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日本オペレーションズ・リサーチ学会日本オペレーションズ・リサーチ学会

分権管理

読み方ぶんけんかんり
【英】:decentralized control

概要

分権化には, 職能分権化と事業部制がある. 前者特定の職能に対して責任単位設定し, 後者製造, 販売, 管理の全業務統合する事業部責任単位として設定する方式である. 分権管理は, 社内振替価格, 外部からの購入外部への販売権認めること, 業績評価法の工夫等により, 各責任単位行動全体的最適へと導くように管理することである. 近年では, カンパニー制持株会社制の下での分権管理のあり方新しテーマとなっている.

詳説

人間限られた認知能力や処理能力しかないので, 組織大規模に伴い, 経営者権限委譲し, 分権化を行わざるを得なくなる. また大規模化しすぎると, 規模の利益が生じなくなる. それ故, 経営者分権化に伴う調整の困難さや, コスト考慮に入れながら, どのタイプ組織構造前提とした分権化を行うかを決定することになる. 大規模化に伴う分権化は, 全ての組織体 (organization) に見られる. 分権化を行う理由として, (1)経営者業務処理負担軽減, (2)意思決定適時性と迅速性, (3)業務区分による計画統制の容易性, (4)下位管理者従業員育成動機づけ効果, 等が挙げられる. ただ分権化により調整問題多くなり, しかもセクショナリズムに陥りやすいので, これを防ぐためには, 「決定面での分権化と統制面での集権化」が必要になる.

近年新し動向については後述するが, 分権化の方式として, 職能分権化と事業部制 (divisionalization) がある. 前者は, 購買, 生産, 販売等の職能別に専門化した部門責任単位として, 分権化を行う方式である. 後者は, 企業組織製品別, 地域別あるいは得意先別に編成された事業部利益責任単位(投資責任単位であることもある)とした分権管理組織である. この方式は連邦制分権化ともよばれ, これは各州が独立していながら, 連邦政府統合されている状態によく似ていることによっている. 事業部生産, 販売, 管理等の職能統合し, 大幅権限委譲されている自主的経営単位である. 事業部制企業多角化戦略を採り, 製品市場多様化している時, また環境不確実である場合有用である.

どちらの分権方式採用されたとしても, 部門事業部行動全体的最適化を導くように, 分権管理 (decentralized control) されなければならない. そのため1つの手段として, 社内振替価格(intra-company transfer price)の利用がある. 職能別の各部門は本来, 原価責任収益責任どちらかしか持っていないが, 部門間取引を社内振替価格評価することにより, 両方責任を持つ利益責任単位として運営できる. これにより, 職能部門事業部特徴備えることになるので, この分権方式職能別事業部制ということもある. この場合社内振替価格として競争市価によることもあるが, 原価プラス適正利潤によることが多い. しかしこの方法では, 生産部門努力如何にかかわらず一定の利益保証することになるので, 努力程度反映しないことになる. これに対し, 事業部間取引では社内振替価格競争市価によって決定されることが多く, 通常, 条件がよければ外部からの購入を許す忌避宣言認められている. これによって企業内に, 市場価格メカニズム導入されることになる. 競争市価を用いることによって, もし事業部製品原価競争市価より高ければ, 改善必要性があると判断できる.

分権管理の第2番目の手段は, 業績評価法を工夫することである. 職能部門業績評価では, 原価責任, 収益責任が果たされているかどうかを見るために, 原価額や収益額で評価される. 社内振替価格設定され, 利益責任を持つ場合には, 利益額で評価される. 事業部業績評価 (divisional performance evaluation) は, 事業部拡張あるいは縮小すべきかどうかのために行われる場合と, 事業部全社観点から望ましい活動を行ったかどうか評価のために行われる. 前者場合正確なコスト・ビヘイビアーを反映した評価であること, 後者場合管理可能性考慮した, 公平な原価配分による評価であることが重要である. ただ後者場合, 管理可能性のみを重視した評価は, 自部門の業績の向上のみにとらわれることになり易く, あえて管理可能性に基づかない評価基準設定することもある. 特に, 本社費配賦後の利益によって業績評価が行われる場合には, 公平な配賦が重要となる. しかしながら配賦基準としてどれを選ぶかによって, 事業部行動が変わるので, 本社本社費配賦 (allocation of corporate expenses) を政策的に利用する場合もある. 事業部権限大きく投資責任を持っている場合には, 使用資本についても責任を持っているので, (事業部利益÷事業部資本)によって算定される事業部資本利益率評価されることが多い. これに対し, 事業部利益責任だけを負っている場合には, 事業部利益評価される. ただ利益利益率による評価だけでは, アフター・サービス費用や, 社員教育訓練費を削減したり, 利益率増やすために必要な投資押さえる等の行動結びつきやすい. それ故, 近年では, 財務的な指標, 顧客関係の指標, 社内ビジネス・プロセス指標, 革新学習指標バランスよく達成することが将来的に重要であると認識されるにつれ, 多元的尺度による評価必要性主張されている.

分権管理の第3番目の手段は, 社内金利制度社内資本金制度利用である. ただ, これらの制度利用している企業はあまり多くない. 社内金利制度は, 各事業部社内借入金に対して, 社内金利賦課する制度である. 社内資本金制度は, 事業部社内資本金割り当てることにより, 資本金運用まで責任を負わせる方式である. また社内資本金与え代価として, 社内配当金納付させるようにしている. これらの制度利用している事業部投資責任を持っているので, 資本利益率を用いた評価が可能となる.

数理モデルを用いた分権管理についての研究もある. 例えば, 本社事業部制約条件知らないとして, 両者の間でどのような情報交換を行えば全社最適達成されるかについて, ダンツィヒ・ウォルフ(D. B. Dantzig, P. Wolfe)の分解原理やコルナイ・リップタック(J. Kornai, TH. Liptak)の解法利用した研究がある. これらの研究理想的状況における情報交換考察することによって問題整理し, 検討通じて改善糸口を見いだすことに役立つ.

近年, 事業部制以上に分権化の利点追求するために, カンパニー制 (company system) や持株会社制導入する企業がある. 逆に分権化の欠点から、カンパニー制廃止する企業もある.カンパニー制社外分社型のものを意味する場合もあるが, 一般的に社内分社制度の一形態である. もちろんそれに類似した制度多くある. 各カンパニー独立会社のように運営され, カンパニートップ全ての役員従業員人事権も持っている. 各カンパニー利益のほかに資金管理し, 社内資本金社内金利計上している. 巨額設備投資実行権限認められている. 利益があれば社内配当し, 残額社内留保される. また損失が生じても填補されないという特徴を持っている.

持株会社制は, カンパニーが完全な独立性を持っていないに対して, 完全な法的独立性を持った子会社関連会社をつくり, 本社持株会社とする方式である. 持株会社には事業持株会社もあるが, 1997年11月純粋持株会社解禁され, この方式を用いて完全な分社化 (company split-up) を図る企業現れている. 子会社関連会社間の取引は, 全て対外取引となる. この方式では, M & A (merger & acquisition)によるグループ再編が容易になり, 経営機動性が増すが, 会社間の資源配分柔軟性資金人材融通性低下することになる. また, 持株会社化に伴う資産譲渡課税登録免許税がかさむという欠点もある.ただ連結納税認められるようになり、以前より持株会社移行しやすくなっている.






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