佐藤日和太

現代俳句データベース(人名)

佐藤日和太

佐藤日和太の俳句

ひょっこりとのぞく廊下の音や春

エアコンの水滴背中に蛇を描く

ダムの壁洗う緑雨や狐鳴く

ラムネ抜く音浅草に辿り着く

リコピンの色と透けてる金魚かな

万国旗伸びて神父の家に秋

名も知らぬキノコのこのこ散歩する

学生と午前十時の案山子かな

新巻や雫となりてしたたれり

桜散る水洗トイレ静かなり

梅雨明けやごちそうさまを言い残し

残響の溜まる空から卒業歌

漂白剤こぼれた午後の鰯雲

潮騒の届くところは目借時

白菜の皺をたどりて流れけり

瞼から空に向かって咲く桜

空蟬や芳香剤の匂いして

筒井さんどこまで伸びる秋の雲

紫陽花の咲けるテレビの昭和かな

腰の鈴鳴る方にある天の川

茶箪笥を積み込んでいる立春

藍染めの浴衣短し南北線

行く春や踏切の音だけが居る

起立、礼！　優等生の秋刀魚かな

跳馬から離れる右手風光る

軒下のふきのとう前停留所

運動着落としてもらう鰯雲

門松の角を曲がった地平線

雛あられ見つめる首の傾きや

雪像の欠片背中を走りけり

雪虫の朝の空気となりにけり

青空と海を畳んで合歓の花

靴箱の踵が揃う建国日

風の名を一つ覚える成人日

骨壺を作り忘れし不如帰