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リトルボーイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/07 11:32 UTC 版)

原子爆弾リトルボーイ(実物)

リトルボーイ (Little Boy) は、第二次世界大戦においてアメリカ軍広島市に投下した原子爆弾コードネームである。いわゆる「広島原爆」「広島型原爆」である。

これは、人類史上初めて実戦で使用された核兵器である[1]。現在でも、原子力災害核実験、原発事故など)の規模を測る際に、このリトルボーイを基準に「広島原爆n個分」で呼ばれることもある。

(核の歴史の詳細は核兵器参照)

目次

概要

リトルボーイの構造。赤がウラン235。

全長3.12m、最大直径0.75m、総重量約5t。番号はMk.1。ウラン235を用いており、二分されたパイプの両端に置かれたウラン235の塊の一方を火薬の爆発力でもう一方のウラン塊にぶつけ、臨界量を超過させて起爆するガンバレル型である[2]

積載されたウラン50kgのうち、1kgが核分裂反応を起こしたと推定されている。核出力TNT換算で約15kt(5.5 × 1013ジュール)である。

開発

ガンバレル型の原子爆弾がどのように設計されたのかはいまだに機密扱いであり、公表されていない。 一部にはリトルボーイはナチス製、もしくはそのコピーであったのではないか、という憶測がある[要出典]。これはアメリカがガンバレル型の開発をした経緯がなく、当初よりプルトニウムを用いた爆縮式の実験を行っていた為という説である。 しかしこれは定説とは著しく異なる。原爆の当初構想はガンバレル型であり、プルトニウムと濃縮ウラニウム両方を材料としたシンマンとして開発が行われていた。1943年頃、プルトニウムの過早反応が認識され、爆縮方式の設計がスタートする。1944年7月にはほぼ全面的にプルトニウム爆縮式に開発努力は移行するが、トリニティ実験までは爆発成功の確信がなく、すでに爆弾設計としては完了しウラニウムの濃縮の進捗を待つのみとなっていたガンバレル型が予備として計画されたものである。 終戦間際にドイツ国内や潜水艦から押収されたウラニウムが広島原爆に使われなかったとする根拠はないが、量的には1939年の時点でカタンガ(コンゴ)からおよそ一千トンが搬入されたウラニウム鉱石が原料の大部分を占めていた。

実験

1945年当時、この方式の検証のための核実験は行われていない。核実験による検証を経たのは、プルトニウムを使った爆縮方式のものが1945年7月16日、アメリカニューメキシコ州アラモゴード近郊のアラモゴード爆撃試験場(現:ホワイトサンズ・ミサイル実験場内「トリニティ・サイト」)で行われたのみである。これは一般には、既にウラン235を使った核分裂試験が原子炉内で行われていた為に核爆発を伴う検証そのものが不要であったとされているが、実際はテストを行うことで高濃縮ウランが不足し、この方式の原子爆弾の戦線への投入に遅れが生じることを軍が嫌ったというのが真相のようである[3]

安全性

ガンバレル型の原子爆弾は安全性に大きな問題があるために作られなくなったといわれている。 完成したガンバレル型の原子爆弾は、推進薬に点火すると必ず核爆発を起こしてしまうため、フェイルセーフが存在しない。

そのため、爆弾を搭載したB-29が墜落したり、何かのミスで投下前に推進薬が点火したりするなど、万が一の場合に備え、爆撃機に兵器係として原爆の技術者を同乗させ、その者が投下の前に手作業で砲身内に推進薬(コルダイト火薬)を詰めこむという安全対策を取ったほどである。

たとえ推進薬が無くとも墜落の衝撃によって砲弾部が標的部に突入すれば核爆発が起きる可能性が十分に高く、海中に墜落すれば爆弾内に流入した水が減速材として働き、臨界状態になる可能性があった。このため、海に落下すれば周囲一帯を危険地域として閉鎖せざるをえなくなる。 これらの危険性を排除できるだけの安全装置の開発は不可能であるとされ、ガンバレル型自体が開発中止になる原因となった。


[ヘルプ]
  1. ^ リトルボーイの意味は、開発当初の設計(シン・マン)寸法よりも短いものとなったため、リトルボーイ(少年)と呼ばれていたからという。(これには異説もある)
  2. ^ ガンバレルとは、の弾の通る部分のこと。機構の詳細はガンバレル型原子爆弾参照。
  3. ^ 「リトルボーイ」に使われた大量の高濃縮ウランの出所は明らかになっていない。一般には米ニューメキシコ州ロス・アラモスにあるオークリッジ国立研究所であったとされている。


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