余裕深度処分
別名:一般の地下利用に対し十分に余裕を持った深度への埋設
「低レベル放射性廃棄物」のうち「放射能レベルの比較的高い廃棄物」を、一般的な地下利用を想定した上で、人間と廃棄物の接触を防ぐために、深度に余裕を持たせて埋設処分すること。
原子力委員会は1998年の「現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物処分の基本的考え方」で、「地表から50~100メートル程度の深度の地下に処分」すれば「人間が廃棄物に接触することは避けられ、これに伴う被ばくは生じない」とし、建築や地下利用も一般的な範囲であれば妨げられないとした。余裕深度処分は、この見解に基づいて検討されている処分方法である。具体的な深度については、原子炉等規正法施行令に基づいて経済産業省令で定められている。
余裕深度処分を行う場所の選定にあたっては、将来の隆起や侵食、地下水の動態の変化、巨大地震の可能性、容器の劣化などの要素を総合的に評価する必要がある。また、ボーリングやトンネル工事などの人為的な掘削は、偶発的な事象であるため予測は難しいものの、選定時点の状況に基づいた様々なシナリオが想定されている。なお、余裕深度処分にあたっては、支持層の上面よりも深い場所に処分すること、離隔距離を確保することは前提条件とされている。
また、余裕深度処分の完了後も、継続的な安全性評価が必要とされている。具体的には、放射性物質の漏出監視や土地利用の制限などを、数百年にわたって継続する必要がある。管理期間終了後のリスク、すなわち管理が終了した時点での放射線量が十分に小さいことも重視されており、適切な基準値が定められている。
なお、余裕深度処分は比較的放射線量の高い低レベル放射性廃棄物に適用される処分手法で、放射線量が低いものには浅地中処分が適用される。
関連サイト:
余裕深度処分 - 放射性廃棄物のホームページ(資源エネルギー庁)
余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価に関する考え方 - 原子力安全委員会
余裕深度処分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 19:23 UTC 版)
一般的であるとされる土地利用(住居などの建設)や地下利用(地上の構造物を支持する基盤の設置、地下鉄、上下水道、共同溝や地下室としての利用など)に対して十分に余裕を持った深度(地下50〜100メートル程度)に、コンクリートでトンネル型やサイロ型の人工構築物を作り、廃棄物を埋設する方法を余裕深度処分と呼ぶ。シュラウド、チャンネルボックス、使用済み制御棒など主に原子炉の廃止措置に伴って発生する放射能レベルが比較的高いものが対象となる。管理期間は数百年。処分・管理方法等については調査中である。 日本原燃の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにて次の三号施設として調査中。
※この「余裕深度処分」の解説は、「放射性廃棄物」の解説の一部です。
「余裕深度処分」を含む「放射性廃棄物」の記事については、「放射性廃棄物」の概要を参照ください。
- 余裕深度処分のページへのリンク