ループものとは? わかりやすく解説

ループもの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/10 03:29 UTC 版)

ループものは、タイムトラベルを題材としたSFのサブジャンルで、物語の中で登場人物が同じ期間を何度も繰り返すような設定を持つ作品のこと[1]。いわゆる「時間もの」の一種。昔からある物語の類型のひとつだが[2][3]日本サブカルチャージュブナイルもの[4]では頻出する設定であり、半永久的に反復される時間から何らかの方法で脱出することが物語の目標となるものが多い[5]


注釈

  1. ^ なお、連続した時間を繰り返すわけではないため「ループもの」とは異なるが、登場人物の意識のみが時間移動するというアイディアを用いたものとして、高畑京一郎による1995年の小説『タイム・リープ あしたはきのう』のような作品もある[11]
  2. ^ 「第三者の審級」とは大澤真幸の用語で、「規範の妥当性を担保する超越的な他者」「社会(システム)の全体性を代表する超越的な他者」としている[19]ポストモダンの到来によって失われたとされる「大きな物語」[20][21]あるいはラカンの三界でいう「象徴界」[22]のような意味で使われている。
  3. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン』自体、ループものではないにもかかわらずループものとして受容された面がある[24]。TVシリーズの終盤には並行世界を思わせる描写がある。また新劇場版でもループものを匂わせる演出がなされている[25]
  4. ^ 他方、人類全体が反復に気づいているという設定の作品もある[26]
  5. ^ 大塚英志は、現実世界を写生して描く近代までの文学の手法を「自然主義リアリズム」、虚構を写生して描くキャラクター小説(ライトノベル)の手法を「まんが・アニメ的リアリズム」と対比した[29]
  6. ^ 覚えゲー復活 (コンピュータゲーム)も参照。
  7. ^ 原作小説では15,498回、テレビアニメ版では15,527回という設定。
  8. ^ 原題は“Triangle”。日本で劇場公開された際の日本語タイトルは『トライアングル』であったが、ビデオリリース化の際に『トライアングル 殺人ループ地獄』へと改題された。
  9. ^ 結末が2種類作られており、初回放送時はどちらの結末を放送するかテレゴングで決めるという趣向だった。未放送版の結末はDVDおよびVHSソフトに特典として収録されたのが初出。

出典

  1. ^ 前島 2010, p. 151
  2. ^ a b c 大森 2007, p. 510
  3. ^ a b c d 虚淵玄、前田久「虚淵玄INTERVIEW」『オトナアニメ』 vol.20、洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年5月9日、34頁。ISBN 978-4-86248-711-7 
  4. ^ 暮沢剛巳 『キャラクター文化入門』 エヌ・ティ・ティ出版、2010年、98頁。ISBN 978-4757142565
  5. ^ 大澤 2008, p. 196
  6. ^ ピックオーバー 2007, p. 245
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  10. ^ 大森 2007, pp. 508–509
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  12. ^ 大森 2007, p. 509
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  14. ^ a b c 大森 2007, p. 517
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  22. ^ 東浩紀・大澤真幸・斎藤環「シニシズムと動物化を超えて」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』、2007年、164頁。
  23. ^ 大澤 2008, pp. 199–200, 202
  24. ^ a b 東浩紀・宇野常寛黒瀬陽平氷川竜介山本寛「物語とアニメーションの未来」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』日本放送出版協会、2009年、209頁。ISBN 978-4140093474
  25. ^ a b オール・ユー・ニード・イズ・キル 特集:【第1弾】日本原作×トム・クルーズ主演 この夏、絶対見逃せない特別な超大作とは?”. 映画.com. 2014年7月6日閲覧。
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  28. ^ 東浩紀 「『CROSS†CHANNEL』について」『文学環境論集 東浩紀コレクションL』 講談社、2007年、345頁。ISBN 978-4062836210
  29. ^ 東 2007a, pp. 56–57
  30. ^ 東 2007a, p. 193
  31. ^ 東 2007a, pp. 113–117
  32. ^ 東 2007a, p. 180
  33. ^ 大森 2007, p. 520
  34. ^ 浅羽 2012, pp. 107–131, 202–230
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  36. ^ a b 浅羽 2012, p. 126
  37. ^ 浅羽 2012, p. 127
  38. ^ 浅羽 2012, pp. 126–127
  39. ^ 浅羽 2012, pp. 19–37
  40. ^ 浅羽 2012, pp. 37–57, 72–73
  41. ^ 浅羽 2012, pp. 58, 81
  42. ^ 浅羽 2012, p. 56
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  53. ^ 浅羽 2012, pp. 20–23
  54. ^ 浅羽 2012, pp. 123–124
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  56. ^ 浅羽 2012, p. 36
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  59. ^ 大森 2007, p. 519
  60. ^ 東 2007a, pp. 158–167
  61. ^ 桜坂洋(インタビュアー:宮津友徳、唐木元)「映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」特集、原作者・桜坂洋が発想の源泉と映像化への期待を語る(2/3)」『コミックナタリー』、2014年6月30日https://natalie.mu/comic/pp/allyouneediskill/page/22014年7月20日閲覧 
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  67. ^ 宇野常寛 『ゼロ年代の想像力』 早川書房、2008年、208頁。ISBN 978-4152089410
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  73. ^ 浅羽 2012, pp. 104–106
  74. ^ 浅羽 2012, pp. 38–44
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  77. ^ 清水節 (2011年10月18日). “ミッション:8ミニッツ : 映画評論 ループの果てに訪れる鎮魂と希望の世界”. 映画.com. エイガ・ドット・コム. 2011年11月22日閲覧。
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  82. ^ 前島 2010, p. 221
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  88. ^ 宮台真司「「良心」の犯罪者」『オウムという悪夢―同世代が語る「オウム真理教」論・決定版!』宝島社、1995年、114頁。ISBN 978-4796692298
  89. ^ ピックオーバー 2007, pp. 15–16, 245
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  91. ^ ピックオーバー 2007, p. 16
  92. ^ 浅羽 2012, pp. 150–153



ループもの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:43 UTC 版)

空気系」の記事における「ループもの」の解説

物語がある一定の期間を反復するようなタイムトラベル系のSFジャンルであるが、日本オタク文化では空気系作風のような延々と繰り返される日常宮台真司のいう「終わりなき日常」)の比喩として使用されている面がある作家桜坂洋によれば終わり規定され限定的な日常であるからこそ読者安心して作品から「萌え」を享受できるのであり、この事象作中時間経過に対して読者自覚的であること)自体は非萌え作品でもみられるという。

※この「ループもの」の解説は、「空気系」の解説の一部です。
「ループもの」を含む「空気系」の記事については、「空気系」の概要を参照ください。

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