おおいぬ‐ざ〔おほいぬ‐〕【大犬座】
おおいぬ座
名称:おおいぬ座(大犬座)
学名:Canis Major
小分類:北半球
構成する主な星雲、星団、恒星:M41(散開星団)/シリウス(アルファ星)
神話の主な登場人物:オリオン/レラプス/ゼウス/エウロパ/プロクリス/ケファルス
日本で観測できる時期:10月〜3月の約6ヵ月間
見ごろの季節:冬(2月下旬に20時正中)
おおいぬ座は、全天1明るい星シリウス(-1.5等星)が主星の華やかな星座で、オリオン座の左下に頭を上に立ったような姿を見せています。シリウスは太陽から6番目に近い恒星であるうえに、太陽の14倍の明るさをもった青白い星で、古代エジプトではナイルの氾濫を教える星だと珍重されました。また、おおいぬ座付近はほどよい明るさの星や星団が散りばめられており、双眼鏡観測なども楽しい領域です。
1.見つけ方のポイント
冬の南の空は明るい星が多く華やかですが、その中でもひときわ明るいのがシリウスです。オリオン座の三つ星ベルトに沿って下方に目を向けると、シリウスを簡単に見つけることができます。オリオン座の肩にある一等星ベテルギウスと、シリウスよりやや東の上方に輝くこいぬ座の主星プロキオンの3つの一等星を結ぶと正三角形になるため、これを「冬の大三角」と呼びます。
2.神話の内容について
ギリシャ神話では、猟師オリオンの猟犬の一匹でうさぎを追っている姿だと言われます。また、別の説では獲物を逃がしたことのない大犬レラプスだと言われています。レラプスはもともと大神ゼウスが寵愛したフェニキア王の娘エウロパに与えた犬でしたが、後にアテネの王女プロクリスのものになりました。プロクリスの死後、夫のケファルスは狐退治のためにレラプスをテーベの国に放ちますが、狡猾な狐との間で勝負がつかず、見かねたゼウスは2匹を石に変え、レラプスだけを星座にしたということです。
3.同じ時期に見える星座について
おおいぬ座の周囲は、冬の星座の白眉ともいえるほど華やかな星座が集まります。おおいぬ座とともに「冬の大三角」をつくるオリオン座、こいぬ座。冬の大三角の中には、目立ちませんがいっかくじゅう座があり、こいぬ座の上方にはふたご座が横たわるのを見ることができます。
※参考文献:誠文堂新光社「星座クラブ」(著者・沼澤茂美)、日本放送出版協会「NHK銀河宇宙オデッセイ・大星夜ウオッチング」(監修・古在由秀、NHK取材班編)、ナツメ社「星空ガイド」(著者・沼澤茂美、脇屋奈々代)、教育社「NEWTONコレクションNASA宇宙開発のパイオニアスペースシャトル/歴史と未来」(監修・竹内均)
おおいぬ座
Canis Major | |
---|---|
属格形 | Canis Majoris |
略符 | CMa |
発音 | [ˌkeɪnɨs ˈmeɪdʒər]、属格 /ˈkeɪnɨs məˈdʒɒrɨs/ |
象徴 | the greater dog |
概略位置:赤経 | 7 |
概略位置:赤緯 | −20 |
広さ | 380平方度[1] (43位) |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 32 |
3.0等より明るい恒星数 | 6 |
最輝星 | シリウス(α CMa)(-1.46等) |
メシエ天体数 | 1 |
確定流星群 | 無し |
隣接する星座 | いっかくじゅう座 うさぎ座 はと座 とも座 |
おおいぬ座(おおいぬざ、大犬座、Canis Major)は、トレミーの48星座の1つ。日本では冬の南の空にやや低く見られる星座である。
α星は、全天21の1等星の中で最も明るく、シリウスと呼ばれる。シリウスと、こいぬ座のα星プロキオン、オリオン座のα星ベテルギウスの3つの1等星で、冬の大三角を形成する[2]。
主な天体
恒星
1等星のα星(シリウス)以外に、β星、δ星、ε星、η星の4つの2等星がある[3][4][5][6]。
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている。
- α星:シリウス (Sirius) は、おおいぬ座で最も明るい恒星で、全天21の1等星の1つで、地球から見える太陽の次に明るい恒星である[7]。この星は、太陽から非常に近い恒星の1つである[7]。シリウスはギリシャ語で「光り輝く者」や、「焼き焦がす者」を意味するセイリオスに由来している。
- β星:ミルザム (Mirzam) 2等星。
- γ星:ムリフェイン (Muliphein)
- δ星:ウェズン (Wezen) 2等星。
- ε星:アダラ (Adhara) 視等級が1.50等と、2等星の中で最も明るい[5]。
- ζ星:フルド (Furud)
- η星:アルドラ (Aludra) 2等星。
- σ星:アボリジニの言葉に由来するUnurguniteという固有名を持つ。
- HD 43197:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でナイジェリアに命名権が与えられ、主星はAmadioha、太陽系外惑星はEquianoと命名された[8]。
- WASP-64:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でトーゴに命名権が与えられ、主星はAtakoraka、太陽系外惑星はAgoutoと命名された[8]。
その他、以下の恒星が知られている。
星団・星雲・銀河
この星座には明るい星団・星雲はあまりない。
- M41(NGC 2287):散開星団。おおいぬ座で唯一の明るい星団。視等級4.6で、シリウスの南4°の位置にある。
- NGC 2360:散開星団。γ星の南3°の位置にある。
- NGC 2362:散開星団。τ星の位置にある。
- おおいぬ座矮小銀河
由来と歴史
プトレマイオスは、この星座の周りの11個の星を「星座を形作らない星」として挙げていた。現在、そのうちの9個ははと座、1個はいっかくじゅう座、残る1個はおおいぬ座の星となっている[10]。
神話
偽エラトステネスやヒュギーヌスは神犬ライラプスに結び付けている。ライラプスは、もともとヘーパイストスがゼウスのために作った、必ず獲物を捕まえる力を持つ犬であった。その飼い主は転々とし、アテナイのケパロス (Cephalus) のものとなった[10]。アムピトリュオーンはテーバイを苦しめるテウメーッソスの狐を退治するためにライラプスを持つケパロスを頼った。この牝の狐は誰にも捕まらないという運命にあったため、牝狐は逃げきることができず、ライラプスも牝狐を捕まえることができず、延々と追いかけ続けた。これを見たゼウスは、両者を石に変え、ライラプスは空に上げておおいぬ座とした[10]。
また、オーリーオーンの猟犬という見方もされる。アラトス、ホメロス、ヘシオドスは、オーリーオーンの足元でこの犬がウサギ(うさぎ座)を追いかけているとしている[10]。
呼称と方言
日本には、おおいぬ座に関係するアステリズムおよび主星シリウスの方言がいくつか存在する。
出典
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ “冬の星空を楽しもう”. AstroArts. 2013年5月11日閲覧。
- ^ “Results for V* bet CMa”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月24日閲覧。
- ^ “Results for NAME WEZEN”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月24日閲覧。
- ^ a b “Results for NAME ADARA”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月24日閲覧。
- ^ “Results for V* eta CMa”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月24日閲覧。
- ^ a b “Results for NAME SIRIUS A”. SIMBAD Astronomical Database. 2013年1月19日閲覧。
- ^ a b “Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月4日閲覧。
- ^ “冬の二重星”. 鹿角平天文台. 2013年5月12日閲覧。
- ^ a b c d Ian Ridpath. “Star Tales - Canis Major”. 2014年2月4日閲覧。
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