千葉常胤とは? わかりやすく解説

千葉常胤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/28 00:46 UTC 版)

千葉 常胤(ちば つねたね)は、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての武将千葉氏第3代当主。千葉氏を豪族から御家人の地位まで登らしめた千葉氏中興の祖といわれる。常胤以降、一族は諱に「胤」の一字を受け継ぐことが多くなる。在地領主=武士の政権・鎌倉幕府の創設に努力し、これによって子孫発展の基礎を築いた[5]。まさに関東の在地領主=武士の、そして鎌倉幕府の御家人の、一つの典型である[5]


注釈

  1. ^ 久安2年の寄進状に記された2通の証文について、藤原親通のものは「押書」、源義朝のものは「圧状」と記されているが、その両者の法的効果には大きな違いがあり、前者は合法的な契約書類(常胤も後にこの未進分を返済している)であったのに対して、後者は自由意思に反した違法な文書として法的に無効とされるものであった。義朝が天養2年に相馬御厨伊勢神宮に寄進した後、神宮側が義朝が持つ証文(常重から責め取ったもの)を「圧状」としてその有効性を否認したために、改めて権利主張の放棄の意思表示を示す避状の提出に至ったとする[8]
  2. ^ 黒田紘一郎は、源義朝はその段階では棟梁などではなく、同じレベルで領地を奪おうとした形跡があると論じている[9]
  3. ^ 「和与」は、元来は合意に基づく所領や所職等権利の譲与を指していたが、鎌倉時代頃より裁判における和解(合意)の意味を持つようになった。長又高夫は相馬御厨の1件を裁判の解決方法として権利の譲与が行われた例として注目し、裁判における和解の意味での「和与」が発生する過渡的な出来事であったと評価している[11]
  4. ^ ただし、盛長が挙兵前に一度常胤らの下に派遣されたという記述も存在する[12]
  5. ^ 司馬は唐名であり、下総の在庁官人である常胤のことを指す。

出典

  1. ^ a b c 福田 1973, p. 3.
  2. ^ a b c d 福田 1973, p. 224.
  3. ^ a b c 福田 1973, p. 226.
  4. ^ 野口実『中世東国武士の研究』戎光祥出版、2020年。
  5. ^ a b 福田 1973, p. 239.
  6. ^ 福田 1973, p. 1.
  7. ^ 福田 1973, p. 2.
  8. ^ 井原今朝男「中世契約状における乞索文・圧状と押書」『鎌倉遺文研究』第17号、2006年。 /所収:井原今朝男『日本中世債務史の研究』東京大学出版会、2011年。ISBN 978413026230-9 
  9. ^ 黒田紘一郎 著「古代末期の東国における開発領主の位置」、野口実 編『千葉氏の研究』名著出版、2000年。 
  10. ^ 『櫟木文書』「仁安二年六月十四日付皇太神宮権祢宜荒木田明盛和与状」(『平安遺文』第7巻3425号所収)
  11. ^ 長又高夫「「和与」概念成立の歴史的意義 -『法曹至要抄』にみる法創造の一断面-」『法制史研究』第47号、1998年3月。 /所収:長又高夫『日本中世法書の研究』汲古書院、2000年。ISBN 978-4-762-93431-5 
  12. ^ 吾妻鏡6月22日24日
  13. ^ 福田 1973, p. 153.
  14. ^ 福田 1973, p. 157.
  15. ^ a b 山本隆志「東国における武士勢力の成立-千葉氏を中心に-」『史境』61号、2010年。 /改題所収:山本隆志「第二章第二節 千葉常胤の社会権力化」『東国における武士勢力の成立と発展』思文閣出版、2012年。ISBN 9784784216017 
  16. ^ 丸井敬司「第二章第四節 中世の千葉町の成立とその景観」『千葉氏と妙見信仰』岩田書院、2013年。ISBN 9784872947946 
  17. ^ 豊田武「千葉氏の東北移住」(『人物叢書附録』167号、吉川弘文館)
  18. ^ 保立道久「第3章 日本国惣地頭・源頼朝と鎌倉初期新制」『中世の国土高権と天皇・武家』校倉書房、2015年。 


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