奥美濃の人生儀礼用具とは? わかりやすく解説

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奥美濃の人生儀礼用具

名称: 奥美濃の人生儀礼用具
ふりがな おくみののじんせいぎれいようぐ
種別 人の一生に関して用いられるもの
員数 1,504点、附53
指定年月日 1995.12.26(平成7.12.26)
所有者 郡上市明宝歴史民俗資料館保管
所有者住所 岐阜県郡上市
管理団体名:
備考
解説文: 明宝村岐阜県のほぼ中央、旧美濃の国飛騨の国国境にあり、平成七年四月現在の人口は二、二〇余人で、郡上郡北東端に位置している。面積一五七・四一平キロで、そのうち山林原野がおよそ九五パーセント占める。中央北から南に和良【わら】山脈走り、その東に馬瀬【まぜ】山地、西に奥住【おくずみ】・気良【けら】の両山地寒水【かのみず】山脈が並ぶ。中央長良川支流吉田川流れ西部山地からは同じく長良川水系属す寒水川、気良川が、和良山脈を境に東は木曽川水系日出【ひずも】川が南流している。
 この谷筋沿って大谷おおたに】・寒水【かのみず】・気良【けら】・奥住【おくずみ】・小川【おがわ】・畑佐【はたさ】・二間手【ふたまて】の七つ集落点在する。これらの集落は、江戸時代にはすべて郡上藩領に属していた。現在の村域は、明治三十年に前記七つ合併して奥明方【おくみようがた】となったもので、以後昭和四十五年に明方村平成四年に明宝村名を変更して現在に至っている。
 耕地少ないことから産業林産多く昭和初期には木炭生産県下一といわれた。また、古くから畜産行われており馬の産地としても名高く昭和初期からは牛の飼育も行われている。農業傍ら養蚕盛んに行われ、繭の生産かつては木炭に次ぐものであった一方農業はあまりふるわずかつては飯米約半分村外からの移入頼っていた。
 村域には浄土真宗の寺院が各集落ごとにあり、現在九か寺を数える。村民信仰生活はこの寺院中心に営まれており、生活全般にわたって浄土真宗の影響大きかった
 今回とりまとめられた資料は、明宝村博物館永年活動によって収集整理された、約三八〇〇〇点の資料のなかから人生儀礼に関するものを整理したのである。この博物館収蔵されている資料は、昭和三十九年から村内中心に収集されたものであり、その八パーセント村民寄贈よるものであるが、他に奥美濃地方一帯からも資料収集されており、奥美濃地方代表する生活用具コレクションとなっている。今回資料明宝村中心に八幡町その他の郡上郡町村から収集されたものを含んでいる。
 本資料は、出産儀礼関係用具生育儀礼関係用具婚姻儀礼関係用具成人年祝い関係用具葬送関係用具五つの項目と、附の祝儀不祝儀帳等からなる
 以下、これらの資料について特色をみてゆくと、
 出産儀礼関係用具はさらに妊娠関係用具出産関係用具産婦関係用具分類整理されている。妊娠関係用具では、妊娠に際して嫁の実家から餅を入れて嫁ぎ先贈られるジュウバコや、安産祈願ハラオビ、アンザンノゾウリ、アンザンノゴフなどがある。この地方では、村内にある気良の弘法堂こうぼうどう】や八幡町弘法堂同大乗寺【だいじようじ】の鬼子母神高野山伏見稲荷等から請け護符を身につけたり高野山からいただいたオコロモキレを細かくちぎって服用した。特に、信濃の善光寺戒壇巡りに履いた草履は、産気づいたときにこれで腹をなでると安産になると信じられた。出産関係用具は、オビヤとよぶ産所寝具臍の緒切りの用具産湯用具新生児用の産着からなる。この地方出産納戸敷物はずした板場に、【わら】の袴の部分入れたスクベブトンを敷き、ツンズリという古布敷いた上で座産で行う。このうちヘソノオキリソギラは枯れた斜めに鋭く切り取ったもので、臍の緒の二か所を緩く縒ったのヘソノオククリヒモでしっかりと結わえ、その中間をこれで切り離す。ヘソノオキリソギラはその後握り鋏変わった産湯を沸かすナベ柄杓等は、日常用台所用具用いる。産湯に漆浮かべて入れると、その子一生漆にかぶれないなどといった。ウブギ背中真綿のばして付けたものや地織の絣、縞などのものがあり、頭には真綿のばして作ったマワタノボウシを被せる。産婦関係用具産後産婦履き物や、三つ目七つ目とよばれる三日お七夜関係する用具と、オビヤシナイといわれる出産見舞い用具などである。産婦三日目までは腰湯使い七日を過ぎると全身浴をすることができた。七日を過ぎるまでにオビヤ以外に出かけるときにはワラゾウリを履いた。オブクマイブクロは吉凶問わず白米を贈る場合入れ物として用いられるもので、もともとは地織木綿地味な端切れ作られていたが、大正時代からモスリンなどの派手な端切れ縫って作るようになった
本件は、奥美濃地方人々出産生育婚姻成人年祝葬送にわたる人の一生節目かかわって用いられてきた儀礼用具系統的に収集したのである
重要有形民俗文化財のほかの用語一覧
交通・運輸・通信に用いられるもの:  越後姫川谷のボッカ運搬用具コレクション  飛騨のそりコレクション
人の一生に関して用いられるもの:  名つけ帳・黒箱  奥美濃の人生儀礼用具  白山麓西谷の人生儀礼用具及び民家
信仰に用いられるもの:  おしらさまコレクション  三宅八幡神社奉納子育て祈願絵馬


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