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夜歩く
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/10/20 18:14 UTC 版)
『夜歩く』(よるあるく)は、推理作家・横溝正史が1948年から1949年にかけて著した長編推理小説。本作を原作として、2009年1月までに2作のテレビドラマが制作されている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
目次 |
ストーリー
私こと屋代寅太は、某私立大学で知り合った仙石直記から相談を持ちかけられた。去年の10月3日にキャバレー『花』で狙撃事件を起こしたのは、腹違いの妹である古神八千代だと言うのである。
狙撃の理由は、八千代宛に届いた3通にわたる奇妙な手紙にあるようであった。去年の夏ごろ届いたその手紙には、「われ東京へ来たれり。近く汝と見参せん。……汝夜歩くなかれ」と、古神家の内情に精通している者しか知らないはずの八千代の夢遊病のことが書かれていた……。
そうして私が仙石に連れられて小金井の古神家の屋敷に赴いたその夜、八千代がキャバレーで発砲した佝僂(せむし)の画家の蜂屋小市か、同じく佝僂で八千代の異母兄の守衛の、いずれとも判別できない佝僂の首なし死体が発見される。しかもその血まみれの現場には、夢遊病の発作を起こして歩き回った八千代のスリッパの跡が残されていた。
警察では守衛を犯人と見て行方を追っていたが、しばらくして守衛の首が見つかった。そして、もう一方の佝僂の蜂屋が行方知れずで事件が膠着したまま、古神家の人々とその関係者は避暑のため旧領の岡山県鬼首村(おにこうべむら)[1][2]に移動した。仙石の頼みで私も鬼首村に出向くが、その車中で金田一耕助という風采の上がらぬ男と出会った。こうして役者が揃ったところで、再び惨劇の幕が開く……。
解説
本作は『本陣殺人事件』、『獄門島』に続く名探偵金田一耕助シリーズ長編第3作。これらの作品は『八つ墓村』や『悪魔の手毬唄』などと合わせて「岡山編」と呼ばれることもある。
本作は、1948年2月から5月まで雑誌『男女』で連載、同誌誌名改名後の『大衆小説界』にて6月から11月までおよび翌1949年4月から12月まで連載された。
作者は、『本陣殺人事件』で曲がりなりにも「密室殺人」を書くことができた、今度はどうしても「顔のない死体」を書きたい、それも犯人と被害者の入れ替わりという公式的な結末以上の結末となる作品を書きたいとのことから、まず1947年12月に雑誌『小説』に中編『黒猫亭事件』を発表した。しかし、この作品では他のトリックを組み合わせたことで複雑になりはしたものの、従来の「顔のない死体」の公式に大きくはずれるものではなかった[3]。そこで、改めて犯人と被害者の入れ替わり以上の結末となる作品に挑戦したのが本作である。
しかし、本作の連載途中の1948年6月に高木彬光著『刺青殺人事件』が雑誌『宝石』に掲載され、同じトリックを考えていた作者は本作のデッサンを修正せざるを得なくなってしまった[4]。
以上のような経緯によるものか、本作の評価・人気は「岡山編」の中では比較的に低いものではあるが、戦前の作品に共通する草双紙趣味や妖異な雰囲気、露悪的ともいえる通俗性により前作までの『本陣』『獄門島』に比べドラマ性が高いことから支持するファンも多く、また結末の意外性に秀でた作品である。
登場人物
- 金田一耕助(きんだいち こうすけ) - 私立探偵
- 磯川常次郎(いそかわ つねじろう) - 岡山県警警部
- 沢田(さわだ) - 警視庁警視
- 屋代寅太(やしろ とらた) - 「私」、推理小説家
- 古神織部(ふるがみ おりべ) - 古神家前当主、故人
- 古神お柳(ふるがみ おりゅう) - 織部の後妻
- 古神守衛(ふるがみ もりえ) - 織部の息子
- 古神八千代(ふるがみ やちよ) - お柳の娘、守衛の異母妹
- 古神四方太(ふるがみ よもた) - 織部の異母弟
- 仙石鉄之進(せんごく てつのしん) - 古神家家老筋
- 仙石直記(せんごく なおき) - 鉄之進の息子、寅太の友人
- 源造(げんぞう) - 古神家使用人
- お藤(おふじ) - 古神家女中
- お喜多(おきた) - 守衛の乳母
- 妙照(みょうしょう) - 海勝院の尼
- 蜂屋小市(はちやこいち) - 画家
- 1 夜歩くの概要
- 2 映像化作品
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