大域的最適化とは?

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日本オペレーションズ・リサーチ学会日本オペレーションズ・リサーチ学会

大域的最適化

読み方たいいきてきさいてきか
【英】:global optimization

概要

最適化問題:

\mbox{min.}\ f(\boldsymbol{x}) \quad \mbox{s.t.}\ \boldsymbol{x} \in D \,


において f \,D \,一方, あるいは両方が凸でなければ, 一般に値の異な複数局所的最適解存在する. その中から大域的最適解, つまり


f(\boldsymbol{x}^*) \leq f(\boldsymbol{x}), \quad \boldsymbol{x} \in D \,


満たす実行可能解 \boldsymbol{x}^* \,求めることをいう.

詳説

ユークリッド空間\mathbf{R}^n\,上で定義された連続実数関数f\,目的関数とし,\mathbf{R}^n\,の閉部分集合D\,実行可能集合とする最適化問題:


\begin{array}{ll} \mbox{min.} & f (\boldsymbol{x})\\ \mbox{s. t.} & \boldsymbol{x} := (x_1, \ldots, x_n) \in D \end{array}\,


に対して,その大域的最適解,つまり


f(\boldsymbol{x}^*) \leq f(\boldsymbol{x}), \quad \forall\, \boldsymbol{x} \in D,\,


を満足する\boldsymbol{x}^* \in D\,求め方法大域的最適化という.目的関数f\,実行可能集合D\,が共に凸性を満たす凸計画問題であれば,局所的な最適化によって\boldsymbol{x}^*\,求めることができる.また,凸性を満たさなくとも分数計画問題(fractional programming problem)や幾何計画問題(geometric programming problem)の一部任意の局所的最適解で大域的にも最適となる.したがって,大域的最適化が本質的な意味をもつのは,目的関数値が異な複数局所的最適解をもつ非凸計画問題に対してであり,これを多極値大域的最適化問題(multiextremal global optimization problem)と呼ぶ.例えば,f\,凹関数D\,凸多面体の凹最小化問題(concave minimization problem)の場合局所的最適解一般にD\,複数の端点に現われる.しかし,端点の数は膨大であり,その中から大域的に最適なものを見つけだすのは容易な作業でない.実際,この単純な例でさえ最悪計算量の上ではNP困難であることが知られている.そのため現段階一般多極値大域的最適化問題解決する有効な手段はなく,モンテカルロ法(Monte Carlo method)などのヒューリスティクス唯一現実的アプローチとなっている [2].

このように困難な問題クラスではあるが,個々問題中には,その構造利用することで現実的計算時間のうちに大域的最適解求められるものも少なくない [1].その代表例が,実は上にも述べた凹最小化問題である:


\begin{array}{ll} \mbox{min.} & f(\boldsymbol{x}) \\ \mbox{s. t.} & \boldsymbol{x} \in D := \{\boldsymbol{x} \in \mathbf{R}^n \mid \mbox{A} \boldsymbol{x} \geq \boldsymbol{b}\}. \end{array}\,


ここで,\mbox{A}\,m \times n\,行列\boldsymbol{b}\,m\,ベクトルf\,凹関数(concave function),つまり-f\,凸関数である.この非凸計画問題を大域的に最適化するアルゴリズムとして,凹性カット法(concavity-cut method),外部近似法(outer approximation method),分枝限定法(branch-and-bound method)などがある [3].

凹性カット法は,以下の操作繰り返しD\,から大域的最適解以外の実行可能解をすべて除去ようとする方法である.局所的最適解与えD\,の端点\boldsymbol{x}'\,を見つけ,\boldsymbol{x}'\,から出るn\,本の稜線ベクトル\boldsymbol{u}^1, \ldots, \boldsymbol{u}^n\,と,それまでに得られた最も小さな目関数f^\circ\,によって集合


V := \{\boldsymbol{x}' + \theta_i \boldsymbol{u}^i \mid \theta_i \geq 0,\; i = 1, \ldots, n\} \cap \{\boldsymbol{x} \in \mathbf{R}^n \mid f(\boldsymbol{x}) = f^\circ\}\,


を定義する.端点\boldsymbol{x}'\,におけるf\,の値がf^\circ\,よりも悪ければV\,は丁度n\,個の点から構成されるが,それらを通るn\,次元超平面によって\boldsymbol{x}'\,一緒に見込のない実行可能解D\,から切除する.目的関数f\,が2次の凹関数である双線形計画問題 (bilinear programming problem)に対しては,より大きな領域切除する方法考案されている.

外部近似法超平面による切除を行うが,凹性カット法と違って実行可能解1つも失わない.まず,D\,n\,次元単体矩形などの単純な凸多面体S \supseteq D\,近似し,f\,S\,上で最小化する.これも凹最小化問題であるが,S\,は端点の数が少ないので,それらの列挙最小\boldsymbol{x}'\,比較的容易に求められる.この\boldsymbol{x}'\,が満たさないD\,制約式の1つ\boldsymbol{a}_i^{\top} \boldsymbol{x} \geq b_i\,を選び,S\,


S' := S \cap \{\boldsymbol{x} \in \mathbf{R}^n \mid \boldsymbol{a}_i^{\top} \boldsymbol{x} \geq b_i\}\,


更新して\boldsymbol{x}'\,と共に実行不可能な領域切除する.実行可能集合D\,S\,部分集合なのでf(\boldsymbol{x}')\,は大域的最適値の下界値を与えるが,以上の操作繰り返し\boldsymbol{x}' \in D\,となれば,\boldsymbol{x}'\,大域的最適解である.

分枝限定法には多くバリエーション存在するが,最も効力発揮するのは目的関数f\,が1変数凹関数f_i\,の和に分離可能な場合である:


f(\boldsymbol{x}) := \sum_{j=1}^n f_j(x_j).\,


実行可能集合D\,を含む矩形M := \{\boldsymbol{x} \in \mathbf{R}^n \mid l_j \leq x_j \leq u_j,\; j = 1, \ldots, n\}\,を定義し,これを複数小さな矩形


M^k := \{\boldsymbol{x} \in \mathbf{R}^n \mid l_j^k \leq x_j \leq u_j^k\}, \quad k = 1, \ldots, K,\,


分割していく.基本となる操作は,組合せ最適化問題に使われる分枝限定法と同様で,まず M^k\, を選んで


限定操作 D \cap M^k\,上におけるf\,下界f'\,計算し,その値がそれまでに得られた最も小さな目関数f^\circ\,以上ならばM^k\,考察対象から外す;

分枝操作 f' < f^\circ\,ならば,M^k\,を2つの矩形 M^{k_1}\,, M^{k_2}\,分割する


繰り返す効率鍵を握る下界f'\,には,通常(l_j^k, f_j(l_j^k))\,(u_j^k, f_j(u_j^k))\,を通るアフィン関数


g_j(x_j) := \frac{f(u_j^k) - f(l_j^k)}{u_j^k - l_j^k} x_j + \frac{u_j^k f(l_j^k) - l_j^k f(u_j^k)}{u_j^k - l_j^k}, \quad j = 1, \ldots, n,\,


を定義し,その和\textstyle g(\boldsymbol{x}) := \sum_{j=1}^n g_j(x_j)\,D \cap M^k\,上における最小値が用いられる.関数g\,M^k\,上におけるf\,の最も大きな下界値を与え凸関数で,凸包関数 (convex envelope function)と呼ばれる.しかし,アフィン関数であるので単体法内点法を使って容易に最小値f'\,計算することができる.

DC計画問題(d.c. programming problem)や逆凸計画問題(reverse convex programming problem)などのより一般的な多極値大域的最適化問題も,凹最小化問題逐次解くことで処理することができる [2, 3].



参考文献

[1] H. Konno, P.T. Thach and H. Tuy, Optimization on Low Rank Nonconvex Structures, Kluwer Academic Publishers, 1997.

[2] R. Horst and P.M. Pardalos (eds.), Handbook of Global Optimization, Kluwer Academic Publishers, 1995.

[3] R. Horst and H. Tuy, Global Optimization - Deterministic Approaches, 3rd ed., Springer-Verlag, 1996.






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