増進回収法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 増進回収法の意味・解説 

ぞうしん‐かいしゅうほう〔‐クワイシウハフ〕【増進回収法】

読み方:ぞうしんかいしゅうほう

イー‐オー‐アールEOR


増進回収法

読み方ぞうしんかいしゅうほう
【英】: enhanced oil recovery
同義語: 強化採収法  強制回収法  
略語: EOR

油層から原油を採収する方法分類には従来から一次二次三次という、それぞれ物理的意味あいの異なる採収法が適用される段階時系列表現使われてきた。一次採取法とは、自然の排油エネルギー利用して原油生産する方法であり、自噴採油人工採油ポンプ採油など)が該当する二次採取法は、油層人工的に排油エネルギー付与して採収する方法で、最も一般的な形が、一次採収法による生産の減退後、圧入して油層圧回復産油量の増加を図る水攻法である。
油層工学上の見地から生産量減退予測される場合早い時点天然ガス圧入始め油層圧生産量高く維持しようとすることがあるが、これを油層圧維持法といい、二次採収法含める。三次採取法は、二次採収後に適用される採収法であり、ケミカル攻法熱攻法などがある。最近では、排油機構流体置換機構対す理解深まり油田開発時においてどの原理採取法をいつの時点適用すれば総合的な経済性の最も高い生産計画得られるかが検討されるようになっている。そのため、生産開始当初からガス圧入を行うとか、若干一次採収後に従来三次採取法分類されていた熱攻法適用するとか、天然ガス圧入でも圧入圧力高めてミシブル状態を作り出し採収率増加させるなど、これまでの分類法になじまなくなってきている。このような背景があって増進回収法という用語が使われるようになったが、まだ世界的に統一された定義はないので、ここでは Oil and Gas Joumal 誌が 1980 年 3 月 31 日号に発表した定義を採り上げておく。
OGJ 誌によれば、増進回収法とは“通常のガス圧入法水攻法得られるより高い置換効率目的とした採収法”であり、熱攻法ミシブル攻法ケミカル攻法微生物攻法含まれる。ここで通常の方法とは人工的に排油エネルギーのみを油層供給する方法であり、それよりも高い置換効率目的としているという意味は、熱や薬剤油層内に圧入して原油流動性増したり、水-油間に作用する界面張力減らしたり、圧入ガスと油との間にミシブル状態を作り出したりして採収率向上を図ることなどをいう。OGJ 誌に基づく採収法の分類を表に示す。
増進回収法は、EORenhanced oil recovery)の訳語であるが、このほか、強制回収法強化採収法などの用語もよく使われるEOR類似の用語improved oil recoveryIOR改良型採収法)があるが、EOR同様の意味で使われているようである。

表 採収法の分類
採収法 圧入流体 採収率上の原 採収法の分類
従来 最近
自噴採油
人工採油法
一次採収 一次採収
水攻法
油層圧維持

または天然ガス
排油エネルギー付与
二次採用 二次採用
熱攻法
水蒸気攻法
火攻

ミシブル攻法

ケミカル攻法

界面活性剤攻法
ポリマー攻法
アルカリ攻法

微生物攻法

水蒸気
空気酸素

天然ガスまたは炭酸ガス


界面活性剤溶液

ポリマー溶液
ポリマー溶液
アルカリ溶液ポリマー溶液

微生物または微生物によ

生成ケミカル

原油粘度低下
原油粘度低下原油性状変化
圧入流体原油間の界面張力

解消



界面活性剤溶液原油間の界面張力低下
原油圧入流体易動度調整


層岩の濡れ性変化使用微生物により異なる)
三次採収法 増進回収法

強制回収法


強化採収法

読み方きょうかさいしゅうほう
【英】: enhanced oil recovery
同義語: 増進回収法  強制回収法  
略語: EOR

»増進回収法

増進回収法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:46 UTC 版)

メタンハイドレート」の記事における「増進回収法」の解説

国内では減圧法などと組み合わせ生産性回収率向上させることで経済性上げるため、増進回収法と呼ばれる生産支援する技術研究進められている。増進回収法としては、基本的に加熱法分類される次のような方法研究されている。①メタンハイドレート分解吸熱反応)で対象層が氷点下下になるまで減圧を行うととで地下水凍り発熱反応)、0℃昇温する強減圧法、②地層内の有機物強酸などで酸化発熱反応)させる部分酸化法、③二酸化炭素CO2)を微細混合したエマルション用いてCO2ハイドレート生成発熱反応)で10程に加温させる方法などが研究されている。

※この「増進回収法」の解説は、「メタンハイドレート」の解説の一部です。
「増進回収法」を含む「メタンハイドレート」の記事については、「メタンハイドレート」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「増進回収法」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「増進回収法」の関連用語

増進回収法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



増進回収法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JOGMECJOGMEC
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油・天然ガス調査グループが信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、 機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。 また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。 したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。 なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
※Copyright (c) 2024 Japan Oil, Gas and Metals National Corporation. All Rights Reserved.
このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのメタンハイドレート (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS