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名鉄7300系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/26 02:01 UTC 版)

名鉄7300系 4両編成(ナゴヤ球場前駅1988年
名鉄7300系の走行音(知立→新安城間急行・1988年7月6日)

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名鉄7300系電車(めいてつ7300けいでんしゃ)は、1971年から1997年まで名古屋鉄道に在籍した元特急形電車である。

1997年には豊橋鉄道に譲渡され、渥美線で運行されていたが、2002年には全車廃車となった。

目次

概要

本系列で最大の特徴は、旧型車(3800系29両・800形1両)の機器を流用して車体を新造した車両のため、7000系パノラマカーと同等の車体であるものの、吊り掛け駆動方式のAL車(間接自動制御車)という点である。従って、モ800形(初代)3400系など他のAL車との連結も可能であった。

先頭車(運転台)は通常の形状であるが、新製(更新)当時の7000系(7次車)とほぼ同じ設計で製作され、当初の計画としては座席指定(有料)特急にも使用する予定であったため、ミュージックホーンと「座席指定」表示器が装備されていた(双方とも晩年に撤去される)。1972年春、7300系特急「明治村号」が、碧南 - 上飯田間に、座席指定特急として運転された。(犬山 - 上飯田間は普通)

カルダン駆動の特急車と同じ車体を載せた吊り掛け駆動の電車は、他に近鉄18000系南海12001系21201系などがある。その中でも本系列と近鉄18000系は、空調完備・固定窓のオールクロスシート車の吊り掛け駆動車という点で、希少な種類の車両である。

車体

車体は7700系に似ているが、正面が切妻形(平面)であり貫通扉の窓が大きい。連結器も密着自動連結器ではなく、他のAL車と同様の自動連結器である。むしろ3780系に近い印象の「顔」を持つ。

なお、前面展望席がない上に吊り掛け駆動方式であったため、「パノラマカーのような車体を持つが、パノラマカーとは言えない車両」ということで、登場時には「似非パノラマカー」「パノラマもどき」「変形」などと揶揄されていた。後年には「吊り掛けパノラマ」などと呼ばれていた。

晩年は、側窓支持のHゴムが灰白色から黒色に変更され、パノラマカーのイメージから一歩後退していた。

AL車であるが、パンタグラフは在来AL車のような運転台側ではなくSR車と同じ後位連結側に、中間電動車もそれに揃えた側に搭載された。この点以外は在来AL車と同様で、パンタグラフ搭載車両(つまり主制御器付き電動車)の向きはSR車と正反対の豊橋方となる。

内装

戸袋部を除きオール転換クロスシートで、内装は7700系と同一と考えてよい。ただし登場時の座席モケットは灰緑色で、パノラマカー系統では最後の採用であった。晩年は7000系と同じ赤色または5500系や他のAL車と同じエンジ色に変わった。また、冷房装置は8,500kcal/hの集約分散式を4基搭載、側窓は合わせガラスで同年の7000系7次増備車と同一であり、足回り以外の装備は進化したものとなっていた[1]

新造時は照明も7000系と同様の連続配置の蛍光灯で、かつカバー付きのものだったが、1980年(昭和55)にはカバーが撤去され、本数も半減されている。

後年にドア脇の一部シートを撤去しているが、ロングシートの設置などは行われなかった。

台車

当初は3800系由来のイコライザー台車である日車D-18形を装備していたが、1978年からペデスタル式住友FS-36形(軸距2300mm)に変更している。一体鋳鋼からプレス鋼板となり、ボルスタアンカ受けやオイルダンパ取付け座の形状が異なる以外は、3780系や6750系サ6680形のFS-35形とほぼ同型で、吊り掛け駆動方式のコイルバネ台車にしては優秀な乗り心地だった。

編成

2両編成9本(18両)と4両編成3本(12両)の計30両が在籍していた。

編成
豊橋
モ7300
(Mc)
サ7400
(T)
モ7450
(M)
ク7200
(Tc)
7301F 車両番号 7301 7401 7451 7201
種車 モ3803 ク2829 モ3829 ク2803
7302F 車両番号 7302 7402 7452 7202
種車 モ3801 ク2822 モ3822 ク2801
7303F 車両番号 7303 7403 7453 7203
種車 モ3804 ク2820 モ3820 ク2804
編成
豊橋
モ7300
(Mc)
ク7200
(Tc)
7304F 車両番号 7304 7204
種車 モ3802 ク2802
7305F 車両番号 7305 7205
種車 モ3810 ク2810
7306F 車両番号 7306 7206
種車 モ3806 ク2806
7307F 車両番号 7307 7207
種車 モ806 ク2835
7308F 車両番号 7308 7208
種車 モ3824 ク2824
7309F 車両番号 7309 7209
種車 モ3823 ク2823
7310F 車両番号 7310 7210
種車 モ3817 ク2817
7311F 車両番号 7311 7211
種車 モ3819 ク2819
7312F 車両番号 7312 7212
種車 モ3825 ク2825

※個別の編成を指す場合は、豊橋方のモ7300形の車両番号を用いて「7301F」(「F」は編成を意味するFormationの頭文字)のように表記される。

沿革

名古屋鉄道時代

名鉄7300系 2両編成+3400系 4両編成(ナゴヤ球場前駅、1988年)

1971年秋に支線直通用の特急用車両として登場した[2]特急に使用することになっていたため、AL車でありながら7000番台の形式となった。当初は大量増備を見込んでいたためか、7200番台から7400番台までを使用している。なお、機器流用車の系列には5300系3300系(2代目)など、100の位に3を付番するものが複数見られるが、これは系列の未使用番号に300番台前後が多く残っていることに起因する[3]。当時170両近くが在籍したAL車の更新を目的としての登場であったが[4]、実質的に車両増となる完全新製車への要望が強く、本形式は初年度の30両のみに留まりこれ以降の増備はなかった[5]

当初は、主に三河線をはじめとする支線直通特急(料金不要)に使用されていたが、7000系・7700系などSR車(高性能車)の増備が進むとともに普通(各駅停車)から特急(後に高速)まで、1,500V区間の全域で他のAL車と共通運用されるようになった。

  • 1970年代後半から1980年代にかけての運用では、2両編成(9編成)が「AL2両編成」運用の中へ完全に組み込まれ、他のAL車と連結しての運用も多数あったが、4両編成(3編成)は当時の「OR車」(3400系・3900系の4両編成)と共通の4両単独運用となっていた。ただし平日朝ラッシュ時には、少ないながらも4+4や4+2+2の8両編成に組み込まれて運行された。
  • 特に、支線区のローカル列車にも冷房付転換クロスシート車が運行されることで、旅客サービスの向上(底上げ)につながったことは間違いない。一般乗客にとっては非冷房のSR車5000系などよりもサービスの良い車両であった。
  • 名鉄の車両形式に詳しくない鉄道ファンがこの形式に乗車し、車内の様子と床下から聞こえてくる吊り掛け駆動(モーター)特有の走行音とのギャップに驚いた、という逸話もある。また台車交換前は乗り心地とのギャップも大きかった。
  • 晩年は三河線を中心に小牧線各務原線広見線等で多く運用され、両運転台の800系(単行)や登場時の2両編成・塗色に戻されていた3400系など、残り少なくなったほかのAL車と連結運転する運用もみられた。急行や、今はなき高速にも運用されていた。なお、台車に続いて電動空気圧縮機新性能車並みのC-1000型に換装されていた。

1997年4月13日さよなら運転を最後に名古屋鉄道での営業運転を終了し、廃車(譲渡)された。

豊橋鉄道時代

渥美線運用当時の7300系
(2000年8月・三河田原駅にて撮影)

1997年7月2日、豊橋鉄道渥美線の架線電圧が1,500Vに昇圧されたのに伴い、全車両を本系列に置き換えることになった。このため、部品確保名目で廃車となった中間車2両[6]を除く28両が同社へ転籍した。同社では正面方向幕の設置が行われている[7]他、塗色を名鉄スカーレットをベースとし、下部にクリーム色の太帯を通したものへ変更された。また、一部編成は入線時に「なのはな号」と「なぎさ号」と愛称が付けられ、それぞれ黄色に黄緑色の帯、水色に白色の帯への塗装変更と先頭車前面左側窓下にステッカーによる愛称表示が追加されていた。

なお、渥美線では車両形式4桁のうち千の位と百の位で車体長を表す付番基準になっているが、本系列のみが元の形式のままで営業運転を開始しており、唯一の例外であった。また、渥美線では初の中間車が登場している。

これにより、渥美線の車両はすべて冷房付き・転換クロスシート・固定窓となったが、600V時代にはカルダン車も在籍していた(1900系)ため、「カルダン車を吊り掛け駆動車へ置き換え」という珍現象[8]が起きた。

しかし、出自が高速運転向きの吊り掛け駆動車で起動加速度が低い上に、2扉クロスシート配置ということもあり、ラッシュ時を中心に遅延が発生し易く、置き換えと同時に12分間隔へと増発したダイヤも乱れがちとなってしまったため、再度ダイヤを戻す事態になってしまった。そのため、わずか3年程度で元東京急行電鉄7200系1800系で置き換えられることになってしまった。2002年まで予備車として1編成(「なのはな号」)は在籍していたが、現在はすべて廃車されている。なお、2001年初頭に「超過激!電車丸ごとプレゼント」なるキャッチコピーを用いて無償譲渡先を募り、実際に一部の車両が譲渡された。これ以降他の鉄道事業者でも、廃車体を解体せずに無償譲渡先を募る例が出ている(相鉄新6000系横浜市交1000形など)。




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  1. ^ 座席や冷房装置については必ずしも進化したとは言えないとする考え方もある。7000系の項にある同系列7次車に関する記述を参照。
  2. ^ 登場時の文献(交友社『鉄道ファン』1972年2月号)では「トヨタ特急」用の新車として紹介されている。
  3. ^ 取り立てて形式の100の位「3」を「更新車(機器流用車)」の指定番号と決めている訳ではない。
  4. ^ モ800形から3900系までAL車の合計両数は184両だが、モ800形や3800系などの一部に廃車が発生していた。
  5. ^ そのため、本系列以外のAL車は性能は優れるが車体が古い、HL車はその逆であるという対照的な現象が1990年頃まで生じていた。
  6. ^ サ7401+モ7451。ここから発生したFS36台車が3400系へ転用されている。
  7. ^ 廃車となった1900系から方向幕付き貫通扉を流用した車両も存在した。なお、一部の車両は名鉄時代に電照式行先種別表示機を一時期試用していた経歴を持つが、それとは別物である。
  8. ^ 過去には三岐鉄道が車両大型化名目で自社発注の18m級カルダン駆動車モハ120形・クハ210形西武鉄道から購入した20m級吊り掛け駆動車501系に代替したという前例がある。
  9. ^ 主電動機などは当時で既に経年が50年を超えていた上、名鉄時代の100km/h(特にスピードアップを進めていた1990年代には、三河線直通急行などにおいて非公式ながらそれ以上)での高速運転で酷使されたためと推測される。
  10. ^ 後に大井川鐵道に譲渡されてきた近鉄16000系16003Fがこの代わりに採用されたものと思われる
  11. ^ 先頭車同士で比較した場合、モ7300形は37.5t、モ3800形は37.3tと僅か0.2tの差に過ぎない。
  12. ^ 7300系は主電動機TDK528(112.8kW/750V・1250rpm、歯車比3.21)・自重37.5t、大井川312系は主電動機MT15E(100kW/675V・660rpm、歯車比2.52)・自重39t。出力の差は架線電圧降下を考慮しているか否かによるものに過ぎず、さらに後者の方が定格速度が低く引張力が大きいため、勾配線に適しているとされる。


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