不動尊とは?

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不動明王

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/08/09 19:45 UTC 版)

(不動尊 から転送)

不動明王 (ふどうみょうおう)、梵名アチャラ・ナータ (अचलनाथ [acala naatha])は、仏教の信仰対象であり、密教特有の尊格である明王の一尊。また、五大明王の中心となる明王でもある。真言宗をはじめ、天台宗禅宗日蓮宗等の日本仏教の諸派および修験道で幅広く信仰されている。


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注釈

  1. ^ 潅頂というと、日本では高野山で毎年5月に行われる『胎蔵界結縁潅頂』と、10月に行われる『金剛界結縁潅頂』が有名であるが、これらは『大日経』や『金剛頂経』などの「経典に基づく潅頂」であって、チベット密教では「タントラの潅頂」と呼ばれるものを指し、五大タントラにも数えられる『カーラチャクラの潅頂』(時輪タントラ)が世界的に知られている。ここでいう個別の潅頂とはこれと違い、チベット密教では「ジェナン」と言い「許可潅頂」と和訳される。この潅頂は正式な阿闍梨の資格をもつ者であれば、基本的に誰でも行うことができ、チベット密教や中国密教では日常的に行われている「諸尊の潅頂」である。日本では、空海の直筆の資料である『請来上表』の中には、「許可潅頂」と「授明潅頂」を授かること再三にわたると述べていて、一般には知られていないがそれほど特殊な潅頂ではない。現在の日本で知られる「諸尊の潅頂」としては、信貴山真言宗朝護孫子寺で12年に一度の寅年に行われる「毘沙門天王結縁潅頂」、天台宗では黄不動で知られる園城寺(三井寺)で行われる「不動明王結縁潅頂」、真言宗では智山派成田山新勝寺で行われる「不動明王結縁潅頂」等がある。なお、愛染明王に関係するものとしては、高野山真言宗金剛峯寺で行われる『瑜祇潅頂』がある。
  2. ^ いわゆる密教の実習の際には、まず先に「ワン」(潅頂)と「ルン」(口誦・口伝)と「ティ」(講義・伝授)を必要とする。潅頂を最初とするのは、小乗戒・大乗戒三昧耶戒の三つの戒律を儀式の中で授かるからである。小乗戒を授からなければ正式な「仏教徒」ではないし、大乗戒を授からなければ菩提心を備えた「菩薩」ではない。さらには、三昧耶戒を授からなければ密教を修する資格を得た「瑜伽行者」とはいえない。これら三乗の戒を得ていなければ仏教の瞑想にはならず、かりに密教のテキストに基づいたとしてもそれは外道の聖者の瞑想であり、結果的に外道の覚りを得るばかりで、六道輪廻の苦しみを離れることはない。それゆえ、潅頂の中で授かる戒律は、その教えの道を方向づける羅針盤の役目をする。また、その上で「潅頂の種類」と、その儀式の各所作の意味と、『三昧耶戒』の口伝について師僧から教えを受けて知っておく必要がある。なお、潅頂を授からずに真言を唱えることは、潅頂や戒律とは別に密教における真理を表す口密としての「真言」そのものの意義を失い、加えて『三昧耶戒』における「十四根本堕」の四重禁戒の項目「未熟な者には密教の教えを説いてはならない」に違反し、密教における「波羅夷罪」が適用される。ここで、一般の人がなぜ授かってもいない戒律の適用を受けるかというと、三昧耶戒はあらゆる存在を通じて真理をその身に体現することを象徴するからである。それゆえ解説を加えると、この戒律の例として、正式な潅頂を授かっていない人に対しては、諸仏や諸尊の真言(マントラ)を教えてはいけないし、唱えさせてもいけないし、唱えることを許してもいけない。それを教えたり許可した際にはこの戒律に違反することになり、「波羅夷罪」が適用されて、たとえば僧侶の場合には「僧籍に加え全ての資格を失うと共に、2年間一切の宗教活動を禁止し、二度と僧侶となることは出来ない」ことになってしまう。
  3. ^ 一行 著 『大日経疏』巻三(大正大蔵経39巻、p609)「摩訶衍(マハヤーナ:大乗教。ここでは密教を含む)の中には、また真言を以って秘密の教えとする。未だ曼荼羅に入らざる者、即ち、潅頂を授かっていない者には、読誦せしめず。(中略)このゆえに、真言を修し学ぼうとする者は、先ず曼荼羅に入らしめて、潅頂を授けることを要するなり」。
  4. ^ 不空 訳 『蕤キ耶経』巻下(大正大蔵経18巻、p772)。「もし、愚人あって、曼荼羅に入らずして(潅頂を授かっていないのに)真言を唱えたならば、遍数を満ずるといえども、ついに成就せず。復た、(真言を唱えたために)邪見を起こしたならば、その人は命が尽きてから地獄に堕ちる。もし、人あって彼に真言の法を教えたならば、その人もまた、三昧耶戒に違反することとなり、命を終えた後に、叫喚地獄(raurava)に堕ちる」。
  5. ^ 江戸時代の「戒律復興運動」に功績があり、如法真言律を提唱し、生涯において三十数万人の僧俗に対して正しい戒律潅頂を授けた浄厳覚彦の『普通真言蔵』によると、真言について書かれた書物を売買してもいけないとして、真言の大切さと三昧耶戒の厳しさを説いている。
  6. ^ 松原1999、唐の不空が訳した「底哩三昧耶不動尊念誦秘密法」巻上に、不動明王とは「菩提心大寂定の義」「(釈迦)如来成道の時、先に宝菩提樹に坐して降魔成道する者は。即ち是れ大寂定不動にして菩提の本」とする。すなわち、釈迦が菩提樹下で坐禅をして悪魔を降伏させ悟りを開いた時の状態の時を表した尊格だとする。なお同様の記述は大日経疏にもある。釈迦の坐禅中に悪魔が誘惑したことは原始仏典『サンユッタ・二カーヤ』にあり詳細な問答の内容が伝えられている(邦訳・中村元「ブッダ悪魔との対話」岩波文庫)。
  7. ^ 渡辺1975では、美術的価値はともかく密教の教えから外れており、円珍は不動明王をよく知らなかったのではないかと批判しているが、一般的には非常に人気のある像。
  8. ^ 日蓮は清澄寺や延暦寺で密教を修めている。日蓮は建長6(1254)年6月25日、愛染明王を太陽の中、立像で腕が四本の不動明王を月の中に感得したとして「不動愛染感見記」(国重文)を書いた。「不動・愛染感見記」一考(尚、この感見記には偽書説もある)また、日蓮の御書には度々不動明王が登場し、「法華経の前触れである無量義経は皇帝の行列の前を清める将軍のような教典であり、不動明王の剣索・愛染明王の弓箭のようなものだ」(上野殿母尼御前御返事)と述べており、法華経守護と悪魔降伏の仏として自筆の曼荼羅には不動明王を必ず書いている。

出典

  1. ^ 不動明王御真言 大本山成田山 久留米分院
  2. ^ 幻化網タントラにおける潅頂』(印度學佛教學研究)、pp.859-861。
  3. ^ 『講説 理趣経』(四季社)、pp.220-226。
  4. ^ 『新出・空海書 請来上表』(墨美社)、p14、p42、pp.59-60。
  5. ^ 『皈依潅頂儀規』(總持寺出版社)、p10、p15。
  6. ^ 中院流諸尊通用次第撮要』(親王院)、pp.4-7。
  7. ^ 『金剛乗殊勝心要宝蔵解説』(蓮華堂出版部)、pp.75-79。
  8. ^ 『いのちつながる』(高野山真言宗総本山金剛峯寺)、pp.202-204。
  9. ^ 『ダライ・ラマの密教入門』(光文社)、pp.48-53。
  10. ^ 『【図説】曼荼羅大全』(東洋書林)、pp.37-40。
  11. ^ 『秘密三昧耶佛戒儀』(總持寺出版社)、p28。
  12. ^ 『外内密戒律金剛乗十四根本堕講解』(總持寺出版社)、pp.9-10。
  13. ^ 『外内密戒律手冊』(總持寺出版社)、pp.41-44。
  14. ^ 『普通真言蔵』第二巻・付(東方出版社)、稲谷裕宣 著 「浄厳覚彦の『普通真言蔵』」、pp.50-52。
  15. ^ 『普通真言蔵』第二巻・付(東方出版社)、上田霊城 著 「浄厳和尚と真言陀羅尼」、pp.65-67。
  16. ^ 『中院流諸尊通用次第撮要』(親王院)、pp.261-267。
  17. ^ 『仏教タントリズムにおける言葉の問題』(日本密教学会)、pp.5-15。
  18. ^ 『金剛乗殊勝心要宝蔵解説』(蓮華堂出版部)、pp.51-53。
  19. ^ 『潅頂のための次第書』(蓮華堂出版部)、pp.9-13。
  20. ^ 『ダライ・ラマの密教入門』(光文社)、pp.137-141。
  21. ^ 『普通真言蔵』第一巻(東方出版社)、p1。







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