国指定文化財等データベース |
大江八幡神社の御船行事
| 名称: | 大江八幡神社の御船行事 |
| ふりがな: | おおえはちまんじんじゃのおふねぎょうじ |
| 種別1: | 風俗習慣 |
| 保護団体名: | 大江氏子会 |
| 指定年月日: | 1999.12.21(平成11.12.21) |
| 都道府県(列記): | 静岡県 |
| 市区町村(列記): | 牧之原市大江 |
| 代表都道府県: | 静岡県 |
| 備考: | 8月15日 |
| 解説文: | わが国の各地には神幸行事に際して、神霊の乗り物または風流の作り物として実物の船や模型の船、船型の山車などを曳き回す行事が数多く見られる。 その中でも静岡県榛原【はいばら】郡の相良【さがら】町・榛原町には、御船唄に合わせて精巧な模型船を操り、柱起こしや帆上げなどの操船儀礼を行うとともに、神幸行列の先頭を務め練りを行うなど特色ある船行事が伝承されている。 相良町大江に鎮座する大江八幡神社は、誉田別尊【ほんだわけのみこと】(応神天皇)・大雀命【おおささぎのみこと】(仁徳天皇)・玉依姫命【たまよりひめのみこと】の三神を祭神とし、大江区の平田・海老江・東中の三地区の人びとを氏子とする神社で、毎年八月十五日に御船行事【みふねぎようじ】が行われる。 この神社は、江戸時代には小牧八幡宮と称されて歴代相良藩主の崇敬を集めるとともに、旧大江郷一三か村と相良町・徳村・福岡町とを加えた相良全体の総産土神であったが、明治六年ころに氏子域の変更があって現在の大江区の氏神となった。 大江八幡神社の祭礼は八月十四日・十五日に行われ、九人の氏子総代を中心とする大江氏子会が取り仕切る。御船行事は十五日に行われ、これは船若【ふなわか】と交友会・壮友会で担当する。船若は一八歳から二四歳までの男子で組織され、年長者の中から選ばれた船頭が統括する。現在ではこれに中学生も参加する。この船若は、第二次世界大戦前までは平田地区の青年だけが加入できるものであったが、昭和三十四、五年ころに若い衆が減少したため対象者を大江区全域に拡大した。このとき同時に船若を終えた二五歳から四五歳の男たちで、南部の交友会、北部の壮友会を組織して船若の支援を行うようになった。船若は第二次世界大戦前は青年団と共通した組織であり、入会資格などに特別な制限はなかった。 御船行事を務める諸役に、師匠・とも唄人・オラエ・綱引き人がある。師匠は船若を終えた人の中で唄の名手がなる。木遣りの歌い出しを務め、船若の指導助言をするなど、行事の指揮官的な役割を担う。とも唄人は四人で船若の年長者がなり、師匠の後を継いで口説きや練り唄を歌う。船の艫【とも】側に立つのでこの名がある。オラエは二人で務め、柱起こしの際に艫に座り唄の合間に囃子言葉をかける。このとき、柱が一度に起きないように押さえ綱を調節するのもこの役で、その名前はこらえるという言葉の訛音ともいわれる。綱引き人は一六歳から一九歳の小若い衆がなり、帆柱に付けた綱を引いて柱を立てる役である。 大江八幡神社の祭礼は、昭和五十八年までは九月十九日・二十日に行われていた。このときまでは十九日の宵宮に神輿が平田地区に渡御していたが、現在は渡御は行われず、宵宮には御船を清掃し塩で清めるだけとなっている。 十五日の朝、拝殿脇に斎場を作り菱垣回船・樽回船を並べる。この船は縮尺約一〇分の一の精巧な模型で、下部に木枠を取り付けて持ち運べるようにしたものである。このうちの菱垣回船は文政七年(一八二四)に作られたことが「文政七年 八幡宮御船造替掛金帳」の古文書でわかり、これらの船は現在は史料館に保存されている。なお、現用の菱垣回船・樽回船はこれを元に忠実に再現されたもので、昭和五十九年から使用しており、昭和六十一年からは新たに子ども用の表菱垣回船が加わって、現在では御船は三艘となっている。 例祭の式典の途中から御船行事の柱起こしの儀式が始まる。御船の艫に師匠・とも唄人・オラエが控え、舳先【へさき】には綱引き人とその後ろにウケカタの船若たちが着座する。師匠が柱起こしの木遣りを歌い、続いて、師匠・とも唄人が口説き唄を次々に歌い継ぐ。口説きに合わせてオラエが囃子言葉をかけ、ウケカタが追唱するのに合わせて、綱引き人が綱を引いて帆柱を起こしていく。柱を起こし終えると帆上げを行う。これも師匠の帆上げの木遣りとウケカタ一同が囃す言葉に合わせて、綱引き人が綱で帆を上げていくのである。 帆上げが終わると神幸行列となる。行列は、それぞれ四人の船若が持つ菱垣回船・樽回船と、同じく四人の中学生が持つ表菱垣回船の順で先導を務め、八本幟・社名旗・鉾・榊・太鼓・四神旗・猿田彦・賽銭箱・神輿・宮司・氏子一行と隊列を組み、神社から平田お旅所、小牧お旅所へと地域内を巡行し、最後に神社に還御する。このとき地域内の民家では門口に海砂を円錐型に盛り上げ、その上に塩とショクサと呼ぶホンダワラを載せたものを一対用意し、御船の通行直前に撒いて道を清める。 御船はお旅所に着くと帆を下ろし帆柱を倒して休息し、再び柱起こし・帆上げの儀式を行って出発する。ただし、小牧のお旅所では帆を下げるだけで帆柱は倒さない。 |
風俗習慣のほかの用語一覧
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