再考の府
再考の府
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:20 UTC 版)
衆議院先議案が衆議院で可決した後に参議院に送付されて国会で二度目の審議に入ることが多いことから「再考の府」とも呼ばれる。予算は衆議院先議規定があり、条約や法律も政権にとって重要法案は多くが政権側によって衆議院先議法案となりやすい。与野党対立法案では衆議院可決後に参議院で審議未了で廃案や継続審議となることもある。 学習院大学教授の福元健太郎が参院発足後の1947年から2000年に政府が衆議院先議に提出した7106本の全法案を分析すると、衆議院が可決した法案を参議院が実質修正したり廃案になった例は8%。審査回数で参議院が衆議院を上回ったのは22%という結果が出た。一方で、政策研究大学院大学教授の竹中治堅は「参議院は戦後日本の政治過程において多くの場面で現状を維持する方向で影響を与えてきた」と分析している。 衆議院で可決され参議院で否決された法案は過去に13例ある(みなし否決を除く)。ただし、衆議院で可決されたものの、参議院で議決できずに審議未了で法案が廃案になった例、参議院で修正案が可決された後で衆議院で参議院案が可決された例は多い。また、参議院で修正案が可決された後で衆議院が参議院案に賛成せず廃案になった例、参議院否決でも法案が成立した例もある。詳しくは衆議院の再議決を参照。 衆議院で可決され参議院で否決された法案例参院本会議議決日法案可否票差その後1950年(昭和25年)5月1日 地方税法改正案 73 102 29 5月2日の両院協議会で成案成立に至らず廃案 1951年(昭和26年)3月29日 食糧管理法改正案 64 126 62 3月31日から5月10日までの両院協議会で成案成立に至らず廃案 1951年(昭和26年)6月2日 モーターボート競走法案 65 95 30 6月5日に衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 1954年(昭和29年)6月1日 協同組合金融事業関連法案 少数 多数 不明 参議院での継続審議を経ての否決であったため参議院先議扱いとなり廃案 1994年(平成6年)1月21日 政治改革関連法案 118 130 12 1月29日に両院協議会で修正案が成立し、衆参本会議で可決 2005年(平成17年)8月8日 郵政民営化関連法案 108 125 17 否決を受け同日衆院解散により廃案総選挙で賛成派が圧勝し、再提出された法案が10月14日に国会で可決し成立 2008年(平成20年)1月11日 補給支援特別措置法案 106 133 27 同日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 2008年(平成20年)5月12日 道路整備費財源特例法改正案 108 126 18 翌日、衆院本会議で野党による両院協議会請求動議否決の上3分の2以上の賛成で再可決し成立 2008年(平成20年)12月12日 補給支援特別措置法改正案 108 132 24 同日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 2009年(平成21年)3月3日 第二次補正予算財源法案 107 133 26 翌日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 2009年(平成21年)6月19日 海賊行為対策法案 99 131 32 同日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 2009年(平成21年)6月19日 租税特別措置法改正案 99 131 32 同日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立 2009年(平成21年)6月19日 年金改正法案 99 131 32 同日、衆院本会議で3分の2以上の賛成で再可決し成立
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