宙に浮いた年金
別名:宙に浮いた年金記録、宙に浮く年金記録5000万件
社会保険庁が管理している年金記録のうち、正しく記録されていない年金のこと。
1997年から1人に1つの基礎年金番号を割り振って管理されることになったが、今までに入力されていたデータにミスがあることが発覚し、旧来の年金番号を基礎年金番号に移行できないものが生じた。このように年金記録としては存在しているものの、誰が支払ったのかが不明な年金を宙に浮いた年金と呼んでいる。宙に浮いた年金は、約5000万件あるといわれている。
なお、コンピュータ化の際にデータ入力を忘れてしまったり、社会保険庁の職員による保険料横領などで記録がないものは、「消えた年金」と呼んでいる。
年金記録問題
(宙に浮いた年金記録 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 12:59 UTC 版)
年金記録問題(ねんきんきろくもんだい)とは、日本において1人1番号という行政統一番号制度(国民識別番号)が無く、年金記録においても各行政ごとに一人の個人に複数の異なる番号を用いていた繁雑さ、社保庁職員労組である自治労国費評議会(地方公務員労組である自治労の下部組織)が手帳の統一、相談コーナーの設置、記録のオンラインなど各種合理化に反対し[1]、社保庁に対する各種抵抗を自賛し、1979年以降からオンライン化を呑む対価として自分たちに有利な多数の覚書[2]まで締結させていたこと[3][1][4]、オンライン化データ(社会保険庁職員がコンピュータで入力した年金記録)に誤りや不備が多いこと等が明らかになった問題である[1][3][4][5]。「消えた年金」問題とも呼称される[6][7]。
注釈
- ^ 前身の左派第一野党であり続けた日本社会党は国民識別番号制度反対、民主党時代も政権交代で国家運営を経験するまでは反対してきた。しかし、2011年7月に菅直人首相と与党民主党の社会保障改革検討本部は、社会保障と税の共通番号大綱を決定した。共通番号の名称を「マイナンバー」とすることと関連法案提出も決めた。
出典
- ^ a b c d e “asahi.com:消えた年金の遠因? 社保庁労組、手帳統一など次々反対 - 5000万件の不明年金”. www.asahi.com. 2023年6月22日閲覧。
- ^ 昭和54年の「端末機の操作にあたりノルマを課したり、実績表を作成したりしない」など、平成14年の「昼休みの窓口対応は職場で対応できる必要最小限の体制で行う」などと「覚書」が締結されていた。他にも社保庁職員労組は、職員の労働時間配分や仕事量も具体的な数字で有利に制限しており、「コンピューター端末の連続操作時間は50分以内(のちに45分以内)とし、15分の操作しない時間をつくる」「1人1日のキータッチは5000以内とする」ことなどが取り決められた。公務員の労組には協約締結権は無いために覚書は法的な効力は無効であるにもかかわらず、社保庁へ労組が結ばさせた内容は、A4判計105ページもあり、2005年まで社保庁は遵守させられていた。
- ^ a b c 社会保険庁と自治労国費評議会が締結していた覚書 内閣官房
- ^ a b c d e f g h i “「消えた年金?」問題について - 参議院議員 末松信介 ホームページ”. suematsu.org (2007年7月6日). 2023年6月22日閲覧。
- ^ a b “main”. www.jfss.gr.jp. 日本戦略研究フォーラム. 2023年6月22日閲覧。
- ^ “「消えた年金」問題 年金記録の回復が早くなります”. 厚生労働省. 2023年12月26日閲覧。
- ^ “ミスター年金の長妻氏、首相を追及 消えた年金問題重ね:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2019年2月4日). 2023年12月26日閲覧。
- ^ 社会保険事業運営評議会第16回議事録 [リンク切れ]
- ^ ASCII.jp:情報社会の新たな課題~消えた年金のシステム問題~ (1/5)
- ^ “社会保険庁改革関連法 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2023年6月22日閲覧。
- ^ 『韓国の住民登録番号(PIN)制度について 』(4)住民登録番号の使用範囲,高山憲之2007 年11 月
- ^ a b マイナンバー制度の本質と今後の展望(項目:あらまし、マイナンバー成立の経緯) - Fujitsu 富士通総研経済研究所 榎並利博
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- ^ “社会保障と税の共通番号、名称は「マイナンバー」”. 日本経済新聞 (2011年7月1日). 2020年6月8日閲覧。
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- ^ 年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について
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- ^ 社会保険庁の廃止に伴う職員の移行等の状況について
- ^ 社保庁長官退職 厚労相「懲戒処分歴、例外認められぬ」 朝日新聞 2010年(平成22年)1月5日
- ^ 「年金記録問題に対する基本的考え方」(自治労本部及び全国社保労組)
- ^ 新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の策定について
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