人民元改革とは? わかりやすく解説

人民元改革

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 16:03 UTC 版)

人民元改革(じんみんげんかいかく)とは、中国通貨である人民元2005年7月より管理フロート制(管理変動相場制)へ移行し、同時に通貨バスケット制を導入した事をいう。変動相場制を採り入れる事で通貨の価値が事実上上がるとの観測から、人民元切り上げとも呼ばれる。


注釈

  1. ^ 市場では切り上げのXデーを「8月半ば」とする説が有力視されており、また切り上げ幅も「3-5%程度」と考えられていた事から、実際の「7月・2-3%」はまさしく温家宝首相の“意表をつくやり方”が具現化がされた形となった(市場の予測については、日本経済新聞7月22日『中国、意表をつく決断 -上げ幅は予想下回る-』より引用)。
  2. ^ 7月22日の中国外貨取引センターでは取引開始直後に大量の元買注文が、終了直前に大量の元売・ドル買い注文が入って初日の変動はわずかに抑えられたが、これら2つの注文はいずれも人民銀行の介入と見られている。
  3. ^ 切り上げから約20日後の8月10日周小川人民銀行総裁がバスケットの構成通貨のみ公表したものの、比率についてはやはり明らかにされなかった。
  4. ^ 対中強硬派として知られる民主党のチャールズ・シューマー上院議員はかねてより、中国が大幅な人民元の切り上げ要求を受け入れない限り、中国からの輸入品に一律27.5%の関税を課すという対中報復関税法案の提出を示唆していた。
  5. ^ 中国系金融機関の幹部は、「中国の最大の輸出先はアメリカ。最も大事な商売相手との関係を悪化させたくないのは誰でも同じ」と中国政府の思惑を語っている。
  6. ^ このリスクを避けるため、欧州での共通通貨ユーロ創設の一因となった経緯がある。
  7. ^ なお、タイはアジア通貨危機後に米ドル連動を廃止しシンガポールも通貨バスケットを既に導入していた。一方、7月21日の中国とマレーシアの制度変更によりアジアで唯一のドル連動となった香港ドルを監督する香港金融管理局の任志剛総裁は、同日に米ドル連動の変更をする考えはないとの見解を示した。
  8. ^ 実際、5月に中国共産党の機関紙である人民日報が誤ってホームページに「近く人民元制度の変更が発表される」と誤報を流した際には円が急伸したほか、実際に切り上げが実施された7月21日はドルに対して一時的に2円程度急伸し、112円台半ばで推移していた円相場が110円台前半まで上昇した。
  9. ^ これらの方針は、中国企業が海外企業を買収するケースが増えており、取引の自由度を増す事が国内企業にとってのメリットにつながると判断したものと見られている。
  10. ^ 事実、7月22日(切り上げ発表翌日)のニューヨーク商業取引所の原油先物相場では、原油価格の高騰観測が広まった事によりテキサス産軽質油の終値は前日比で1バレルあたり1.52ドル上昇した。

出典

  1. ^ “人民元2%切り上げ -中国、対ドル固定変更 「バスケット制」採用-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  2. ^ “中国人民元切り上げの背景に何があったのか? -自主性、安定性、斬新性 有言実行した中国-”. 人民元の教科書 (新紀元社). (2005年9月19日) 
  3. ^ “中国 人民元を切り上げ -国際通貨の転換点に-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月22日) 
  4. ^ “動き出す人民元 -ドル基軸「終章」の予兆-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月23日) 
  5. ^ “波瀾回避、周到な「改革」 -為替安定を最優先 初日の変動、わずか0.0011元-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月23日) 
  6. ^ “当初5%切り上げも検討-「デフレ懸念で回避」中国誌報道-”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年7月25日) 
  7. ^ a b “動いた0.0011元 -米中、本音は「協調」-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月23日) 
  8. ^ a b “世界経済への影響不透明 -通貨バスケット 運用の幅残す-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月22日) 
  9. ^ “中国、意表つく決断 -上げ幅は予想下回る-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  10. ^ “人民元2%切り上げ -国際通貨へ上げ圧力続く-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  11. ^ “中国、インフレを懸念 人民元切り上げ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年7月22日) 
  12. ^ “「ドル離れ」へ一歩 -世界通貨、多極化へ-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月23日) 
  13. ^ a b “「ドル離れ」へ一歩 –「悲観する必要ない」首相”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月23日) 
  14. ^ “政府、自主的改革を歓迎”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  15. ^ “円相場に上昇圧力 -円乱高下なら「適切に対応」渡辺財務官-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  16. ^ a b “人民元切り上げ –小幅に官民とも冷静-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月22日) 
  17. ^ “「世界の工場」へ視線変化 –進出企業、上げ幅注視-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月23日) 
  18. ^ “韓国銀と共同で専門調査チーム 韓国政府”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  19. ^ “動き不正常なら台湾、市場介入 中国為替局長”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  20. ^ a b “マレーシア、変動相場制に -投機資金流入封じ込め-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  21. ^ “中国 人民元を切り上げ -マレーシアもドル固定廃止-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月22日) 
  22. ^ “マレーシアも固定相場制廃止”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年7月22日) 
  23. ^ a b c d “米「一段の切り上げを」 -人民元改革 一定の評価 「小幅」に不満残る-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  24. ^ “「重要な第一歩」FRB議長歓迎”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  25. ^ “中国 変動幅を管理 –米財務省 中国に担当者を派遣へ-”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年7月23日) 
  26. ^ “人民元切り上げ -静まらぬ米の改革要求-”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2005年7月22日) 
  27. ^ a b “米、小幅「2%」に複雑”. 読売新聞 (読売新聞社). (2005年7月25日) 
  28. ^ a b c “欧州、ユーロ高鎮静 期待 -独「経済に恩恵」 米と一線、圧力控えめ-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2005年7月22日) 
  29. ^ “中国人民銀、人民元の変動幅を1%に拡大”. ウォール・ストリート・ジャーナル (ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン株式会社). (2012年4月14日) 
  30. ^ “人民元 変動幅2倍に 2%”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2014年3月16日) 
  31. ^ “人民元の変動幅拡大へ -通貨下げ余地、輸出増狙う-”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2015年7月25日) 
  32. ^ “人民元自由化に意欲 中国政府、改革加速の方針”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2013年11月27日) 






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