三重唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 02:55 UTC 版)
『ばらの騎士の三重唱』として知られる名場面。それぞれが自分の想いを独白で歌う三重唱である。オクタヴィアンは一目惚れしたゾフィーに夢中だが、先日まで愛し合っていた元帥夫人にも未練があり、ひどく混乱している。ゾフィーはオックスに裏切られ、自分を救ってくれると信じたオクタヴィアンが格上の元帥夫人と愛人関係にあることを知って傷ついている。オクタヴィアンをつなぎとめることも出来たはずの元帥夫人であるが、潔く若い二人を祝福し、身を引く決意をする。ホーフマンスタールはシュトラウスに手紙を送り、この場面で元帥夫人がゾフィーに見劣りするような音楽を書いてはならないと注意を呼びかけている。若いオクタヴィアンの気持ちとしてはゾフィーに夢中であることを表しつつ、彼女よりも魅力的な元帥夫人が敢えて身を引くことを音楽でも示すように、との趣旨である。今日、この場面はゾフィー役ではなく、元帥夫人役の歌手にとっての聴かせどころの一つと見なされていることから、シュトラウスは台本作者の要求に見事に応えたのだと考えてよい。シュトラウスにとっても愛着のある曲であり、遺言により彼の葬儀で演奏された(指揮はゲオルク・ショルティ)。
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