先天性筋線維タイプ不均等症とは? わかりやすく解説

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先天性筋線維タイプ不均等症

先天性筋線維タイプ不均等症(congenital fiber type disproportion)は上記のような筋線維内の異常な封入体構造異常がなく、タイプ1赤筋線維タイプ2白筋線維より12%以上のをもって小径である場合診断名です。もちろん患者さんは乳児期から筋緊張低下筋力低下があり、発達遅れてます。
上記何れの疾患でも共通な重要な病理学的所見タイプ1線維タイプ2線維より小径で、タイプ1線維の数が正常上限55%以上を占める(タイプ1線維優位type 1 fiber predominance)ことです。さらに、筋線維径は全体細く未熟未分化なものが多く存在します筋線維タイプ分布の異常と未熟性が筋力筋緊張低下原因考えられています。

b.臨床症状
先天性ミオパチーはどの病気でも、乳児重症型良性先天型成人発症型の3型分けられています。上記疾患ネマリンミオパチーとかセントラルコア病とか)は病理学的に互いに明らかに所見異なり、また遺伝子座異なっているのに、臨床症状きわめてよく似てます。たとえばネマリンミオパチー患者さんと先天性筋線維タイプ不均等症の患者さんをみても、よく似ていて臨床的に鑑別が困難です。

1)乳児重症型severe infantile form)
最もよく知られているのはネマリンミオパチーミオチュブラーミオパチーです。ネマリンミオパチーでは多くは、常染色体劣性遺伝をとると考えられています。重症型の10%位にアクチン遺伝子変異あるようです。前に述べたように、ミオチュブラーミオパチー場合X連鎖劣性遺伝をとるので、ほとんどが男児です。
新生児期からの呼吸困難哺乳低下があり、人工換気経管栄養を必要とします細長く表情のない顔をしていて、高口蓋認めます手足動きはほとんどみられません。手、足関節拘縮先天性股関節脱臼をしばしばみとめ、腱反射消失してます。予後不良で、大多数1歳までに死の転帰とります

2)良性先天型benign congenital form
先天性ミオパチー大半患者さんはこ良性先天型属します乳児期発達の遅れがあり、筋力筋緊張低下したいわゆるフロッピーインファントfloppy infant)のことが多いです歩行開始も遅れ、1歳半を過ぎることが多いです歩行開始後も走れない、階段昇降手すりがいるなど筋力低下持続しますなかには症状がほとんどなく、よほど専門的な知識を持つ医師でしか診断できないような軽症例もあります筋力低下は非進行性か、あるいは進行してもとても緩徐です。
筋力低下全身ありますが、頸部屈筋が弱い(寝ていて頭がもちあがらない)のが特徴的です(図28)。顔面罹患ありますので、細長い顔で表情乏しく高口蓋あります。ただし、セントラルコア病では顔面筋罹患少なく、正常と変わらないことが多いです
図28:ネマリンミオパチー良性先天型歩行は可能であるが、走れない、階段昇降困難を認めて診断のため来院した

呼吸筋弱く、さらに寝た位置から引き起こしても頭がついてこない頸部屈筋筋力低下)があるので先天性ミオパチー疑われ筋生検し、診断確定された。
28:ネマリンミオパチー良性先天型
咽頭筋の筋力低下があり、燕下困難を認めることもまれでありません四肢筋に比較し呼吸筋(特に横隔膜)が強く侵されることが多いので、定期的に呼吸機能チェックする必要があります心筋はほとんど侵されません。
関節拘縮はしばしば病初期から認めますセントラルコア病では四肢筋の筋力低下軽度なのに、強い脊柱変形側彎)をみることがあります
検査所見では、疾患特異的異常はありません。血清クレアチンキナーゼCK)値は正常ないし軽度上昇筋電図正常ないし筋原所見示します

3)成人型adult onset form
ネマリンミオパチーミオチュブラーミオパチー中心核病)での報告あります良性先天型幼少期にはきわめて症状乏しく成人になって急性増悪したものと、成人発症2型があると考えられています。成人発症のものは病理所見だけで診断されていますので、良性先天型のような遺伝性はないのでしょう原因炎症中毒などが考えられています。




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