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両性愛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/15 14:24 UTC 版)
| 性的指向 |
|---|
| 指向 |
| 非性愛 · 両性愛 · 異性愛 · 同性愛 · 全性愛 · 多性愛 · 無性愛 |
| 性の他の概念 |
| 女性の性的能力 · 男性の性的能力 · 半陰陽 · 第3の性 · トゥー・スピリット |
| 研究 |
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両性愛(りょうせいあい、バイセクシュアル[1]、英語 bisexuality)は、男性にも女性にも見られる、いずれの性の人に対しても、美的な憧れや情緒的・精神的な魅惑、あるいは性的・肉体的な欲望を抱くような性的指向をいう語。略してバイとも呼称される。この場合、男性・女性という「性」は、身体的な性(セックス)に加えて、ジェンダーのことも同時に指している[2]。両性愛という語は同性愛および異性愛と並ぶ性的指向の類型であるが、他方、両性愛とは同性愛と異性愛との混合状態であるとする見解もある。
男か女かという男女二元論の立場よりも、あらゆる人々に魅力を感じたり恋をしたり、性的願望を抱いたりすることを強く意識する場合、全性愛(パンセクシュアル)という用語が使われる場合もある(詳細は後述)。
両性愛は歴史上、人間社会および動物社会においてもさまざまな形態で観察されてきたものであるが、20世紀後半に入って初めてまじめな研究の対象となった。それでもなお、両性愛が広範囲に存在していた事実や、両性愛の定義については異議が唱えられている。
目次 |
概説
両性愛とは何か
両性愛という語は、同性愛および異性愛を両極端とする、その他のすべての性的指向を指している。両性愛の人々は必ずしも双方のジェンダーに同じように魅力を感じるわけではない。むしろ、いずれかのジェンダーをより好む傾向が見られることが多い。また、両方のジェンダーを好むが、セックスとしては一方を好んだり、両方のセックスへの指向をもちつつも一方のジェンダーのみに魅力を感じる、という形態も存在する。両性愛という語は同時に、同性愛および異性愛といった単性愛指向を内包するものであると定義されることもあるが、両性愛自体を独立した性指向とみなすべきだという議論も少なくない[1]。
両性愛者のアイデンティティ
自らのことを同性愛者や異性愛者とみなす人でも、他者からその性的指向に基づき両性愛者であるとみなされることもある。たとえば、自身を同性愛者とみなす両性愛者の女性を考える。「同性愛とは、自らと同じ性を愛することである」という定義に従えばこの女性は同性愛者といえる。このような女性がたまたま最初に女性に恋愛感情を抱いた場合には、両性愛者であるとは認識しにくいであろう。同様に両性愛者の男性であっても、自らが男性に対し恋愛感情を抱くことがありつつも、アナルセックスはしないという立場から自らを異性愛者であるとみなしていることがある。このように両性愛という概念はあいまいなものなのである。一部の人は、単性愛は「両性愛を除く」と否定的に定義されたものであるとの立場を示すし、また一部の人は実際に個人がどのような状況にあるかだけが両性愛に該当するか否かを決定するという立場を示す一方で、またある人は両性愛の存在自体を否定する(両性愛は本来同性愛で、社会的適応のために異性愛的指向を持つようになったのが異性愛であるとする立場)ために大変厄介な議論となる。
一部の両性愛者は、自身を同性愛者とは異なるものだとみなしつつ、両性愛は広義でのLGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender personの略)に属すると考える。またある人々は、レズビアンやゲイという概念を尊重しつつ、自らはいずれにも属さないと考え、またいかなるレッテルも自身の状況を的確に表現していないと考える。
しかし以上の議論は現代に入り、キリスト教の教義に基いて同性愛がタブーとされたことにより、異性愛のみが一般社会で認められる様になった為であると考えられる。後述の両性愛の歴史に見られるとおり、近代以前においては両性愛が異性愛以上に一般的な性的指向であったとさえ言える。自らを同性、異性の一方のみの愛ではなく両性を同様に愛する、両性愛者と自認する人も多い。
用語
両性愛という語は、元々19世紀に両性具有の者をいう時に用いられ出した語である。遅くとも1914年までには、両性愛は一つの性的指向を指す語として用いられるようになっていた[3]。一部の両性愛者および性に関する調査に携わる者の中には、「両性愛」という語の定義に不満を抱き、多様な代替語を用いるようになったり、両性愛のあり方やある一面を適切に説明できるように追加的な用語をたくさん用いた。しかしながらそうして作り出された語は、まだ社会に広く認識されているとは言えない。
例えば、英語においては以下のような代替語、拡張語が提唱されている。
パンセクシュアル・オムニセクシュアル(pansexual, omnisexual[4])
- 日本語にはまだ対応する語は存在しないが、以下この記事においては仮に全性愛と訳すこととする。バイセクシュアル(bisexual)という語に含まれる「バイ」[5]という接頭語を避けて、両方の性に惹かれるというよりもあらゆる性に魅力を感じるとする立場から作られた。これらの語は主に、トランスジェンダーの人々や性転換をした人々をも含むあらゆるジェンダーの存在を尊重する立場の人が好んで用いる。全性愛という語は、時にはBDSMのような特殊な性行動を含意することがある。また、全性愛に分類されるのが適当である人であっても、両性愛という語の方がより一般的に浸透している語であり、かつ両性愛という語がアイデンティティ政治において重要な意味を持つ語であるという理由から、自らを両性愛と称することがまだ多い。
バイ・パーミッシブ(bi-permissive)
- 日本語にはまだ対応する訳語は存在しない。この語は、積極的に自らのジェンダーに性的な意味を見いだそうとすることはないながら、時に特定のジェンダーの人と性行為を行うこともあるという人々を指している。このような人々は自らを異性愛であるとか同性愛であると認識し、また圧倒的に多く同じジェンダーの人と性行動をとることもあるだろう。
アンビセクシュアル(ambisexualZ)
- 日本語にはまだ対応する訳語は存在しない。この語は本来、いずれの性に対しても全く同様に魅力を感じる状況を指してきた。自らをアンビセクシュアルであると認識する人は、身体面でも、感情面でも、知性の面でも、また精神的な面においても、パートナーの性やジェンダーに左右されることなく同じように相手に惹かれる。またある人は、パートナーのある性的な、もしくはジェンダー的な特徴(e.g.異性であるということ)によって引き起こされるようなものとまったくかわらない、激しい恋愛感情をもつこともある。
トリセクシュアル(trisexual[6])
- この語はバイセクシュアルという語の拡張であり、また単なる語呂合わせでもある。もっと重要な用法で用いられた時には、この語は遺伝学的・ジェンダー的な男性や女性に加え、トランスジェンダーの人にも同様に性的魅力を感じる状況を指す。
バイフォビア(biphobia[7])
- バイフォビアは、両性愛者であることについて非難されるのではないかという両性愛者の恐れを示す。ほとんどの場合、これは異性愛もしくは同性愛だけがふつうな性指向で、適切なライフスタイルであるという信条に基づく。両性愛という性的指向は同時に、異性愛だけが適切だと考える異性愛者にとってはホモフォビア[8]の対象でもある。これとは逆に、両性愛の人がヘテロフォビア[9]の対象となりうること、また同性愛の人々からの差別の対象であるという時にもあてはまる。
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- ^ バイセクシャルとも。
- ^ ここで「ジェンダー」とは社会的な性を指し、「セックス」とは肉体的な、遺伝学的な性を指すことを確認しておく(性行為としてのセックスは、この記事中では性行為と記す)。
- ^ (Oxford English Dictionary, 2nd ed. より出典)
- ^ 「pan」、「omni」は英語の接頭語であり、「全ての」という意味を添える。例:Pan-Pacific(パンパシフィック=環太平洋の)
- ^ 「バイ」(bi)は英語の接頭語(ラテン語系)であり、「両方の」「二つの」という意味を添える。例:bilingual(バイリンガル=二つの言語を使用できる人)
- ^ 「トリ」(tri)は英語の接頭語(ラテン語系)であり、「三つの」という意味を添える。
- ^ 「フォビア」は英語の接尾語であり、「~恐怖症」という意味である。
- ^ 同性愛者であることについて非難されるのではないかと恐れること、またそのように恐れる人。
- ^ 異性愛者であることについて非難されるのではないかと恐れること。またそのように恐れる人。
- ^ 直訳すれば「とりあえず両性愛、あとで同性愛」。日本語にしてもわかるとおり、このスラングには両性愛者に対する強烈な偏見が内包されている。
- ^ down-lowとは英語のスラングであって、隠れてする何かをいう時用いる。このような文脈では特に同性愛のことを指す。
- ^ 逆に、有史以前に遡るほど地母神崇拝・生殖器信仰もあり性的な表現には寛容である
- ^ (El-Rouayheb, 2005, pp. 14-24)より出典
- ^ (Monroe, 1997, p. 117)より出典
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