刀装具の世界 |
夕立人物図鐔
|
黒味の強い朧銀地を鋤出高彫の工法により、とある夏の日の午後、雷を伴って突然に襲い来た夕立と、これに応ずる人々の姿を写生描写した、鉄元堂正楽の得意とする好画題。厚い雲は激しい渦巻いて大粒の雨を降らせ、これに遭遇した一本差の人物は頭を抱えて逃げ出し、百姓家では俵をあわてて小屋の中に運びこんでおり、また、旅の僧は天を見上げながら駈け出し、薪を運ぶ女は恐れを感じぬのか、さほど気にもかけぬ様子。それぞれの表情が正確な構図と力感ある巧みな彫刻・色絵象嵌の技法により生き生きと再現され、縦横7cmに満たない鍔上に広大な自然界を閉じ込めて独自の境域を感じさせる力作となっている。 |
![]() |
