マツタケとは?

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マツタケ

学名Tricholoma matsutake (S. Ito et Imai) Sing.
キシメジ科 キシメジ属
マツタケ
毎年秋になれば、必ず話題にのぼるきのこである。その割に山で本物にお目にかかった人は少ないようで、「このきのこは食べられますか」とマツタケを持って来る鑑定依頼人もいる。 「このきのこは一度食べると病みつきになってしまうマツタケというきのこです」と話すと、当の本人びっくり仰天。 来る時にはビニールの袋の中に無造作放り込んで持ってきたのに、帰りにはうやうやしく紙に包んでもって帰る。 ほかにもいろいろ持ってきたきのこは「もう必要ありませんから処分して下さいと言って見むきもしない。そんな中に案外おいしいきのこがあったりするのだが。 このマツタケは、アカマツ林以外ではツガコメツガなどの林でも採れる。

特 徴
傘は初め半球形で後には平らに開き表面褐色繊維状の鱗片でおおわれる。ひだは白色で柄に湾生し並び方は密。柄は傘の表面と同様の鱗片でおおわれるが、 つばから上部白色


ウィキペディア

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マツタケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/12/28 02:34 UTC 版)

マツタケ
Tricholoma matsutake(S.Ito et Imai) Sing.
Matsutake.jpg
松茸の下に敷かれるのはサワラの葉。殺菌効果がある。
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : 菌蕈亜門 Hymenomycotina
: 同担子菌綱 Homobasidiomycetes
: ハラタケ目 Agaricales
: キシメジ科 Tricholomataceae
: キシメジ属 Tricholoma (Fr.) Quel.
亜属 : キシメジ亜属 Tricholoma
: マツタケ節 Genuina
: マツタケ T. matsutake
学名
Tricholoma matsutake (S. Ito et Imai) Sing.
和名
マツタケ

マツタケ松茸Tricholoma matsutake(S.Ito et Imai) Sing.)はキシメジ科キシメジ属キシメジ亜属マツタケ節のキノコの一種。養分の少ない比較的乾燥した場所を好む。秋にアカマツコメツガツガハイマツなどの林の地上に生える。まれにクロマツ林にも生える。梅雨頃に生える季節外れのマツタケをサマツ(早松)と呼ぶ地方もある。菌糸体の生育温度範囲 5-30℃、最適温度 22-25℃。最適pH 4.5-5.5。菌糸の成長速度は遅い。

独特の強い香りを持ち、日本においては食用きのこの最高級品に位置付けられている。

なお、マツタケの仲間にはよく似たきのこが多数確認されており、採集、分類、購入の際には十分注意を要する。しかしながらほとんどは食用で、日本国内では毒キノコは確認されていないため、マツタケ特有の香りがあれば食用可能と考えられる。

目次

マツタケの生態

マツタケはマツ属 (Pinus) などの樹木の根と、外生菌根または外菌根と呼ばれる共生体を形成して生活している。マツタケは宿主樹木から同化産物を吸収して生きているが、近年の研究により双方に利益のある相利共生となっている事が判明した[1]

マツタケの子実体は典型的には環状のコロニーを作って発生し、その領域を「シロ」と呼ぶ。その語源は「白」とも「城」あるいは「代」とも言うが定かではない。シロの地下にはマツタケの本体である菌糸体が発達しており、土壌が白くなっている。マツタケは貧栄養な比較的乾燥した鉱質土層に生息し、そこに分布する宿主の吸収根と共生する。地表に落枝・落葉などが蓄積して富栄養化が進み、分厚い腐葉土のようになると、マツタケの生息環境としては不適である。また、腐生植物であるシャクジョウソウ科のシャクジョウソウはマツタケなどのキシメジ科の菌に寄生することが知られ[1]、イボタケ科のケロウジは、マツタケ同様の菌根菌であるが、マツタケの「シロ」を排除して縮小させ、自らの「シロ」を形成する。そのため、これらはマツタケの大敵とされている[2]

1999年スウェーデンのE. DanellらがDNA解析により、近縁種とされていたヨーロッパ産のきのこ (T. nauseosum) とマツタケが同一であることを突き止めた。T. nauseosumの方がマツタケ(1925年)より20年前(1905年)に学名を付けられていたが、有名なT. matsutakeを保存名として学名は変更しないとしている[3]

近年中国の四川省雲南省からマツタケが出荷されているが、この地域に分布するマツタケはマツ類ではなくブナ科樹木(マテバシイ属、コナラ属シイ属あるいはクリ属が含まれる)を宿主としており、現在その生態や分類に関する研究が行われている。

2008年独立行政法人森林総合研究所財務省関税中央分析所、信州大学農学部、滋賀県森林センターの共同研究により、DNA分析によるアジア産マツタケ (T. matsutake) の地理的タイピング法が開発され、形状では判別できない産地の判別方法として実用化が期待される[4]

農産

松茸

収穫と流通

マツタケを採るのは難しい。通常のきのこのように地表に顔を出て傘が開ききってしまえば、香りも味も落ちる。このため、地表からわずか1-2cm程度、顔を出したところを見極め、根本から押し上げるようにして採取する。シロの場所を知らない人間が、やみくもに探しても採取できない理由はこの点にある。 現在のところ栽培することができず、自然に発生したものを収穫する。入会地の過剰利用などにより退行遷移を起こしてアカマツが優占するようになった(コモンズの悲劇一歩手前で抑制がかかった状態である)里山はマツタケにとっては適した環境であるため、過去には日本でも多く取れ、庶民の秋の味覚として親しまれた。「松茸列車」と呼ばれる、国産松茸を満載した貨物列車が毎日東海道本線を走ったほどである[5]。しかし、松の葉や枝を燃料肥料として利用しなくなりマツ林の環境が変化したことにより収穫量が激減した。そのため、現在では高価な食材の代表格となっている。

1993年の様な冷夏で雨の多い年は多く発生するが、夏が暑く8月中旬から9月末頃の降水量が少ない年は、収量が減少する。

最近では市場流通量のほとんどが輸入品で占められ、中でも韓国北朝鮮中国(特に吉林省黒龍江省雲南省四川省)からの輸入が多い。2007年10月現在では北朝鮮産については2006年10月の核実験をきっかけとする経済制裁で輸入が止まっており、中国産については残留農薬(殺虫剤)問題に端を発する市場の不信感から価格が低迷している。北米からは別種のT. magnivelareが輸入されているが、それを含め類似の形態・食味・香りを持つきのこは市場では一括して「松茸」として扱われている。

北米のT. magnivelareは、日本のマツタケとは異なり自然度の高い森林に発生する。きのこを採集するために熊手(レーキ)で落葉層を掻くなどして地表を攪乱することは、樹木の細根を傷つけ生態系へのダメージとなる。このためアメリカではきのこ狩りに規制がかけられており、一時はこのきのこをワシントン条約に基づき保護する対象とすることが検討された[6]

主な産地

海外の産地

日本に輸入される主な海外産地として以下が知られる。

これらの輸入マツタケは原産地での風味に於いては国産品に劣らないが、流通過程において風味が劣化していると言われる (主な要因は、植物防疫法により微量でも土が付着した状態での輸入が禁止されているので、洗浄が避けられないことにある)。

日本における歴史

日本のきのこ食文化の歴史は古く、縄文時代中期(紀元前2000年頃)の遺跡から、縄文人がきのこを食物として利用していたことを示めす遺物(きのこ形土製品)が多数発見されており、岡山市の弥生時代の百間川兼基遺跡からは、マツタケを模した「土人形」が出土している[7]

日本書紀には応神天皇に「茸」を献上したことが記されており、万葉集には奈良の高圓山のマツタケの短歌が載っており、平安時代になると当時の貴族がマツタケ狩りを季節の行事として楽しむようになり古今和歌集古今集拾遺和歌集にしばしばマツタケの歌が詠まれている[8][7]

桃山時代になると、武士もマツタケ狩りをしていた様子が記録として残されており、江戸時代になると一般大衆もマツタケを食していたことが江戸時代の料理本「本朝食鑑」に記録されている[7]

韓国の報道機関からは「マツタケへの日本人の愛着は他の追従を許さない」「(1200年前の万葉集に読まれるなどの歴史からして)日本人のマツタケへの愛はすでに遺伝子に刻印されている」とも言われ、日本人のマツタケへの愛着・研究から学名(Tricholoma matsutake)と日本語の読みが使われるようになったほどである[9]

利用

日本では一般に香りが良いとされ(独特の香りを嫌う人もいるが)「香り松茸 味シメジ」という言葉があるほどである。土瓶蒸しや松茸ご飯など香りを生かして食べることが多い。ほかのキノコと同様に、マツタケも加熱により旨み成分が増えるため、生で食べても旨みは感じない。

マツタケの香りの成分の元である珪皮酸(後述の文を参照)の香りは日本人と馴染みが深い大豆に近いものであるため、馴染みがない人間からするとマツタケの香りは強烈な悪臭としか感じられなく、欧米などでは「軍人の靴下の臭い」」「数ヶ月も風呂に入っていない不潔な人の臭い」などと言われ、嫌われることが非常に多い。学名のトリコローマ・ナウセオスムはラテン語で「臭いキノコ」という意味である。

この香りの主成分は、1938(昭和13)年、農学博士岩出亥之助により解明され、マツタケオールと呼ばれる1-オクテン-3-オール 1-Octen-3-oltrans-2-オクテン-1-オール trans-2-Octen-1-ol 、およびケイ皮酸メチル methyl cinnamate からなるとし、人工合成にも成功した。特にマツタケ特有の香りを生んでいるのはケイ皮酸メチルである。マツタケの香りを再現した安価な合成香料も「マツタケエッセンス」などとして市販されている。

注意

古くなったマツタケを食べると、激しい嘔吐、むかつきや下痢などの中毒症状に見舞われるため十分注意する必要がある。これは、マツタケのアミノ酸が有毒成分 (ヒスタミンフェニールエチルアミン) に変化するためだろうといわれている。(福井のきのこより)[10]

栽培の試み

マツタケ用培地などの人工基質上でもマツタケの菌糸体を培養することは可能である。しかし商業栽培される多くのきのこに比べると生長は遅い。現在のところ、マツタケのきのこを人工基質上で発生させることはできておらず、エノキタケブナシメジなどで行われているような、ビン栽培などの完全な人工栽培を行うには未だ課題が多い。

発生する森林の「雑木の間伐」、「落ち葉掻き」、「落ち枝拾い」など環境の整備を行う事によって林床を貧栄養状態にする[11]。更に、マツタケ胞子の散布などでシロを発達させ、マツタケの増産を目指すことも行われており、こちらは一定の成果が得られる場合もある[12] 。 発生する山林への潅水についての効果は不明との報告もある[13]。昭和30年代の山林は多く発生したことから、当時の状態の山林に戻そうという動きもある。

タカラバイオはマツタケのゲノムの解析に成功し、きのこに成長する鍵となる遺伝子の特定に精力を注いでいる。同時に人工栽培を可能にする為の研究を進めている。

マツタケの人工栽培をめぐる騒動

最近では2003年シイタケとマツタケの菌を混合して人工栽培に成功したと称する「融合マツタケ」が大手マスコミに取り上げられて話題となったが、その正体は単なるシイタケだった。マツタケが高価であることから、過去にも類似した詐欺的商法が出現したことがある。[14]

マツタケの名のつくキノコ

同属

バカマツタケ (T. bakamatsutake Hongo)
  • マツタケモドキ (T. robustum (Alb.&Schw.:Fr.) Ricken sensu Imaz.)
  • バカマツタケ (T. bakamatsutake Hongo)(この2種は良く知られている)
  • ミナミマツタケ(バカマツタケの亜種
  • ニセマツタケ (T. fulvocastaneum)
  • シロマツタケモドキ (T. radicans Hongo)

属が異なるもの

  • カブラマツタケ (Squamanita umbonata (Sumst.) Bas) (単生することが多い。根本がカブのように膨らんでいることで識別可能)
  • ヤナギマツタケ (Agrocybe cylindracea)(ヤナギの木に生えるのが由来。マツタケの由来は、幼菌時に微かにマツタケの匂いを発することからと言われる。栽培もされている。)
  • オオモミタケ (Catathelasma imperiale)(マツタケと呼ばれることがある)

がある。

脚注

  1. ^ a b 鈴木和夫『根圏における生物共生機能の解明』平成16年度科学研究費補助金(基盤研究(S))研究状況報告書
  2. ^ 松茸名人長野県 上伊那地方事務所農政課
  3. ^ The Swedish matsutake and the Japanese matsutake are the same species! The Edible Mycorrhizal Mushroom Research Group
  4. ^ マツタケのDNA原産国判別法
  5. ^ 雑誌「身近な"?"の科学 マツタケ」Newton200811月号120~121頁、担当筆者編集部高嶋秀行、ニュートンプレス
  6. ^ 『特産情報』プランツワールド、2001年4月号6ページ
  7. ^ a b c 日本特用林産振興会きのこの食文化
  8. ^ 不二食品松茸と昆布の由緒正しい歴史
  9. ^ 2006.10.15 中央日報マツタケの受難
  10. ^ 毒きのこではないが中毒の報告のあるもの 滋賀大学 毒キノコデータベース
  11. ^ 山村の起業 森林資源の新たな利用
  12. ^ 京まつたけ復活・里山再生まつたけ「十字軍」運動
  13. ^ 散水によるマツタケの増産効果 —長野県諏訪市マツタケ山の事例調査から—日本森林学会中部支部
  14. ^ 『イカサマツタケの研究:岩田眞人』

参考文献

  • 山中勝次 『キノコワールド最前線』 東京書籍。
  • 太田明「ホンシメジの実用栽培のための栽培条件」、『日本菌学会報』第39巻第1号、1998年、13-20。
  • 福井きのこ会(編著) 『福井のきのこ』 本郷次雄(監修)、福井新聞社

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