件)を上回っています。これは1965年に統計を取り始めて以来、年間ベースで最高になります。
最大の原因は設備の維持・管理不良にあります。5年前に比べ、設備の劣化・腐食による事故は3倍、点検不良による事故は2倍に跳ね上がっています。受注拡大に対応しようと、老朽化した設備を無理やり使い続けたケースで事故が多発しているようです。
背景には作業者の暗黙知も含め、危険認識力の低下がありそう。団塊世代の熟練作業者が定年を迎える「07年問題」の影響が、ついに顕在化してきたともいえます。定期点検を実施していても、点検箇所とは別の所で事故が発生しているケースが少なくないからです。
「設備の稼働音がするなかで、かすかなガスの漏えい音を聞き分けられる」、「配管についた霜からガス漏れを察知できる」など、安全管理ではこうした熟練作業者の五感が欠かせないようです。熟練作業者の抜けた穴を派遣労働者などで埋め合わせた結果、安全管理が疎かになり、事故の増加につながっているとの指摘もあります。
事故防止は作業者ひとり1人の安全意識を、いかに高いレベルに保てるかにかかっています。事故はトラブルで停止した設備を再稼働させるときに多発する傾向にありますが、設備の性能向上に伴って修理や点検の機会が減り、安全意識の定着を難しくしているとの報告もあります。人間に似せた人形を被災させて作業者に危険を疑似体験させるなど、従来にも増して危険を再認識させる教育や訓練が重要になっています。
(掲載日:2008/03/15)
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