おくただみ‐こ【奥只見湖】
奥只見湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 14:09 UTC 版)
奥只見湖(おくただみこ)は、奥只見ダムによって形成される人造湖。正式には銀山湖(ぎんざんこ)と呼ぶ。その巨大さは完成以降徳山ダムに抜かれるまで貯水容量日本一を誇っていた。 2005年に魚沼市の推薦により財団法人ダム水源地環境整備センターが選定するダム湖百選に選ばれているこの人造湖は、ダムや湖をモチーフに多くの小説家が小説を執筆している。特に三島由紀夫がダム設計技師の青年と人妻の出会いから破局までの愛の軌跡を描いた『沈める滝』は有名である。そして、奥只見湖をこよなく愛した文豪も居た。作家にして大の釣り師としても著名な開高健である。 1970年6月、開高は『夏の闇』執筆の最終段階に入り湖畔の銀山平にて仕上げに掛かっていた。この地に2か月滞在していたがこの間に奥只見湖の魅力に惹かれ、これ以後度々訪れては釣りと景色を満喫していたという。当時開高が奥只見湖を評して『銀山湖畔の水は水の味がし、木は木であり、雨は雨であった』と表現し自然と同化する湖を激賞していた。だが当時よりイワナの大物が釣れる湖として有名であった奥只見湖は、密漁等による乱獲で漁業資源が著しく減少していた。 これに対し、1975年に開高は「奥只見の魚を育てる会」を結成。地元住民や漁獲減少を憂う釣り師に対しアドバイスを行い、禁漁区の設置など密漁防止の為の対策を講じた。こうした活動が実を結び1981年、湖に注ぐ北の又川が日本で初となる通年禁漁区に当局から指定された。北の又川はイワナやヤマメの産卵域であり、漁業資源保護の為の対策である。こうして奥只見湖にはイワナ・ヤマメの他ニジマス・サクラマス等が泳ぐ天然魚の宝庫となり、運がよければ60cmを超える大イワナが釣れるという。開高死後も会の活動は続けられている。 1990年代後半にはブラックバスの密放流が問題となり、早急な対策が迫られた。1999年(平成11年)8月、奥只見湖でコクチバスの存在が確認された。既に全国各地で在来魚への影響が問題視されていたこともあって、「育てる会」は奥只見湖の漁業権を保持する魚沼漁業協同組合にブラックバス対策を要望した。これを受け魚沼漁協は新潟県内水面試験場と共同で同年10月にブラックバスの捕獲調査を実施した。この結果密放流によると思われるブラックバスの生息が確認された。漁協では駆除を図り、新潟県は12月に「外来魚のリリース禁止」を決定した。 漁協や「育てる会」はこの後バス擁護派とシンポジウムなどで意見交換を行ったが、「感情論だけではバス問題は解決しない」として賛同するバスプロやバス釣り愛好家に呼びかけて奥只見湖におけるバスの駆除や密放流防止を共同して行った。だが、最大のバス釣り擁護派である日本釣具振興会が2001年(平成13年)にバス駆除を名目とした「奥只見湖ブラックバス釣り大会」の開催を魚沼漁協に要望したが、「育てる会」はさらなる密放流を招くなどの理由から開催に反対、漁協も「いかなる理由であれ、奥只見湖においてブラックバスを釣るための大会は行わせない」として振興会の提案を拒絶している。
※この「奥只見湖」の解説は、「奥只見ダム」の解説の一部です。
「奥只見湖」を含む「奥只見ダム」の記事については、「奥只見ダム」の概要を参照ください。
- 奥只見湖のページへのリンク