国勢調査員
国勢調査員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 00:36 UTC 版)
国勢調査員は総務大臣の任命による非常勤の国家公務員という位置づけである。 戦前においては地域の名士や有力者が推薦されるなど、調査員になること自体がステータスであった。第1回国勢調査の2年前に公布された国勢調査施行令(大正7年勅令第358号)では、「国勢調査員ハ府県知事ノ推薦ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ス」「国勢調査員ハ名誉職トス」と規定されている。調査終了後に発刊された「国勢調査記念録」は、紳士録としての性質も持っており、経歴として載せるために寄付を行う調査員も多かったという。また、実施記念の表彰として第一回国勢調査記念章が制定され(大正10年6月17日勅令第272号「第一回国勢調査記念章制定ノ件」第1条)、第一回国勢調査に関与した者に対して授与された(同第3条)。 第一回国勢調査記念章(表面) 第一回国勢調査記念章(裏面) 戦後については、20歳以上の者となっている。一般に公募が行われており、市報や自治体のウェブサイトで募集をする。このほか、自治体によっては、以前調査員だった経験者に応募を呼びかけたり、町内会に推薦を依頼している例も多くある。調査員は、調査対象地域をよく知っている必要があることから、その地域に居住する者を任命する場合が多く、その結果、調査員と調査対象者が顔見知りとなる場合もあり、「知り合いとはいえども個人情報は見られたくない」という苦情が出ることもある。他方、地域によっては、見ず知らずの人が調査に来るのを好まない場合もある。そのため、調査員は、地域の実情に合わせて顔見知りでない者を選任するなど、自治体ごとに配置に配慮がされている。 近年は、調査実施の困難性の増大や調査対象世帯との接触の難しさなどから、調査員の確保は回を追うごとに難しくなる傾向があり、調査員の人数をそろえることに苦心する自治体も多い。調査員の中には経験の浅い人も含まれることから、任命後に、「個人情報の厳正な取り扱い」や「接遇」について指導が行われている。 2005年10月の国勢調査では、仙台市青葉区で80人を超える調査員が期間中に大量辞退した。市では、高齢者が多いためと説明しているが、被調査者側の協力が得られなかったりすることによる精神的な負担のためともいわれる。市は市職員を調査員として動員して対処した。
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