ミクロビオテリウム目とは? わかりやすく解説

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ミクロビオテリウム目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 13:55 UTC 版)

ミクロビオテリウム目
生息年代: Early Paleocene–現世
チロエオポッサム
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
階級なし : 有袋類 Marsupial
上目 : オーストラリア有袋大目 Australidelphia
: ミクロビオテリウム目 Microbiotheria
Ameghino1889
和名
ミクロビオテリウム目[1]
下位分類群

ミクロビオテリウム目Microbiotheria)は哺乳綱-有袋類-オーストラリア有袋類に分類される目である。現生のミクロビオテリウム科と絶滅したWoodburnodontidae科からなる[2]。現生種はチロエオポッサムのみであるが、南アメリカ西南極オーストラリア北部から多くの化石種が知られる[3]

かつてはオポッサム類に近縁と考えられたが、解剖学的特徴と分子系統学的証拠の両方から、オポッサム類ではなくオーストラリアの有袋類に近縁であることがわかった。ミクロビオテリウム目はオーストラリアの有袋類の目とともにオーストラリア有袋類Australidelphia)を構成するが、最初期においてはゴンドワナ大陸の南アメリカ大陸域で進化したと考えられている。

生物地理学

最古のミクロビオテリウム類はKhasia cordillerensisとされており、ボリビア暁新世初期の地層から歯の化石が見つかっている。暁新世から新第三紀の南アメリカ大陸の化石サイトからは、多くのミクロビオテリウム類の属が知られる。西南極のシーモア島始新世中期の地層からは、多くのミクロビオテリウム類と思われる歯の断片化石が発見されている。オーストラリア北西部の始新世の地層からも、未記載のミクロビオテリウム類の化石が報告されているが、もしこれが事実であれば、有袋類の進化と生物地理学を理解する上で重要な意味を持つものである。すなわち、現在のチロエオポッサムの遠い祖先は南アメリカに残ったが、他の系統は南アメリカ、南極、オーストラリアがゴンドワナ大陸として繋がっていた時に、南アメリカから南極を通ってオーストラリアに至ったと考えられる[4][5]

脚注

  1. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  2. ^ Goin, F. J.; Zimicz, N.; Reguero, M. A.; Santillana, S. N.; Marenssi, S. A.; Moly, J. J. (October 2007). “New marsupial (Mammalia) from the Eocene of Antarctica, and the origins and affinities of the Microbiotheria” (英語). Revista de la Asociación Geológica Argentina 62 (4): 597–603. ISSN 1851-8249. http://www.scielo.org.ar/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0004-48222007000400011 2022年9月10日閲覧。. 
  3. ^ Gardner, A.L. (2005). “Order Microbiotheria”. In Wilson, D.E.; Reeder, D.M. Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. p. 21. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494. http://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=10600001 
  4. ^ Schiewe, Jessie (2010年7月28日). “Australia's marsupials originated in what is now South America, study says”. Los Angeles Times. 2022年9月10日閲覧。
  5. ^ Nilsson, M. A.; Churakov, G.; Sommer, M.; Van Tran, N.; Zemann, A.; Brosius, J.; Schmitz, J. (2010-07-27). Penny, David. ed. “Tracking Marsupial Evolution Using Archaic Genomic Retroposon Insertions”. PLOS Biology (Public Library of Science) 8 (7): e1000436. doi:10.1371/journal.pbio.1000436. PMC 2910653. PMID 20668664. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2910653/. 



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