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ミシュレ【Jules Michelet】


ミシュレ

名前 Michelet

ジュール・ミシュレ

(ミシュレ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 00:54 UTC 版)

トマ・クチュール画 (1865年頃)

ジュール・ミシュレJules Michelet1798年8月21日 - 1874年2月9日)は、19世紀フランス歴史家。「ルネサンス」の造語者。

生涯

パリのトラシ街 (fr, 現在のパリ2区) 生まれ。印刷業者の父の仕事を手伝いながら勉強に励んだ。リセ・シャルルマーニュ(現在のパリ4区)を経て、1819年に文学博士となり、1821年にアグレガシオンに通り、1827年に高等師範学校の歴史学教授となる。ヴィーコの歴史論・哲学の影響を受けた。1830年の七月革命を境として、王党カトリック的立場を離れ、自由主義に転じた。1831年、国立古文書館の歴史部長。1834年、ソルボンヌ大学教授としてギゾーの講座の代行者。1838年からコレージュ・ド・フランスで教授[1]となり教鞭をとった。これ以降、民主主義的・反教権的になり、保守化した当時の支配者ルイ・フィリップや、体制側のギゾー批判を行った。

1848年に二月革命が起きると熱狂的に支持した。1852年、ナポレオン3世への宣誓を拒否し、コレージュ・ド・フランスの教授の地位を追われた。晩年は隠棲し、博物誌シリーズなどを著述。

その歴史記述の手法は、過去を生き生きと再現し、つまびらかに描写することにあった。また、国家・政府や人物を、倫理の象徴のように思わせるところにも特徴があった(その点に、ロラン・バルトは着目する)。歴史の中での民衆の動きを捉え、アナール学派にも影響を与えているとされる。なお、『フランス史』第7巻(1855年)においてフランスのルネサンスフランソワ1世以降)について記述しており、これが「ルネサンス」という用語を学問的に使用した最初の例とされる。イエール (ヴァール県)で死去し、パリのペール・ラシェーズ墓地に葬られた。 

著作

  • ローマ史(1831)
  • フランス史(1833-1843)
    • フランス史 藤原書店(全6巻)- 編訳版(大野一道・立川孝一 監修)
    • フランス史〈中世〉 論創社(全6巻)- 別訳版(桐村泰次訳)
    ジャンヌ・ダルク』(中公文庫、改版)は「フランス史 中世」の一章
    • ルネサンス以降「十六世紀史」(1855-1867)- 論創社 7巻予定(2019年-)
    • 19世紀(1872-1873)3巻
    • フランス革命史(1847-1853)7巻
    中公文庫(上下)(抄訳版[2]
    抄訳「フランス革命史」(本の泉社)
  • 民衆(1846年)みすず書房
  • 博物誌 鳥(1856年)思潮社ちくま学芸文庫
  • 博物誌 虫(1857年)思潮社→ちくま学芸文庫
  • 女(1860年)藤原書店
  • 海(1861年)藤原書店
  • 山(1868年)藤原書店
  • 魔女(1870年) 現代思潮社岩波文庫(上下)
映画『哀しみのベラドンナ』(1973年)の原作にもなった。以下は主に編訳
  • 『愛』 現代思潮社(上下)→中公文庫(改版)
  • 『世界史入門 ヴィーコから「アナール」へ』 藤原書店
  • 『人類の聖書 多神教的世界観の探求』 藤原書店
  • 『全体史の誕生 若き日の日記と書簡』 藤原書店
  • 『学生よ 1848年革命前夜の講義録』 藤原書店(新版刊)
  • 『民衆と情熱』 藤原書店(全2巻)。日記
  • 『万物の宴 すべての生命体はひとつ』藤原書店

研究・評伝

  • ロラン・バルト『ミシュレ』 藤本治訳、みすず書房、1974年、新装版2002年 
  • リュシアン・フェーヴル『ミシュレとルネサンス』「歴史」の創始者についての講義録』
    ポール・ブローデル編/石川美子訳、藤原書店、1996年
  • 大野一道『ミシュレ伝 自然と歴史への愛』藤原書店、1998年
  • 大野一道『「民衆」の発見 ミシュレからペギーへ』藤原書店、2011年。続編
  • ヴェルナー・ケーギ『ミシュレとグリム』 西澤龍生訳、論創社、2004年
  • 立川孝一『歴史家ミシュレの誕生』藤原書店、2019年

脚注

  1. ^ 「ミシュレ」ブリタニカ国際大百科事典小項目事典
  2. ^ 桑原武夫多田道太郎樋口謹一訳、元版は「世界の名著 ミシュレ」中央公論社


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