分子イオン
分子イオン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 23:50 UTC 版)
He2+は、半共有結合で結合する関連イオンである。ヘリウムの放電により生成しうる。電子と再結合し、電気的に励起したHe2(a3Σ+u)エキシマ分子を形成する。どちらの分子もずっと小さく通常の原子間距離の大きさに近い。 ヘリウム二量体の2価陽イオンHe22+は非常に反発力が強く、解離すると835 kJ/molという大きなエネルギーを解放する。イオンの動力学的安定性は、ライナス・ポーリングにより予測されている。33.2 kcal/molのエネルギー障壁がすぐに崩壊するのを防いでいる。このイオンは、水素分子と等電子的である。He22+は、2価の電荷をもちうる最小の分子である。質量分析により検出できる。 負電荷を持つヘリウム二量体He2-は、He22+をセシウム蒸気中に通すことによって、1984年にBae、Coggiola、Petersonによって発見された。その後、H. H. Michelsが理論的にその存在を確認し、He2-の4Πg状態は、He2のa2Σ+u状態に対して束縛されていると結論付けた。計算された電子アフィニティーは、He-[4P-]イオンの0.077 eVに対して、0.233 eVであった。He-は、τ-350 μ秒で長寿命の5/2gとτ-10 μ秒で短寿命の3/2g及び1/2gに崩壊する。4Πg状態は、1σ2g1σu2σg2πu電子配置を持ち、電子アフィニティーは0.18±0.03 eV、寿命は135±15 μ秒である。v=0振動状態だけがその長寿命の原因となっている。 ヘリウム分子陰イオンは、電子により22 eVより高いエネルギーレベルに活性化した液体ヘリウム中でも見られる。
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