主応力とは? わかりやすく解説

主応力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 06:32 UTC 版)

応力」の記事における「主応力」の解説

せん断応力成分ゼロとなるように座標系取ったときの垂直応力を主応力 (principal stress) と呼ぶ。その座標系基底ベクトル応力テンソル主軸あるいは主応力軸と呼ぶ。さらに主軸垂直な面を主面あるいは主応力面と呼ぶ。各点での主軸方向(主方向)を連ねていくと、物体中には互いに直交する曲線群を描くことができる。これを主応力線という。なお、真応力テンソルコーシー応力テンソル)は対称テンソルであるため、ある応力状態を表す真応力テンソルに対してせん断応力見掛け現れず主応力のみが垂直応力として現れる主軸が必ず一組存在するせん断応力ゼロとなるときの垂直応力が主応力であるが、同時に主応力はあらゆる座標系の中で垂直応力最大、最小となる値を示している。3つの主応力をσ1 ≥ σ2 ≥ σ3 の関係となるようにとったとき、最大の主応力σ1 を最大主応力 、最小となる主応力σ3 を最小主応力 、これら2つ直交する主応力σ2 を中間主応力 と呼び、ある座標系での応力状態 ( σ x , σ y , σ z , τ x y , τ y z , τ z x ) {\displaystyle (\sigma _{x},\sigma _{y},\sigma _{z},\tau _{xy},\tau _{yz},\tau _{zx})} が与えられているとき、主応力は以下の関係から求められる。 det ⁡ ( σ − λ I ) = | ( σ x − λ ) τ x y τ z x τ x y ( σ y − λ ) τ y z τ z x τ y z ( σ z − λ ) | = 0 {\displaystyle \operatorname {det} (\sigma -\lambda I)={\begin{vmatrix}(\sigma _{x}-\lambda )&\tau _{xy}&\tau _{zx}\\\tau _{xy}&(\sigma _{y}-\lambda )&\tau _{yz}\\\tau _{zx}&\tau _{yz}&(\sigma _{z}-\lambda )\end{vmatrix}}=0} 上式を展開したλに関する3次方程式の根が主応力となる。実際に上式を展開すると、 λ 3 − J 1 λ 2 + J 2 λ − J 3 = 0 , J 1 = σ x + σ y + σ z , J 2 = σ x σ y + σ y σ z + σ z σ x − τ x y 2 − τ y z 2 − τ z x 2 , J 3 = σ x σ y σ z + 2 τ x y τ y z τ z x − σ x τ y z 2 − σ y τ z x 2 − σ z τ x y 2 {\displaystyle {\begin{aligned}&\lambda ^{3}-J_{1}\lambda ^{2}+J_{2}\lambda -J_{3}=0,\\&J_{1}=\sigma _{x}+\sigma _{y}+\sigma _{z},\\&J_{2}=\sigma _{x}\sigma _{y}+\sigma _{y}\sigma _{z}+\sigma _{z}\sigma _{x}-\tau _{xy}^{2}-\tau _{yz}^{2}-\tau _{zx}^{2},\\&J_{3}=\sigma _{x}\sigma _{y}\sigma _{z}+2\tau _{xy}\tau _{yz}\tau _{zx}-\sigma _{x}\tau _{yz}^{2}-\sigma _{y}\tau _{zx}^{2}-\sigma _{z}\tau _{xy}^{2}\end{aligned}}} となる。一方、上式の根はσ1、σ2、σ3となるので、上式は以下のようも書き表せる。 0 = ( λ − σ 1 ) ( λ − σ 2 ) ( λ − σ 3 ) = λ 3 − ( σ 1 + σ 2 + σ 3 ) λ 2 + ( σ 1 σ 2 + σ 2 σ 3 + σ 3 σ 1 ) λ − ( σ 1 σ 2 σ 3 ) {\displaystyle {\begin{aligned}0&=(\lambda -\sigma _{1})(\lambda -\sigma _{2})(\lambda -\sigma _{3})\\&=\lambda ^{3}-(\sigma _{1}+\sigma _{2}+\sigma _{3})\lambda ^{2}+(\sigma _{1}\sigma _{2}+\sigma _{2}\sigma _{3}+\sigma _{3}\sigma _{1})\lambda -(\sigma _{1}\sigma _{2}\sigma _{3})\end{aligned}}} 以上の2式を等値すれば、 J 1 = σ 1 + σ 2 + σ 3 = σ x + σ y + σ z = tr ⁡ ( σ ) , J 2 = σ 1 σ 2 + σ 2 σ 3 + σ 3 σ 1 = σ x σ y + σ y σ z + σ z σ x − τ x y 2 − τ y z 2 − τ z x 2 , J 3 = σ 1 σ 2 σ 3 = σ x σ y σ z + 2 τ x y τ y z τ z x − σ x τ y z 2 − σ y τ z x 2 − σ z τ x y 2 = det ⁡ ( σ ) {\displaystyle {\begin{aligned}J_{1}&=\sigma _{1}+\sigma _{2}+\sigma _{3}=\sigma _{x}+\sigma _{y}+\sigma _{z}=\operatorname {tr} (\sigma ),\\J_{2}&=\sigma _{1}\sigma _{2}+\sigma _{2}\sigma _{3}+\sigma _{3}\sigma _{1}=\sigma _{x}\sigma _{y}+\sigma _{y}\sigma _{z}+\sigma _{z}\sigma _{x}-\tau _{xy}^{2}-\tau _{yz}^{2}-\tau _{zx}^{2},\\J_{3}&=\sigma _{1}\sigma _{2}\sigma _{3}=\sigma _{x}\sigma _{y}\sigma _{z}+2\tau _{xy}\tau _{yz}\tau _{zx}-\sigma _{x}\tau _{yz}^{2}-\sigma _{y}\tau _{zx}^{2}-\sigma _{z}\tau _{xy}^{2}=\operatorname {det} (\sigma )\end{aligned}}} を得る。J1、J2、J3は、ある応力状態において座標系に関わらず常に一定値となるので応力不変量(stress invariant)と総称されるそれぞれ第一次応力不変量第二次応力不変量第三次応力不変量と呼ぶ。第一次応力普遍量、第三次応力不変量は、それぞれ応力テンソルの跡、行列式等しい。応力不変量は以下のように表されることもある。 I = J1, II = σ12 + σ22 + σ32 = tr(σ2), III = J3

※この「主応力」の解説は、「応力」の解説の一部です。
「主応力」を含む「応力」の記事については、「応力」の概要を参照ください。

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