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双生児
ほとんどの出産は単産 1であるが、時には複産 2が起こる。同一の出産で生まれる2人の子供は双生児 3と呼ばれ、それは一卵性双生児 4と二卵性双生児 5に分けられる。一卵性複産は一つの卵子が受精後に分割されて生ずる。その結果生まれる子供は必ず同一の性でなければならない。二卵性複産は二つまたはそれ以上の卵子の同時受精によって起こるもので、その結果生まれる子供たちは異なった性を持ちうる。
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双生児
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/26 16:23 UTC 版)
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双生児(そうせいじ)は、多胎児の一種で、同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた2人の子供を指す。いわゆる双子(ふたご)のことであり、多胎児の中では一番見かける。母体が受胎した時の受精卵の数により、一卵性双生児と二卵性双生児に大別される。
出産の時には数分程度の時間差で産まれることが多いが、中には数時間から数十日の間隔で生まれる場合もある(双子が一度の分娩で生まれるとは限らない)ので、誕生日・誕生年が異なってしまう兄弟姉妹もいる。また日本では、かつて後から生まれた方を兄または姉、先に生まれた方を弟または妹として扱う慣習があったが、戸籍法上は生まれた順に記載する事となっている。
双子は多くの哺乳類(猫や羊、フェレットなど)で一般的に観察される出生形態の一つである。例えば牛の双子発生率は1%から4%程度ある。ただし一般に犬猫の一腹の仔は双子等とは呼ばれず、単に兄弟として扱われる。双子受胎時の困難さを克服できる、あるいは管理することが出来ればより高利益を確保できるため、双子率を上昇させる研究も行なわれている[1]。
目次 |
双生児の卵性
一つの受精卵(卵子)が分裂(多胚化)して生れる一卵性双生児(identical twins / monozygotic twins)と、何らかの原因によって二つの卵子が排出(多排卵)されそれぞれ別の精子と受精して生まれる二卵性双生児(fraternal twins / dizygotic twins)がある。
2007年3月には、どちらにも分類し難い準一卵性双生児(semi-identical twins)という双生児の例が研究者によって報告された[2]。
一卵性双生児
受精卵の多胚化による一卵性双胎(多胎)妊娠は偶然の産物であり、一卵性双生児の出生は遺伝やホルモン分泌量などの外的要因に影響をほとんど受けない(生殖補助医療(不妊治療)の種類によっては一卵性の発生確率を上昇させることもある[3])。古来より人種に関わりなく、1000組(1000分娩)に4組の確率で一卵性双生児が誕生する[4]。ただし、下記の双生児の出生頻度に見られるように、多胚化の発生機序に何らかの遺伝的要素が関係する可能性も近年では指摘されている。また、肉用牛では卵分割技術を用いて一卵性双子を人為的に作出することも出来る[5]。
一卵性双生児は基本的に全く同じ遺伝情報(遺伝子型)を持っている。そのため、性別や血液型等は基本的に(発生段階で変異がなければ)一致し、顔形もよく似ている。一般に一卵性双生児の身体能力や学力の類似性は高い。さらに成長に従って遺伝的規定性の強い因子の発現量が増大するため、双生児間の類似度が上昇することもある。しかし同一のDNAを持つ一卵性双生児であっても、DNA情報は個々人の獲得形質に直接的な影響を与えることはないため、身体能力なども(似ているが)個々人で異なり学校の得意科目やスポーツの得意・不得意が分かれることも多い。胎児期から双子の各々は独自の成長をするため脳の発達過程も異なり、出生時には大脳皮質の形状も違うものとなっている。食物アレルギーの有無・種別・度合いなども、既に離乳期の時点で双子の各々で異なっている。双生児の成長に伴って遺伝子のメチル化などにより、個々の双子の絶対的な表現型の差は次第に広がるため、病気に対する抵抗力の差などは次第に大きくなる(下記双子研究参照)。
また指紋も遺伝以外の要因が大きい為、良く似た形状の指紋にはなるが同一のものとはならない[6]。よって、一卵性双生児の各々を生体認証(バイオメトリクス)で識別することもほとんどの場合で可能である。一般に遺伝情報に左右されないものとしてほくろ・あざの位置、虹彩や静脈パターンなどがあり、静脈認証などを用いた個人認証はまったく問題なく可能である。また顔認証で一卵性双生児を識別することもできる[7]。しかし、一般的にはもっとも確実と言われているDNA認証では一卵性双生児の各々を個人認証することができない。
- ミラー・ツイン
- 一卵性双生児の中には利き手が左右に分かれていたり、つむじが右巻き・左巻きと対称になったりする場合がある。このような左右対称の特徴を多く持っている双子を、ミラー・ツイン(あるいはミラー・イメージ・ツイン)と呼ぶ。受精9-12日前後で受精卵の分裂が発生した場合、ミラー・ツインになると考えられている[8]。外胚葉由来の形質に不一致が発生しやすいことが原因の一つと言われているが、確たる原因は判明していない[9]。ミラー・ツインの中には、様々な外的要因の累積によりごく稀に全臓器反転症、すなわち内臓位置の逆転(心臓が右にある 等)が生じる場合もある[10]。ミラー・ツインは単に顔などの外観が鏡像になっているだけではなく生物学的な相違点で示されることもあり、鏡像的に異なった人格の形成や生活嗜好・睡眠パターンなどにも鏡像的相違が見られる場合もある[11]。
- 異性一卵性双生児
- 一卵性双生児の性別は基本的に同性であるが、稀に異なる性別の一卵性双生児が誕生することがある[12]。2つに分かれる前の受精卵の性染色体がXY(男)の場合、多胚化する際に一方のY染色体が欠落しXY(男)とXO(女)の異性一卵性双生児として誕生する可能性がある。また受精卵の性染色体がXXY型であった場合、多胚化(受精卵が二つに分裂)する際にそれぞれの性染色体がXX(女)とXY(男)に分かれることで異性一卵性双生児となりうる。報告例の多くはXYがXYとXOに多胚化したものだが、XXYがXXとXYに多胚化した例も存在する[13]。性染色体がXOのケースはターナー症候群として[14]、XXYを有しているケースはクラインフェルター症候群としてそれぞれ知られている。一卵性の双子で性別が異なる事例が1976年までに少なくとも3例[15]が確認されており、その後も異性一卵性双生児の事例(異性一卵性三つ子を含む[16])がしばしば確認されている。なお異性一卵性双生児の遺伝子の核は個々で異なるため、一卵性双生児であっても遺伝情報は完全に同一なものではない[17][18]。さらに現在ではY染色体の有無により発現する性別が決定されているわけではなく、異なる性染色体が混在(モザイク)する割合によっても性別が異なってくることもわかっている[19]。
- 結合双生児
- 一卵性の場合、ごく稀に卵子の分裂が不完全な状態で成長し、体が結合したまま出生される事がある。この出生形態の双生児は結合双生児(シャム双生児)と言われる。
二卵性双生児
二卵性双生児は、多排卵のうち(異なる精子に)受精した二卵が、同時に子宮壁に着床した場合の双胎妊娠から誕生する。二卵性双生児は同時に生まれて来る兄弟と同じ事なので一卵性双生児と異なり、遺伝情報は各々で独自のものである。普通の兄弟姉妹と同じように性別や血液型等が異なる場合もあるし、顔形も通常の兄弟姉妹程度に似ることになる。髪質や肌の色がまったく異なる場合も多い。日本の二卵性双生児出生率はかつて0.2%弱であった(一卵性より出生率は低かった)が、現在は0.4%以上になっている。
性別が異なる二卵性双生児を特に異性双生児という。日本では異性双生児のことを「ミックスツイン」と呼称する場合も多い。ただし、英語のmixed twinsは混血(Multiracial)の親から生まれた双子を指し、異性双生児を指す英語はmixed sex twinsまたはopposite sex twinsである。
多排卵は妊婦自身や母方家族の二卵性双生児出産既往と相関があり、高ゴナドトロピン血症との関連が示唆されている[20][21]。ゴナドトロピンは経産により上昇する傾向にあり、経産婦が双子を出産する可能性は初産の場合よりも若干ながら高い。遺伝子研究においては双子の両親のうち母親の持つ要因だけが二卵性双胎妊娠の発生に影響を与える。父親側の要因が母体側に何らかの影響を及ぼし、多排卵を導くという可能性はない。
なお、排卵された複数の卵子が受精する時期は必ずしも近接していない。(同一月経周期内での)異なる時期・異なる性交による受精が発生(過妊娠[22]、Superfecundation)することがある。さらに珍しいことではあるが受胎時とは別の月経周期に妊娠中にもかかわらず排卵が生じ、受胎時期が異なる二人目を妊娠する(過受胎、Superfetation)こともある。短時間で複数の受精卵が生じた双胎妊娠と比べ過妊娠・過受胎では受胎時期が双子のそれぞれで異なっているが、出生する子供が二卵性双生児であることに変わりはない[23]。特に過妊娠で二卵性双生児を受胎することは比較的一般的に確認されるため、二卵性双生児の在胎週数は双子の個々でしばしば異なっている[24]。
- 混血の双生児(Mixed twins)
- 両親が混血である場合、親が有している人種のDNAを偏って受け継いだ結果、異なる人種特徴を持った二卵性双生児が産まれることがある。例えば両親が共にコーカソイドとネグロイドの混血であった場合、双子のうち一方がコーカソイド、もう一方がネグロイドの特徴をもって産まれる可能性がある[25]。具体的には写真を参照のこと[4] 。
- 異父二卵性双生児
- 二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。過妊娠や過受胎のように異なる時点の性交で複数の卵子が受精するケースで父親が異なる場合を異父過妊娠・異父過受胎と呼び、生物学上の父親が異なる双生児が生まれる[26]。1992年のある研究[27]では父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったと報告されている。
特殊な卵性の双生児
一卵性と二卵性以外の卵性をもつ双生児が、ごく稀に誕生することがある。
- 半一卵性双生児
- 半一卵性双生児(half identical twins)は排卵された一卵が受精前に分裂して二卵になったことから二卵性双生児として誕生する、双生児の種別の一つ。理論上でその存在は指摘されているが検証が困難であることに加え、そもそも存在が稀であるため確認されたことはない[28]。卵母細胞性双生児、二精子一卵性双生児とも呼ばれる。異性双生児として誕生する可能性が、通常の二卵性双生児の場合と同様に存在する。また半一卵性双生児は各々75%のDNAを共有している[29]。
- 準一卵性双生児
- 準一卵性双生児は多精子受精(過受精)した卵子(二精子が受精した卵子)が何らかの原因によって分裂し、双生児となったもの。2007年3月、初めて学術的に公式な報告がなされた[30]。一個体中に異なる遺伝子情報が混在するキメラ(モザイク)として出生している[31]。卵子に過受精が発生する確率自体は全体の受精のうち1%程度と言われているが実際に出生にいたって生存が確認される事例はかなり稀であり、一例のみ確認されている。
双生児の出生頻度
双生児の出生頻度は人種により違いがあり白人種は1/80から1/120、黒人種では1/50以上といわれる。日本における双生児の出生頻度はかつては1/150から1/160の低い水準で安定していたが、1987年以降は双生児の出生頻度は大きな変動が続いている。一卵性双生児の出生率は地域・民族・時代に関わりなく一律0.4%であり、双生児出生率の人種間の差や近年の日本の双生児出生頻度の変動は主として二卵性双生児の出生頻度に因るものである。
日本の双生児出生頻度は1000組中、1974年頃は6組を少し下回る程度だったが、2003年には10組を上回った。日本の一卵性双生児出生頻度も1974年から2003年の30年間において1000組中4組前後で安定しているため[32]、この出生頻度の変化は二卵性双生児の出生率の変動による影響が大きい。特に人工授精の導入による影響は大きく、体外受精の導入によって双生児の出生率は導入前の6割増になったと言われる[33]。ただし1996年から日本産婦人科学会が胎内に戻す受精卵数を制限を開始し、現在は日本の双生児の出生率は2005年をピークに低下傾向[34]にある(現在の産婦人科学会の指針では原則として、胎内に戻す受精卵は一つと定められている[35])。
また、二卵性双生児の出生頻度は地域間・民族間の違いも大きい。西アフリカ一帯に住むヨルバ族の場合、二卵性双生児の出生率は2.8%(二卵性出生率1000組中28組、一卵性出生率は1000組中7組)[36]から約5%[37]におよぶ。さらにブラジルのある小さな集落では10%に達する[38]。これは日本の二卵性双生児出生頻度の10~20倍に達している。
一方、一卵性双生児の受胎は偶然であり、遺伝的な影響は存在しないとされている。しかしながら、インドのモハンマド・プル・ウムリ(Mohammad Pur Umri)村では一卵性双生児の出生率が約10%に達しており、他にもヨルダンに一卵性双生児の誕生率が非常に高い家族が存在したりするなど、遺伝的な影響が存在する可能性も指摘されている[39]。なお、ココノオビアルマジロは基本的に一卵性の四つ子を生むことで知られており、偶然に依拠することなく生物が一卵性多胎児を受胎することは可能である。
性別・卵性別の出生割合
双胎妊娠においては5つのバリエーションが一般的である(確認されている事例が1例のみである準一卵性双生児と、異性一卵性双生児は除く)。出生率順に以下のパターンとなる[40]。
- 男女の二卵性双生児(全双生児のうち、約4割を占める)。
- 女女の二卵性双生児
- 男男の二卵性双生児
- 女女の一卵性双生児
- 男男の一卵性双生児
特に1絨毛膜1羊膜性双胎の場合、男男の出生率は極めて低い[41]。ただし日本では二卵性双生児出生率が低いため、必ずしも上記の出生割合になっているわけではない。
一卵性双生児の受胎誘因
卵子が分割して一卵性双生児が産まれる原因は、解明されていない。しかし一卵性双生児の父親の一部には係累に一卵性双生児がいる確率が有意に高いケースもあるため、男性側の遺伝的影響が存在する可能性を指摘する仮説もある。ほかに受精時期が影響を与えるという、以下のような仮説も近年は存在する[42]。
- 排卵された卵子(卵母細胞)が成熟・退化する過程の後期に受精した。
- 女性のホルモンバランスが不安定な、若年期・壮年期に受胎した。
また、生殖補助医療の手法(胚盤胞移植や卵細胞質内精子注入法における一部の手法)によっては一卵性双生児の受胎確率を少なくとも2倍に上昇させる。自然妊娠による一卵性双生児の受胎確率は0.4%であるが、これらの手法による受胎確率は2.25倍の0.8-0.9%となる[43]。
二卵性双生児の受胎誘因
二卵性双生児の出生率は、母親の遺伝要因の影響を受ける(多排卵に遺伝的影響がある)。また二卵性双生児の母親が受胎した際、卵胞刺激ホルモンの値が上昇している傾向が見られる。その影響を受け、妊娠前の生理の周期が早まったり期間が短くなっていることが多い。他に、以下のような幾つかの要因が二卵性双生児の受胎に影響を与えていると考えられている。
- 30歳から40歳ぐらいである(特に35歳以上の妊婦の発生率が高い)。
- 身長・体重が平均より大きい[44]。
- 経産婦である。
- 経産回数が多いほど多排卵になりやすい。特に二卵性双生児の母親が再び二卵性双生児を身籠る確率は、通常の3~4倍に達する。
- 一部の生殖補助医療(不妊治療)。
- 生殖補助医療の種類に拠り、多排卵に全く影響を与えないものもある。体外受精・受精卵(胚)移植、排卵誘発剤の利用などが多胎妊娠に繋がる可能性がある。
- ナイジェリアなど西アフリカに居住しているヨルバ族のようなアフリカ系血統である。
- インスリン様成長因子(IGF)の血中レベルが高い[47]。
菜食主義と双胎妊娠の頻度
双胎妊娠の確率を上昇させるIGFは乳製品等から摂取できるが菜食主義の中でもヴィーガン(Vegan)と呼ばれるグループは全ての動物由来製品の利用を拒んでおり、血中のIGFレベルが非ヴィーガンと比べて13%ほど低い。そのため、双胎妊娠の確率が非ヴィーガン(乳製品を食事にとっている人)の5分の1程度になっているという調査結果もある[48]。
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