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京成AE形電車 (2代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/03/14 17:09 UTC 版)
| 京成AE形電車(2代) | |
|---|---|
| 編成 | 8両編成(MT比6M2T) |
| 起動加速度 | 2.0km/h/s |
| 営業最高速度 | 160km/h |
| 設計最高速度 | 170km/h |
| 減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常) |
| 編成定員 | 398名 |
| 編成長 | 309m |
| 最大寸法 (長・幅・高) |
19,000 × 2,794 × 4,030 (mm) (先頭車の全長は19,500mm) |
| 編成質量 | 300.5t |
| 軌間 | 1,435mm |
| 電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
| 主電動機 | 東洋電機製造製 かご形三相誘導電動機 TDK6070-A形(175kW /3,155rpm) |
| 編成出力 | 4,200kW |
| 歯車比 | 19:93 (4.89) |
| 制御装置 | 東洋電機製造製 RG6009-A-M形 定速運転機能付きVVVFインバータ制御 |
| 駆動装置 | TD平行カルダン駆動方式 |
| 台車 | ヨーダンパ付ボルスタレス台車 SS170M(電動)・SS170T(付随) |
| ブレーキ方式 | MBSA 回生ブレーキ併用電気指令式 |
| 保安装置 | 1号型ATS・C-ATS |
| 製造メーカー | 日本車輌製造、東急車輛製造 |
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この表について
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京成AE形電車(けいせいAEがたでんしゃ)は、2010年(平成22年)に営業運転を開始する予定の京成電鉄の特急形車両。
本項では以下、特に速度の指定なく「高速運転」「高速走行」と記述した場合は、最高速度である160km/hでの走行をさすものとする。
目次 |
概要
製造の経緯
京成は成田国際空港(2004年までは新東京国際空港、以下「成田空港」と表記)のアクセス輸送として、1972年に「スカイライナー」専用車としてAE車を登場させていた。AE車は空港開港の遅れと、空港駅の位置の悪さから開港後の空港輸送に本領発揮をしたとは言えない状況にあった。
一方、1971年4月には成田新幹線の基本計画が策定されており、1979年6月には成田市内での工事は進んでいたものの、肝心の都心側の建設の目処は立っていなかった。成田空港開港後の1981年には成田空港へのアクセスを担う高速鉄道の調査委員会が発足し、1984年には3ルートの提案のうち、北総開発鉄道(当時)を経由するルートが選定された。しかし、こちらの計画も、具体的な動きはないままであった。
この間、1991年には、成田新幹線のために用意された施設を活用して空港直下に乗り入れることになったが、その前年の1990年に京成はAE100形を登場させた。以後、東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する「成田エクスプレス」とともに、本格的に成田空港アクセス輸送の一翼をになうことになった。
しばらくはその状態で推移したものの、1999年には再び北総鉄道北総線経由のルートの実現に向けて検討委員会が発足し、2002年には施設を建設・保有する事業者が設立され、2010年の開業に向けて動き出すことになった。折りしも、成田空港では2005年に平行滑走路(B滑走路)の延伸を行なうことで大型旅客機の離着陸回数の増加を図る方針を固め、2010年度完成予定で平行滑走路延伸の工事に着手した(予定より早く2009年10月22日から供用開始[1])。滑走路延伸の完成に伴い、年間発着回数が20万回から22万回に増加することで、成田空港の利用者数はさらに増加すると見込まれた[2]。
この2010年開業予定の成田空港線では、最高速度を160km/hとすることにより、東京から成田空港までを30分台で結ぶことになったため、本ルートの空港アクセス列車を運行することになる京成でも、高速運転に対応している車両の導入を決定したものである。
導入構想から発表まで
2004年頃より新造計画を開始。同年6月に就任した第10代代表取締役社長の花田力により、計画の詳細が明らかにされた。花田はこのAE形の製作費に約160億円を投資すると表明した[3]。
形式名については、「空港アクセスと京成の原点回帰」の想いを込めて[4]2代目の「AE形」[5]と制定した。
2008年4月9日に帝国ホテルで上戸彩をゲストに迎えて公式発表会が行われた[6]。また同日、新スカイライナー特設サイトも開設された。
また、ミュージックホーン(補助警笛)、乗降中のBGM、車内アナウンスの際のチャイムは、鉄道に造詣の深いミュージシャンとして知られる向谷実が担当した[7]。
編成・車種構成
既存のAE100形と同様の、8両編成を基本編成とする。成田空港方が1号車で、全車が普通車である。
| 号車 | 車種 | 自重 | 定員 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1号車 | 制御電動車 (M2c) | 37.5t | 40人 | |
| 2号車 | 電動車 (M1) | 39.5t | 56人 | |
| 3号車 | 電動車 (M2N) | 38.5t | 56人 | |
| 4号車 | 電動車 (M1') | 40.0t | 52人 | サービスコーナー設置 |
| 5号車 | 付随車 (T2) | 33.0t | 42人 | トイレ・洗面所・車椅子対応座席設置 |
| 6号車 | 付随車 (T1) | 33.0t | 56人 | |
| 7号車 | 電動車 (M2S) | 39.0t | 56人 | |
| 8号車 | 制御電動車 (M1c) | 40.0t | 40人 |
車体
デザインコンセプト
車両デザインや新ロゴマークの制定はファッションデザイナーの山本寛斎が担当した。
エクステリアデザインのテーマは、風は速さの象徴であり、運び手としての役割や旅への誘いを行なうものであるという印象を統合したもので、空港への最速の運送手段という意味を込め、「風」とした[4]。また、インテリアデザインのテーマは、引き締まった様子や本質的なものを残すという意味の言葉であり、公共の空間に対する知的な配慮や透明感・優しさという意味を込めた「凛」とした[4]。
構造
基本構造は、京成では初の本格的採用となるアルミニウム合金製の車体で、中空押出型材を使用したダブルスキン構造として軽量化を図った。車体全長(先頭車19,500mm、中間車19,000mm)や床面の高さ (1,100mm) はAE100形と同様の寸法であるが、客用扉はAE100形より200mm拡大した幅1,000mmの片開き扉で、高速走行中のトンネル突入時における客室内の急激な気圧変動を軽減するため、客用扉を室内側から4本のシリンダで押し付ける機構を設けた。ドアエンジンは空気式である。また、空調装置の給排気口にも、同様の目的でシャッターを設けている。
先頭部分の形状は「疾風」をイメージした[8]流線型を採用しており、スピード感の表現および高速走行時の空力特性の観点から、ノーズ部を大きく確保した。前照灯は中央に4灯を集中配置している。
客室側面窓は連続窓で、車内を明るくするために面積を大きくした。また、4号車のサービスコーナーには、外観上の軽快さを表現するために丸窓を縦に3つ配置し、アクセントをつけることを図った。
AE100形とは異なり、都営浅草線への入線は考慮されておらず、前面貫通扉は設置されていない。
塗装・ロゴ
車体色は、AE車とAE100形で採用されていたグローバルホワイト・ヒューマンレッド・フューチャーブルーに代わり、ベースカラーをストリームホワイトとし、ウインドブルーの線を入れるという2色塗りとした。これは「風」を連想したものである。
ウインドブルーは日本の伝統色である藍色に対して、山本がアレンジの上メタリック調としたもので、窓上から屋根まで、また先頭部分正面にかけてをこの色とした[8]。また、ウインドブルーは窓の下に2本の帯として入れることで、スピード感を強調することをねらった[8]。
ロゴマークは従来から一新され、これまでの頭文字のみ大文字+小文字の組み合わせ「Skyliner」より「i」を除く全ての文字が大文字となる。また、「SKYLiNER」の頭文字「S」をシンボライズしたデザインの文字が新ロゴマークの右端に記されている。「i」の上の●は日本国国旗の「日の丸」を表しており、これは日本を代表する空港特急を日本国外にアピールする目的の意味もある[4]。
インテリア
客室
客室内の天井は開放感を与えるため[8]、床面から2,400mmと可能な限り高くとったドーム型である。客室照明は間接照明を京成では初めて採用し、AE100形と比較して蛍光灯数を約2倍にすることで、照度を確保すると同時に落ち着いた空間を演出することを図った。
客室内床面は日本の伝統模様である市松模様デザインとした。
客室端部の通路上には車内情報表示器として、営業用の鉄道車両では最大級となる26インチ液晶ディスプレイ (LCD) を採用し、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語表示を行う[7]こととした。また、運転台に設置したカメラにより、前面展望の風景を映すことも可能とした[7]。
座席
車両の座席は、岡村製作所が設計・制作を担当した2人がけの回転式リクライニングシートとなり、座席間隔(シートピッチ)をAE100形と比較してさらに10mm広げて1,050mmとし、座席幅も20mm拡大して前後左右両方向にゆとりを持たせている。
アルミニウム合金製のフレームを使用し、一部はフレームを露出させることでシャープさを表現した。また、伸縮性を有する1枚の織物でクッション機能を有する新素材「バネックス[9]」を、営業用の鉄道車両では初めて[8]採用することにより、着座時の底つき感をなくすことを図った[10]。また、各座席脚部の前後にノートパソコンや携帯電話の充電などに利用することを考慮した電源コンセントを2箇所ずつ設けた[10]。座席下の暖房ヒータは吊り下げ式とすることで、広い足元空間を確保している。
荷物置き場
荷物置き場はAE100形と同様の2段式であるが、幅はAE100形の約2倍となる1,500mmに拡大し、容積の増大を図っている。荷物置き場は客室から直接目視が可能なように配置するとともに、防犯監視カメラを設置することで、さらなるセキュリティの向上を図った。
その他設備
各車両の出入台には防犯監視カメラを設置したほか、客用扉の足元には注意を喚起する意味で、黄色のLEDをステップライトとして設けた[10]。また、扉脇の手すりもグラデーション塗装とした上で、上下にLEDを配置した。車内の案内のため、必要な箇所では点字や触地図による案内表示を設けている。
AE100形同様、サービスコーナーを設けるが、AE100形では5号車に設置しているのに対して、2代目AE形では4号車に設置されている。サービスコーナーには清涼飲料水自動販売機と自動体外式除細動器 (AED) が設置されている。
トイレはベビーチェアやおむつ交換台・オストメイト機能を備えた多機能洋式トイレと男性用小便所、洗面所が5号車に設置されている。男性用小便所の便器はフランス製のものを採用する[10]など、トイレ内のデザインにも留意され、従来の列車トイレにはない空間を演出することをねらった[10]。洋式トイレの汚物処理方式は清水空圧式である。
また、緊急時に備えて、脱出用の梯子を1号車・3号車・6号車・8号車に設けた。
運転台
運転台の主幹制御器は左手操作のワンハンドル式(力行とブレーキを1つのハンドルで操作する方式)を採用した。また、40km/h以上で一定の速度を保つことが可能な定速制御装置を採用した。
主要機器
制御装置は、かご形三相誘導電動機4台を1群として制御するVVVF(可変電圧・可変周波数)インバータで、2号車・4号車・8号車に2群分を搭載する。主回路は2レベル式で、インバータ装置の主変換素子はIGBTである。トルク制御にベクトル制御を採用することで円滑な加減速を可能としている。
補助電源装置は三相交流440V、210kVAの容量を有するIGBT素子使用の静止形インバータ (SIV) を3号車と7号車に搭載する[11]。これらの制御機器や補助電源装置などの冷媒として純水を使用することで、環境負荷の軽減を図っている。
高速走行に対応するため、主電動機はAE100形よりも強力となる1時間定格出力175kWの三相交流誘導電動機を採用し、歯数比は19:93 (4.89) に設定した。高速性能を大きく取っている分、起動加速度は京成の車両では久方振りに低く取っており、2.0km/h/sである[12]。
台車は、京成としては初となる[13]ボルスタレス台車を採用した[14]。この台車は3500形(1両)と3700形(8両1編成全台車)で試験を行ったボルスタレス台車の試験結果および、同型の試作台車による台車回転試験をベースとして改良している。また先頭車両には、大手私鉄では初のフルアクティブサスペンションを採用し、台車に取り付けたヨーダンパとともに車体への動揺を緩和して、乗り心地を向上させている。
制動装置(ブレーキ)は回生ブレーキを併用した電気指令式空気ブレーキを採用したほか、高速走行時に対応した基礎ブレーキ装置として、電動台車(電動機により駆動される台車)には油圧で動作するキャリパー式ディスクブレーキを、駆動軸のない付随台車には空気圧で動作するテコ式ディスクブレーキを採用した[13]。
集電装置(パンタグラフ)はPT7131-C形シングルアーム式を、偶数号車に1台ずつ搭載する。パンタグラフの折り畳み高さは地上から4,050mmとなった。高速走行に対応するため、離線防止のためのオイルダンパを設けたほか、パンタ上昇検知装置によりパンタグラフの状態確認を運転台のモニタ画面で行なうことを可能にした。
冷房装置は集中式を各車の屋根上に1基搭載する。能力は41.86kW (36,000kcal/h) である。暖房は座席下の吊り下げヒータのほか、厳冬期における室内温度の早期立ち上げを図る目的で冷房装置に電熱ヒータを内蔵している。
電動空気圧縮機 (CP) はスクロール式で、1号車と6号車に各1台搭載する[11]。
運用
営業開始時期は成田空港線が開業する2010年7月17日を見込んでいる。これまでに第1編成(日本車輌製造製)は2009年5月、第2編成(東急車輛製造製)は2009年12月、第4編成と第6編成(東急車輛製造製)が2010年1月に納入されており、2009年度から2010年度までの2年間での総製造両数は8両編成8本の64両を予定している。
「スカイライナー」での運用を中心に、一部は「モーニングライナー」・「イブニングライナー」での運行も計画されている。「モーニングライナー」・「イブニングライナー」は、現時点では従来の京成本線経由となる予定である。このため同車は京成高砂駅 - 空港第2ビル駅間において、京成本線と成田空港線、ともに走行することになる。
注記
- ^ 『10月22日オープン決定 成田空港の延伸滑走路』(東京新聞Web)
- ^ 「3.2500m平行滑走路の整備に向けて」PDF(成田国際空港株式会社公式サイト内「成田空港〜その役割と現状〜」第3章:成田空港の整備状況、2008年11月)
- ^ 「新社長を直撃! 京成電鉄 その2〜成田新高速鉄道で東京=成田を36分に」2004年8月17日、日経BP社
- ^ a b c d 『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p90
- ^ 厳密には「AE形」の呼称は今回は初めての使用となる。これは初代の正式形式名がAE車であるため。
- ^ なお鉄道車両の場合は、実車の落成前に公式に詳細を発表する事例は極めて少ない。
- ^ a b c 『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p94
- ^ a b c d e 『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p91
- ^ 川島織物セルコンが開発。自動車用座席や車椅子に使用されている。詳細は公式サイトを参照。
- ^ a b c d e 『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p92
- ^ a b 『鉄道ファン』通巻580号(2009年8月号) p14
- ^ 通常、鉄道車両の場合は加速性能と高速性能は相反している。すなわち高速性能を上げると加速性能は低くなる場合が多い。
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p93
- ^ 一般特急用2代目3050形は、3000形をベースにしている事と、京浜急行電鉄への直通運転を考慮し、従来車と同様のボルスタアンカー付き台車を採用している。
参考文献
- 京成電鉄 新スカイライナー公式サイト
- 京成電鉄 帝国ホテル開催の公式発表
- エリエイ出版部『とれいん』 2008年6月号
- 京成電鉄(株)車両部計画課課長補佐 田中良治 「京成電鉄AE形」 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) pp90 -95
- 京成電鉄(株)車両部計画課 「新車ガイド1 京成電鉄AE形」 交友社『鉄道ファン』通巻580号(2009年8月号) pp10 - 17
外部リンク
- 新スカイライナー公式サイト (京成電鉄)
- ホビダス編集長敬白:「新型スカイライナー誕生。(上)」 (ネコ・パブリッシング)
- ホビダス編集長敬白:「新型スカイライナー誕生。(下)」 (ネコ・パブリッシング)
- 時事ドットコム 新型スカイライナー (時事通信社)
- 京成電鉄株式会社殿向新型スカイライナー完成(日車トピックス)
- 京成電鉄AE形特急電車「新型スカイライナー」(日本車輌製造)
関連項目
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