交感神経β2受容体作動薬とは?

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交感神経β2受容体作動薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/04/02 16:25 UTC 版)

(Β2アドレナリン受容体刺激剤 から転送)

交感神経β2受容体作動薬(こうかんしんけいベータ2じゅようたいさどうやくbeta 2-sympathomimetic receptor agonists)は、気管支喘息および他の慢性閉塞性肺疾患の症状の緩和に使われる医薬品の種類である。β2刺激剤、β2作用剤とも呼ばれる。

目次

適応

β2刺激剤はβ2アドレナリン受容体に作用して平滑筋を弛緩させ、気管支の拡張、筋肉と肝臓の血管拡張、子宮の筋肉の弛緩、およびインスリンの放出を引き起こす。全てのβ2刺激剤は吸入(薬剤をエアロゾル化する定量噴霧式吸入器(MDI)、または吸入可能なドライパウダー)として利用可能である。

サルブタモール(米国ではアルブテロールと呼ばれる)は溶液としてネブライザーを用いた吸入にも使われ、処置室では他の吸入器よりネブライザーが使われることが多い。サルブタモールとテルブタリンはともに経口薬としても利用可能である。

加えて、サルブタモールとテルブタリンを含むこれらの薬剤のいくつかは静脈注射薬としても利用可能である。それは喘息の重篤症例にも使われることがあるが、もっぱらそれが子宮の筋肉を弛緩し収縮を防止するために早産を抑制するのに使われる。

世界喘息指針(GINA)のガイドラインでは、必要に応じて急性増悪の素早い緩和を短時間作用性β2刺激剤によってもたらすことが推奨されている。同時に、コントローラー投薬治療が喘息コントロールの程度によって必要とされ、第一選択肢は低用量吸入ステロイド剤であるが、それより上の程度からは、低用量吸入ステロイド剤と長時間作用性β2刺激剤の併用が推奨されている[1]

化学構造

β2アドレナリン受容体刺激剤は、アドレナリンイソプロテレノールなどのカテコールアミンと構造上似ているが、異なる部分があり、それがβ2選択性と作用時間の性質を決定している。

より大きなβ2選択性はα炭素鎖側の容積の増大によって達せられている。カテコールアミンはカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)によって素早く代謝されるが、β2刺激剤はベンゼン環の3,4-ヒドロキシル基を3,5位に再配置(メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール)、または3-ヒドロキシル基をヒドロキシメチル基に代替(サルブタモール、ピルブテロール、サルメテロール)するなどして、COMTへの抵抗を持つ。

短時間作用性のサルブタモール、ピルブテロールおよびテルブタリンは高レベルのβ2作用特異性を持つが、親水性が高いために受容体を短い時間しか占有できず、活動の期間が制限される。最近開発された二つの新薬、サルメテロールとフォルモテロールは高い親油性を持ち、長期の活動性を見せる。

サルメテロールはβ2アドレナリン受容体の活性部位だけでなく「エクソサイト」と呼ばれる別の部位にも結合し、活性部位との結合・解離を繰り返し行うことで、活動性を延長している[2]。フォルモテロールは、細胞の脂質二重膜の中に拡散して貯蔵され、その後ゆっくりと放出され、β2アドレナリン受容体と接触することによって長期に効果が持続する[3]

作用機序

β2刺激剤の有益な効果は主に、気管支平滑筋の弛緩による気管支の拡張と、運動や他の刺激物によって誘発される気管支狭窄の阻害、の二つである[4]

β2刺激剤はβ2アドレナリン受容体に結合し活性化させる。β2アドレナリン受容体は7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体スーパーファミリーのメンバーであり、受容体と共役したGタンパク質はアデニル酸シクラーゼを活性化させる。この酵素はATPからcAMPへの変換を触媒し、cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存タンパク質キナーゼ(タンパク質キナーゼA、PKA)を活性化する。タンパク質キナーゼAはさまざまな活動に寄与し、過分極、細胞内カルシウムの減少、カルシウム依存性カリウムチャネルの活性化、Ca-K ATP系の刺激などを起こす。細胞内カルシウム濃度が下がると、平滑筋の弛緩が導かれる。

これは、アドレナリンの分泌が気管支平滑筋の弛緩を引き起こすのと同じ経路である。β2アドレナリン受容体刺激剤は、いくつかあるアドレナリン受容体のうち、平滑筋弛緩にかかわるβ2受容体に選択的に作用して、それ以外のアドレナリン症状が起こらないように作られている。

β2刺激剤はまた、血管透過性と浮腫を低下させ、粘液繊毛のクリアランスを増大させる。そしてヒスタミン、メタコリン、アデノシンなどの不特定の気管支収縮物質に対して保護をする。加えて炎症性細胞、特に肥満細胞からの、メディエーターの放出を抑制する(抗炎症能力)。


  1. ^ Medical Communications Resources (2006). Pocket Guide for Asthma Management and Prevention. Global Initiative for Asthma. 
  2. ^ Green, S. A. et al. (1996). “Sustained Activation of a G Protein-coupled Receptor via ``Anchored Agonist Binding”. Journal of Biological Chemistry 271 (29): 24029-24035. American Society for Biochemistry and Molecular Biology.
  3. ^ Anderson, G. P. (1993). “Formoterol: pharmacology, molecular basis of agonism, and mechanism of long duration of a highly potent and selective beta 2-adrenoceptor agonist bronchodilator”. Life sciences 52 (26): 2145-2160. Pergamon Press.
  4. ^ ビアーズ, M. H. and バーコウ, R. (編) (1999). メルクマニュアル日本語版第17版. 日経BP. 
  5. ^ U.S. Food and Drug Administration / Center for Drug Evaluation and Research. Alert for Healthcare Professionals Salmeterol xinafoate (marketed as Serevent Diskus). 2008年4月9日閲覧。
  6. ^ Salpeter, S. et al. (2006). “Meta-analysis: effect of long-acting beta-agonists on severe asthma exacerbations and asthma-related deaths”. Ann Intern Med 144 (12): 904-912.
  7. ^ Lima, J. J. (1999). “New Horizons In Asthma: Importance Of β2 Adrenergic Receptor Polymorphisms”. Jacksonville Medicine 50 (11): 488-490.


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