ミイラ
『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(ソマーズ) 紀元前1290年のエジプト。司祭イムホテップは王の愛妾と関係を持ったため、肉食スカラベの群れに身体を喰われる極刑を受け、ミイラにされて、都ハムナプトラの墓所の棺に葬られた。それから3千年後の1926年。探検隊が、ハムナプトラの財宝を発掘しようと墓所へ入り、古代の書物の呪文を声に出して読んだので、イムホテップとその部下のミイラたちが甦ってしまった。探検隊はミイラたちと闘い、古代の呪文の力を借りてイムホテップを倒した。
『木乃伊(ミイラ)』(中島敦) 紀元前6世紀。ペルシアの武将パリスカスは、エジプトの地下墓室で木乃伊を見て、それが自分の前世の身体であることを悟った。同時に、「前世の自分」が、「前々世の自分」である木乃伊を見る記憶もよみがえった。こうして、「前世の自分」は「前々世の自分」の生活を思い出し、「前々世の自分」はさらに「前々々世の自分」を思い出す、というように、記憶が無限に連続しているのかもしれなかった。
*前生の自分、前々生の自分、前々々生の自分、前々々々生の自分→〔髑髏〕3bの『三つの髑髏』(澁澤龍彦『唐草物語』)。
★3.豆ミイラ。
『リビアの月夜』(稲垣足穂) 月夜のサハラ砂漠で、「私」は1本の駱駝の骨を拾う。骨の中で何かがコトリと鳴ったので、折ってみたら小さな棺が出てきて、中に豆ミイラが入っていた。ハーヴァード大学の教授と一緒に拡大鏡でミイラを調べ、棺の象形文字を解読すると、クレオパトラであった。
★4.ミイラの夢を見る。
『木乃伊の口紅』(田村俊子) 文筆の道で身を立てようとするみのるは、働きのない夫・義男と別れようかどうしようか、ふんぎりがつかないでいた。ある晩、みのるは不思議な夢を見た。男の木乃伊と女の木乃伊が、お精霊(しょうらい)様の茄子の馬のような格好で、上と下に重なり合っている。その色が鼠色だった。眼ばかりの女の顔が上に向き、唇が真っ赤な色である。それが大きな硝子箱に入っているのを、みのるは立って眺めていた。義男に夢の話をして「何かの暗示に違いない」と言うと、義男は「夢の話は大嫌いだ」と言った。
『眠りと旅と夢』(小松左京) アンデス山中で発見された1000~1200年前の男性のミイラには、かすかな生命反応があった。ミイラの脳波を計測すると、星座や星雲がディスプレイに映し出された。調査隊の一員である「ぼく」は、疲れて眠った夢の中で、ミイラの魂と接触する。彼は1000年以上に渡って、宇宙空間を超光速で航行しており、宇宙の果てへ巡礼の旅をしていた。生前の彼は修行し訓練を重ね、現実世界では不可能な夢の旅に出発したのだ。しかも彼が航行しているのは、現実の宇宙空間なのだった。
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