ちくま‐がわ〔‐がは〕【千曲川/筑摩川】
千曲川
千曲川は、長野県川上村、埼玉県秩父市、山梨県山梨市の3県の境にある甲武信ヶ岳にその源を発し、佐久、上田の2つの盆地を経て長野市のある飯山盆地にて最大の支川犀川を合流します。長野市の東縁を流下すると、治水の難所である立ヶ花狭窄部をぬけ飯山盆地を貫流後、新潟県境にいたり信濃川と名を変えます。途中の支川を合流させると流域面積7,163km2、流路延長214kmの日本最長河川である信濃川の長野県内部分をいいます。 |
千曲川、犀川の合流点 |
河川概要 |
| ○拡大図 |
1.千曲川の歴史 |
"太古より人々の暮らしとともにあり、生活を支えてきた千曲川。その恩恵は計り知れないが、水量豊かな川ゆえに洪水がもたらす被害も甚大なものとなります。流域の人々は千曲川に助けられ、また時には戦いながら今日の流域における経済と社会基盤を築いてきました。" |
2.地域の中の千曲川 |
"千曲川の普段の表情はおだやかで優しく、人々は万葉の昔からその姿に魅了されてきました。そして時にそこは激しい戦場ともなりました。とうとうとした千曲川の流れは、積み重ねられた歴史の数をしのばせます。千曲川は信州人の「ふるさと」そのものです。" |
◆日本の原風景 遠く北アルプスを望む中流域の眺望は、まさに信州のイメージそのものであり、春夏秋冬の季節の移り変わりが織り成す自然の美しさは、人々の心を魅了してきました。古くは万葉の頃から、そして平安歌人にも歌われた千曲川は、近代文学においても島崎藤村の『千曲川旅情の歌』『千曲川のスケッチ』に描かれ、高野辰之により『ふるさと』『おぼろ月夜』に歌われました。 まさに失われつつある日本の原風景がここにあるのです。 ◆広大な果樹園と豊かな川の幸 千曲川沿川は、信州のイメージに大きくかかわるリンゴの生産地としても有名ですが、その成り立ちは明治以降の近世ことです。それまでは養蚕が産業の中心でしたが養蚕の衰退によって空洞化した地域産業を盛り返したのがリンゴ栽培でした。 千曲川河川敷に広がる広大な果樹園は、千曲川がもたらした肥沃な大地あっての産物といえるでしょう。 つけば小屋で味わうウグイの塩焼き、田楽、テンプラの風味は、眼前に広がる雄大で野性味溢れる千曲川の味として人々の心を魅了し続けているのです。 |
3.千曲川の自然環境 |
"日本一長い信濃川の上流~中流域にあたる千曲川。その流域は北アルプスをはじめとした高い山々に囲まれています。豊かな自然と美しい景色は昔から観光地として親しまれてきたが、同時に大都市圏を擁する生活拠点でもあります。豊かな自然を後世に残すためにも、河川行政のなすべき課題は少なくはないです。" |
◆川がもたらす地形の変化 千曲川流域は、周囲を山岳に囲まれた内陸性気候となっており、平坦部でも標高300~700mと高いため平均的な気温は低くなっています。また、千曲川中流部にあたる長野市周辺は年間降水量が1,000mm前後と、日本でも有数の雨の少ない地域であることが特徴だといえるでしょう。 また、千曲川・犀川はフォッサマグナ地帯を流れる河川でもあり、これが複雑な地形やもろい地質の原因になっています。千曲川下流域ではこのフォッサマグナがもたらす隆起が現在も続いており、千曲川は隆起する大地を削りながら流れています。 このため、中野市立ヶ花~飯山市区間では千曲川に削られた谷のように狭い川幅が洪水の流れを妨げるため、治水上の大きな問題点となっています。 ◆日本の屋根から注ぐ清流「犀川」 千曲川は日本一長い信濃川の長野県部分を呼びますが、その最大の支流が犀川です。 犀川は北アルプスの槍ヶ岳に源流を発し、長野市にて千曲川に合流します。この合流点から上流の河川の状況を見ると、河川延長・流域面積ともに犀川の方が千曲川よりも若干大きくなっています。また、犀川上流域では千曲川上流域に比べて年間の降水量がほぼ倍あるため、年間の総流出量でも倍にもなっています。その上流域松本地方の安曇野では、犀川流域の豊かな水量がもたらす地下水、伏流水が特徴で、その清冽な水によりワサビの栽培が盛んです。また、上高地などの観光地も多く、バックの北アルプス山脈とも相まって透明感ある信州のイメージはむしろ犀川の方が強いかもしれません。 しかし、万葉以前、神話の時代にまでその名が遡る千曲川に対して、犀川の名が世に出てくるのは中世以降、ほんの450年余り前でしかなく、知名度では遙かに劣ります。千曲川の流れをそっと支える秘境の清流・・・犀川とはそんな川なのではないでしょうか。 |
4.千曲川の主な災害 |
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(注:この情報は2008年2月現在のものです)
信濃川
(千曲川 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 06:35 UTC 版)
信濃川(しなのがわ)は、新潟県および長野県を流れる一級河川。信濃川水系の本流であり、新潟市で日本海に注ぐ。このうち信濃川と呼ばれているのは新潟県域で、長野県に遡ると
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