保管振替制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 15:37 UTC 版)
保管振替制度は、1972年来の株券振替決済制度を土台としている。 東京証券取引所の株券振替決済制度は次のようなものであった。証券会社が、日本証券決済株式会社(日証決、東証の全額出資会社)にそれぞれ、口座開設、株券寄託、記帳替え、これら三つを担当させた。この口座は証券会社のそれであり、顧客の口座は証券会社で記帳された。国際投信といった「外人買い」の注目された時代は資本の自由化も進行して、株券振替決済制度は決意と進化を促された。日証決の預かった株券は、決算期末等に配当金の支払や議決権の行使がなされるたび、証券会社に全て返されていた。この手間をやむなくさせていたのは次の事情による。まず寄託株券を日証決名義に変えても株主権を変わらず保護できるような法技術がなかった。そして発行会社との折り合いもつかなかった。 そこで1984年振替法が制定された。この法律は証券取引と株主管理の双方にまたがる(証取法、商法の特別法)。有価証券の合理化制度は一般に振替決済制度と呼ばれてきたが、振替法にもとづくものは特別に保管振替制度という。振替法により、主務大臣(大蔵大臣・法務大臣)が証券保管振替機構(ほふり)という財団を日証決に相当する「保管振替機関」に指定した。振替法と「ほふり」は、大量取引を常とする機関投資家にとり、東京オフショア市場の金融インフラとして必要であった。 1991年、東証上場全銘柄が口座振替の対象となった。翌年4月には大阪証券取引所上場全銘柄が対象となった。1992年4月には銀行以外の金融機関も参加者となった。7月には名古屋証券取引所上場全銘柄が対象となった。10月、店頭ふくむ全銘柄が対象となった。2000年現在、この制度は合理性に疑問符がついており、株主の権利行使も関係して、証券の発行会社は参加の是非を自決できる(申請による参加)。保管振替制度に参加しない上場銘柄の取引は、東証の場合、株券振替制度で行われた。なお、保管振替制度は上場外国株式にも適用できることになっていたが、当時は対象銘柄でなかったので、東証では上場外国株券を日本に持ち込まず、当該国に設けられている証券集中保管機関に日証決名義で預託しておき、売買取引の決済や配当金の支払等の権利処理を東証の定める振替決済制度で行うことにしていた。2005年4月末現在、証券保管振替機構は全ての公開会社の同意を得ており、同機構には日本の発行済株式のうち70%以上の株券が、保管されていた。
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