大都市近郊区間 (JR)
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大都市近郊区間(だいとしきんこうくかん)とは、JRの旅客営業規則(以下「旅規」という)第156条第2号に規定する区間である。東京・大阪・福岡・新潟・仙台の近郊に設定されており、それぞれ東京近郊区間・大阪近郊区間・福岡近郊区間・新潟近郊区間・仙台近郊区間という。東京近郊区間・大阪近郊区間・福岡近郊区間は日本国有鉄道(国鉄)時代から規定されており[1]、新潟近郊区間および仙台近郊区間はJR発足後に規定された[2][3]。
注釈
- ^ JR各社にIC乗車券が導入されてからは、大都市近郊区間の拡大はJR東日本管内のみでなされており、JR東日本はその大都市近郊区間拡大について「Suicaの利用可能エリア拡大と合わせる」と明確にしている[4][5][6][3][7][8]。ただし、Suicaの利用可能エリアと大都市近郊区間を合わせる具体的理由については言及がない。
- ^ 新線開業によるものを除き、福岡近郊区間は設定以来、大阪近郊区間は1998年を最後に区間の拡大は行われていないが、JR東日本の管轄する大都市近郊区間ではIC乗車券のエリア拡大と共に広がりを続けている。とくに東京近郊区間は、1999年5月時点では東京起点70km程度だったが、2014年4月の拡大では松本駅、2020年3月の拡大で浪江駅も含まれるようになり、東京起点200kmを超える区間も東京近郊区間に含まれるようになっている。
- ^ 「下車前途無効」とは、券面区間の途中駅で下車した場合、以降の未乗車区間(前途)の乗車券としての効力が消失(無効)すること。すなわち途中下車はできない。
- ^ 実乗車経路に基づく運賃ではなく、あらかじめ正しく乗車券を購入していたと仮定した場合の運賃である。すなわち、区間変更時の運賃計算にも旅規第157条第2項の考え方が適用される。
- ^ どちらを選択するかは旅客に権利がある。
- ^ 旅規第157条第2項「その区間内においては」から。
- ^ なお、折返し乗車に関しては原則不可能であると解釈できる規則が存在し、それは旅程第149条および第151条第3項である。ともに大都市近郊区間の選択乗車における区間外乗車に関する(前者に関しては大都市近郊区間内の選択乗車の場合を含む)条文であるが、仮に「経路」に折返し乗車の制限がないとした場合、当該条文区間が折返し区間を含めて乗車できるのは当然となり、この規定もしくは条文が存在する意味がない。すなわちこの条文の存在は、そもそも原則的に大都市近郊区間の選択乗車において折返し乗車が認められていないことを暗に示しているといえる。
- ^ ただし、旅程第115条に該当する場合を除く。
- ^ 当然、大都市近郊区間相互間である必要がある。
- ^ 当然、選択乗車経路として認められている経路である必要がある。
- ^ a b c d e f g 鉄道駅バリアフリー料金制度による加算料金(10円)を含む。
- ^ 中には、遠回りで運賃計算したほうが合理的な場合もある。例えば、ジパング倶楽部会員が久里浜駅 - 浦和駅間を往復する場合、最安運賃経路(最短経路)である横須賀線・東海道本線・東北本線経由【経路1】では営業キロが片道94.6kmであるため、ジパング倶楽部割引適用条件である「JRを片道・往復・連続いずれか201キロメートル以上」に当てはまらず割引を受けることができない(往復普通運賃:3240円[注 11])が、往路ないし復路の一方を横須賀線・東海道本線・南武線・武蔵野線・東北本線経由【経路2】として連続乗車券とすれば、経路2は営業キロが113.5kmとなることから、経路1の94.6kmと合わせて「JRを連続で201キロメートル以上」の条件を満たすため、割引を受けることができる(経路1:1620円[注 11]、経路2:1880円[注 11]、2割引適用で計2800円、3割引適用で計2450円)。そして実際の乗車においては、経路2は大都市近郊区間の特例が適用されるため、往復とも経路1で乗車して構わない。なお、往復で「JRを201キロメートル以上」の条件をわずかに満たさない場合で、連続乗車券によりジパング倶楽部割引を適用させるためには、一般に復路(連続2)の着駅を往路(連続1)の発駅より逆側の遠方に置くことで条件を成立させる方法が簡便と言えるが、例のケースでは往路の発駅が盲腸線の終端駅である久里浜駅であるため使えず、先に示した一方の運賃計算経路をあえて遠回りさせる方法が活きる。
- ^ 電車特定区間や地方交通線がかかわってくる際に距離と運賃の逆転現象が発生する場合がある。前者の例としては、南船橋駅 - 千葉駅間の最短経路は蘇我駅経由の20.8kmであり、この場合の運賃は420円となるが、西船橋駅経由の場合は24.0kmと蘇我駅経由より長いものの、電車特定区間内であるため運賃は410円[注 11]と安くなる。後者の例としては、和歌山駅 - 志都美駅間の最短経路は全線和歌山線経由の83.0kmであり、この場合は和歌山線が地方交通線であるため全線地方交通線の場合の運賃が適用され1690円となるが、天王寺駅経由の場合は87.9kmと全線和歌山線経由より長いものの、幹線である阪和線・関西本線と地方交通線である和歌山線を経由する形となるため運賃形態は(全線地方交通線の場合より安い)幹線のものが適用され、また地方交通線区間が王寺駅 - 志都美駅間の4.5km(換算キロ5.0km)と短いことで実質的に運賃計算上の影響がなく、運賃は1520円と安くなる。
- ^ 「幹」は新幹線のこと、「在」は在来線のこと。
- ^ 幹在別線に扱われる条件は区間内の並行在来線の駅(両端の駅を除く)を発駅・着駅・接続駅のいずれかとする場合のみであるが、大都市近郊区間に含まれないのはその条件とは一切関係がなく無条件である。
- ^ 東海道新幹線京都 - 新大阪間および山陽新幹線小倉 - 博多間。
- ^ それまでの旅規にはすでに第16条の3が存在(常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客の取扱い)し、この新第16条の3の設定により旧第16条の3は第16条の4と変更された(2022年現在は第16条の5になっている。)。
- ^ 旅規第16条の2の幹在同一視の原則に該当する区間から新下関駅 - 博多駅間が除外された。
- ^ 旅規第156条第2号に「(注)新幹線小倉・博多間(小倉駅及び博多駅を除く。)は、福岡近郊区間には含まれない。」が追記された。
- ^ ただし、東京近郊区間が拡大された1999年6月1日時点では、旅規第156条第2号において、新横浜駅 - 熱海駅間の新幹線経由を除外する条文がなく、除外されていた東京駅 - 新横浜駅間を含む場合および、新横浜駅を発着駅ないし接続駅となる場合(旅規第16条の2第2項により新横浜駅 - 小田原駅間が幹在別線扱いとなる)を除いた、小田原駅 - 熱海駅間が幹在同一視の原則に基づき東京近郊区間に所属しているとみなされる状態になっていた。この状態は旅規第156条第2号が再度改訂された同年7月2日まで続いた[11][出典無効]。
- ^ 山形新幹線は旅規第16条の2において「新幹線」と規定されていない。
- ^ 山形駅 - 羽前千歳駅間は旅程第151条による区間外乗車。
- ^ 旅規第16条の2第2項または第16条の3に該当する場合は幹在同一視の原則が適用されないため除く。
- ^ 小倉駅 - 博多駅間を除く。
- ^ 新幹線米原駅 - 新大阪駅間および西明石駅 - 相生駅間は含まれる(両区間が大阪近郊区間であるため)。
- ^ 旅規第16条の2第2項ないし第16条の3に該当する場合は除く。
- ^ 前述通り、大都市近郊区間における「選択乗車」には、「第16条の2の規定にかかわらず」により幹在同一視の原則が適用されない。
- ^ 前者の解釈をすると、例えば旅規第157条第3項における「他の経路を乗車中に途中駅において下車」について、すでに一部区間を券面経路外乗車している旅客が券面経路上の駅で下車する場合もそれに含まれるため、そのケースで事実上無意味な区間変更の扱いがされるという不都合が生じてしまう。
- ^ 米原駅 - 新大阪駅間および西明石駅 - 相生駅間は大阪近郊区間に含まれるため当てはまらない。
- ^ JR東日本の在来線駅では、群馬県は湯檜曽駅・土合駅、栃木県は高久駅・黒田原駅・豊原駅、茨城県は下野宮駅、長野県は大糸線(北松本駅 - 南小谷駅間)・篠ノ井線(田沢駅 - 篠ノ井駅間)・信越本線(篠ノ井駅 - 長野駅間)・小海線(信濃川上駅 - 小諸駅間)・飯山線(豊野駅 - 森宮野原駅間)が含まれていない。
- ^ JR東日本東海道本線全線。
- ^ 路線案内上は品川駅 - 鶴見駅間が横須賀線、鶴見駅 - 羽沢横浜国大駅間が相鉄線直通またはJR埼京線直通。
- ^ 路線案内上は埼京線。
- ^ 中央線快速・中央・総武緩行線含むJR東日本中央本線全線。
- ^ 群馬県内全線。
- ^ その他の近畿地方にある府県では、滋賀県では東海道本線(柏原駅・近江長岡駅・醒ケ井駅)、京都府では山陰本線(船岡駅 - 上夜久野駅間)・舞鶴線・小浜線、兵庫県では山陽新幹線(新神戸駅)・福知山線(柏原駅 - 丹波竹田駅間)・山陰本線(梁瀬駅 - 居組駅間)・播但線・姫新線・山陽本線(有年駅・上郡駅)・赤穂線(天和駅・備前福河駅)、和歌山県では紀勢本線(和歌山駅を除く)がエリア外である。三重県では関西本線(柘植駅 - 島ケ原駅間)のみが区間内となる。
- ^ 路線案内上は米原駅 - 京都駅間が琵琶湖線、京都駅 - 大阪駅間がJR京都線、大阪駅 - 神戸駅間がJR神戸線。
- ^ JR西日本東海道本線全線。
- ^ この区間のみJR東海、他路線は全てJR西日本所属。
- ^ この区間のみJR西日本、他路線は全てJR九州所属。
- ^ 福岡県内の在来線では、鹿児島本線の久留米駅 - 大牟田駅間、日豊本線の南行橋駅 - 吉富駅間、久大本線、筑肥線が近郊区間外である。
- ^ 新潟県内のJR東日本在来線では、只見線(大白川駅 - 小出駅間)、飯山線(足滝駅 - 越後川口駅間)、米坂線(越後金丸駅 - 坂町駅間)、羽越本線(間島駅 - 府屋駅間)、磐越西線(豊実駅 - 猿和田駅間)、上越線(土樽駅 - 越後川口駅間)が組み込まれていない。大糸線(平岩駅 - 糸魚川駅間)はJR西日本である。
- ^ 旅規第156条では、仙台近郊区間の範囲について、「奥羽本線福島・新庄間に運転する特別急行列車に乗車する場合を除く。」と規定されている。
- ^ 当初は東日本大震災の影響による不通区間が含まれていたが、2016年12月までに近郊区間内の不通区間は全て解消されている。
- ^ a b c d e 2011年現行の旅程には記載なしだが、その後の旅規第157条の改訂に伴い設定されたものだと推察される。[独自研究?]
- ^ 会社線区間は各会社の運送約款に基づく。しかし、JR線が大都市近郊区間相互発着の連絡運輸の場合、大半は会社線も途中下車を禁止している(東武鉄道旅客営業取扱基準規程第142条など)
- ^ 初乗り運賃で環状線1周が成立する駅は、現状では神田駅、秋葉原駅、御茶ノ水駅(150円[注 11])の3駅のみである。また、初乗り運賃にこだわらなければ、比較的安い運賃で環状線1周が成立し、大回り乗車後に発駅で下車できる。例:東京駅 - 秋葉原駅 - 錦糸町駅 - 東京駅、または川崎駅 - 鶴見駅 - 浜川崎駅 - 尻手駅 - 川崎駅、あるいは赤羽駅 - 尾久駅 - 日暮里駅 - 田端駅 - 赤羽駅の範囲内の駅→230円[注 11]で環状線1周が成立する。
- ^ ICカード乗車券との区別のためこのような言い方がなされるのが一般的である。
- ^ IC乗車券エリアが大都市近郊区間を完全に内包してはおらず、例えば加古川線新西脇駅 - 久下村駅間の各駅、日田彦山線石田駅 - 添田駅間の各駅等、大都市近郊区間内でIC乗車券エリア外である駅も存在する。
- ^ Suicaエリアで適用されている1円単位のIC運賃による事例は含まない。
- ^ 原田線はSUGOCAの利用可能エリアではない[18]が、運賃計算の特例に使用する路線である[19]ため、この場合は原田線経由で運賃計算される。
- ^ 同区間は、旅規第156条第2号に明記された区間ではない。旅規第16条の2(幹在同一視の原則)に基づき、大阪近郊区間に含まれると解釈できる。
- ^ 同区間は、旅規第156条第2号に明記された区間ではない。同区間は旅規第16条の2第2項(幹在同一視の原則の例外)第3号に記述の区間であるが、かっこ書きの条件を満たす場合は同条同項に該当せず旅規第16条の2(幹在同一視の原則)が適用されるため、大阪近郊区間に含まれると解釈できる。
- ^ ただし、前者については東京近郊区間設定以来より区間外であると解釈できる。
- ^ 旅規第16条の2第2号は改訂されなかったため、新幹線上野駅 - 大宮駅間の並行在来線は既存の大宮駅 - 盛岡駅間同様東北本線であると解釈される。
- ^ 旅規第16条の2第2号は改訂されなかったため、新幹線東京駅 - 上野駅間の並行在来線は既存の上野駅 - 盛岡駅間同様東北本線であると解釈される。
- ^ 1999年6月1日時点の旅規第156条第2号では、「(注)新幹線東京・新横浜間(東京駅及び新横浜駅を除く。)は、東京近郊区間には含まれない。」と規定されている。他方、幹在同一視の原則が適用される東海道新幹線:小田原 - 熱海は、東京近郊区間から除外していないと解釈することができる。
出典
- ^ 『時刻表』1984年9月号、日本交通公社、1984年9月、429-430頁。
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- ^ a b 『吾妻線に Suica の一部サービスをご利用いただける駅が増えます』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2014年5月13日 。2023年5月19日閲覧。
- ^ a b 『Suicaご利用可能エリアの拡大について 〜2020年春より常磐線の一部区間で新たにSuicaをご利用いただけるようになります〜』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2019年10月29日 。2019年10月29日閲覧。
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- ^ “東京~長野が「途中下車不可」になる? Suica拡大で「近郊区間が拡大」波紋の理由”. 乗りものニュース編集部. 2024年1月21日閲覧。
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