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ボーイング747
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/15 09:32 UTC 版)
(ジャンボ機 から転送)
ボーイング747
ボーイング747(Boeing 747)は、アメリカのボーイング社が開発した大型旅客機。航空機による安価な大量輸送を実現し、それまで一般庶民にとって“高嶺の花”であった航空旅行(特に海外旅行)を可能にした画期的な機体である。現在も最新型が生産中である。また、同社の民間航空機部門唯一の4発ワイドボディ旅客機でもある。
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概要
1969年2月に初飛行してから、その後多くの改良を重ねながら現在でも生産が続けられているロングセラーの旅客機で、エアバスA380が初飛行するまでは世界一巨大な旅客機であった[1]。「ジャンボジェット(Jumbo Jet)」の愛称で呼ばれる。この愛称は、19世紀後半にロンドン動物園やバーナム・アンド・ベイリー・サーカスで活躍した有名なアフリカ象、ジャンボの名前に由来する。
当初ボーイング社では、「鈍重なイメージがあるこの愛称は最新鋭機にふさわしくない」としてこの愛称を認めず、「スーパーエアバス」としていた。しかし「ジャンボジェット」が一般に受け入れられていることや、1970年代に「エアバス・インダストリー」社がヨーロッパにおいて航空機製造を開始したこともあり、現在ではボーイング社も公式の場で用いることが多い。
アメリカや日本、アラブ首長国連邦など世界各国の政府首脳専用機や、NASAのスペースシャトル輸送機等にも転用されている。なお、2008年7月現在までの航空会社1社による合計発注機数は、日本航空の113機が最多である。
開発の経緯
1960年代の国際航空路線は、1950年代に開発されたボーイング707やダグラスDC-8など、通路を1本持った乗客数150 - 200人の機体(ナローボディ機)が主力であった。パンアメリカン航空や日本航空、エールフランス航空や英国海外航空などの各国の主要航空会社はこれらの機体を使用して旅客の獲得競争をしていた。
しかし当時のアメリカのフラッグ・キャリアで、国際路線のパイオニアを自負していたパンアメリカン航空は、当時開発が進んでおり、1970年代以降の航空運送における主力になると考えられていたボーイング2707やアエロスパシアル・コンコルドなどの超音速旅客機と並ぶ次世代の旅客機として、従来機の2倍以上(350 - 450人)の乗客を乗せる大型機の開発をボーイング社に要求した。
当時のボーイング社はアメリカ空軍の次期戦略輸送機計画[2]でロッキード社に敗れた直後であり、その基本計画を技術、人員共に転用することでパンアメリカン航空の要求に応えた。計画当初は現在のA380のような総2階建の旅客機という案も存在したが、FAAの事故の際90秒以内に乗客全員が緊急脱出できるように求めた条件を達成することができないため2階客室案は断念された[3]。
なおこの大型機は、超音速旅客機の就役の際には貨物機として転用することを見越し、当時の物流の主流であったコンテナを横2列積めるような胴体直径とし、それらを前から積むことを考え、あえて機首部分の操縦席および乗員収用部を二層構造に設置するという特異な形状の機体となった[4][5][6]。
ただ、当時の航空需要から考えるとこの機体サイズはあまりにも大きく、ボーイング社内でも懐疑的な雰囲気があったが、パンアメリカン航空の名物会長ファン・トリップの強い意志と、上述の通り将来的に需要が増えると予想された貨物機に転用する見込みにより計画が進められた。計画が公表されパンアメリカン航空が20機を発注したことが発表されると、同社との競争上の脅威にさらされるノースウエスト航空や日本航空、英国海外航空やトランス・ワールド航空など世界各国のフラッグ・キャリアを中心とした航空会社からの発注が続き、計画は進んだ。
しかし、エンジンが初期のカタログ以上の性能を出せず、最高速度の不足、航続力の不足が生じた。これらは運用上深刻な問題で、このため全面的な軽量化の必要が生じ、設計の再検討を余儀なくされ、各部の重量軽減でエンジン出力の低下をカバーする措置がとられた。その後、水噴射システムを装備することにより離陸重量の引き上げを行うなどエンジンは強化されたものの、軽量化で生じた脆弱性は、ノーズギア付近の補強をはじめ、様々な改修という形で影響しつづけた。
なお、その後旅客機の主力となると思われていた超音速旅客機は、技術上やコスト上の観点から、ボーイング2707のように開発が停止されたり、コンコルドのように各航空会社が発注を相次いで取り消し、その後開発される機体も現在に至るまで現れなかったことで、航空運送の主役となることはなかった。
技術的特徴
ボーイング747は一度に多くの旅客を運ぶ超大型機であるため、安全確保のためには当時の最新鋭の技術や新機軸が多用された。また超大型機にもかかわらず従来と同じ飛行場で運用できるように設計された。
安全性
経済性を考慮して、フェイルセーフ(fail safe)を全面的に採用している。これは少々の故障では墜落せず、直近の飛行場まで安全にたどり着けるように設計配慮し、完全な飛行機(セーフライフ)を維持整備するための過大な点検と交換のコストを抑えるための方針であり、747の「信頼性整備方式」による経済性を支えた大きな力である。
- 4基エンジン
- 多くの旅客機が2基のエンジンを備えるのに対し、4基のエンジンを備えることはエンジン故障による飛行不能の可能性が極めて低いと言える。3基のエンジンが停止しても1基のエンジンだけで飛行を続けることが可能であり、各エンジンより油圧を取り出すことにより4系統の独立した油圧システムを実現している。
- 慣性航法装置(INS)
- ジャイロにより空間に対する移動方向を求め、加速度を検出し積分することで自機の位置を算出し、目的地まで飛行するための装置。当時、すでに戦略(巡航)ミサイルの誘導に使われていた技術であったが、民間での使用は初めてだった。747は高価な機体だったため、少々航法装置にコストを掛けても全体のコストへの影響は少ないとして搭載された。航法装置は万が一の故障に備え、同時に3基のコンピュータに同じ航法計算をさせそれぞれの算出結果を比較し、多数決によって判定するシステムを採用。特定の1基が他と異なる結果を出しつづけた場合、故障とみなされる。
- 油圧・電気系統
- 油圧や電気の系統は2重から4重の冗長性を持たせた。しかしながら、日本航空123便墜落事故では油圧配管が上部に集中している機体尾部が破壊されたため、全ての油圧が失われて墜落につながったとされた。この点は設計ミスとして改修を余儀無くされている。
離着陸
それまでの旅客機は、機体が大型化するたびに離着陸に要する滑走距離が伸び、滑走路の延長が必要であった。747は当時の707やDC-8と同じ距離の滑走路で離着陸できるよう設計された(離着陸するには最低でも2500m必要で、安全に余裕を持たせるため3000m以上あった方が望ましい)。
- 強力な高揚力装置
- 主翼後縁の3重隙間フラップ(トリプル・スロッテッド・フラップ)をボーイング727に引き続き採用。主翼前縁は内側がクルーガーフラップで、外側が可変キャンバーフラップ。これらの高揚力装置によって離着陸時の速度を下げることができ、巨大な機体の割に従来機と同等の離着陸速度と滑走距離を得た。
- 主翼上面スポイラー
- 着陸直後に主翼上面に大きな板が6枚立つ。これがスポイラーと呼ばれる装置で、主翼が発生する揚力を低下させることで車輪ブレーキの効果を高め、加えて空気抵抗によるブレーキ効果を生み、着陸後の滑走距離を短縮する。
客室
- 2階建て
- 元来貨物機を念頭に、操縦席を上部デッキに配置する形で設計されたこともあり、ジェット旅客機としては初の2階建て客室を持つ機体となった。当初2階はファーストクラス乗客用のラウンジとして設定する航空会社が多かった(日本航空は1970年代に、「スカイスリーパー」と銘打った完全なベッドにもなるファーストクラス座席を長距離国際線で設定していた)が、その後殆どの航空会社が客席とギャレーとして使用することとなった。現在はエコノミークラスでは横6席、ビジネスクラスでは横4席で使用されることが多い。階段は初期の機体は螺旋式階段であったが、後に直線(下部で曲がる)式階段に改められている。-300/-400型では2階客室部分が延長されたことから、階段の位置が少し後ろに移動した上に完全な直線階段となっている。また、階段上部に可動式のパーティーションが設けられている。2階の客室の収納はメインデッキと比べて天井が低くなるため、初期の機体は窓側座席横にのみ設置されていた。その後-300/-400型では初期の機体と比べて天井に余裕が出来たため、窓側座席横とオーバーストウェッジの二箇所に収納が確保されている。また、一部の航空会社では地下の貨物室部分に調理場を設けて3階建てとしているほか、多くの政府専用機が機体前部の貨物室部分から機体へ乗り降りが出来るように機体収納式のタラップを付けるなどの改造をしている。
- 2本通路(ワイドボディ)
- 機体および客室の幅が最大部で6.1メートルと、従来のボーイング707型機(最大部で3.54メートル)やボーイング727型機などのいわゆる「ナローボディ」機に比べ飛躍的に広がったことを受け、ボーイング707型機がエコノミークラスで横6席であったものが、横9席(後に短距離路線専用のSRが横10席を採用したことを機に、中長距離路線においても横10席が標準となった)に広がった。また、客室の幅が広がったために旅客機として世界で初めて通路が1本から2本となっている。但し、通路が2本となっているのはメインデッキの部分であり、2階席部分となるアッパーデッキは通路が1本となっている。
- 500席超
- 客室の幅や全長が飛躍的に広がったことを受け、日本国内線専用に開発され、日本航空がローンチカスタマーとなったSR-100型では、最大500席を超える座席数を設けることが可能となり、実際に全日空が500席以上を設定した。またその後日本航空のみが導入した2階客室部分が延長された-300SR型や-100B/SUD型、日本航空と全日空のみが導入した-400D型では、約550席程度とさらに多くの客席を設けることが可能となった。
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- ^ 但し、エアバスA380が実機としてロールアウトしたのは2005年であるため、航空史上、20世紀における世界最大の旅客機となっている。
- ^ これが輸送機C-5Aを生んだ
- ^ 佐貫亦男『ジャンボジェットはどう飛ぶか』
- ^ 結果として超音速旅客機の就役はなかったものの、ボーイング777の登場により旅客型の主力の座を譲ることとなった際には、この設計が役立ち、貨物型の受注が好調となっている。
- ^ 現存の民間旅客機で最前部にあるL1・R1ドアより前にキャビンが設置できるのは747のみだが、この開発経緯による名残であり、また流線形を体感できる部分である
- ^ このことから、A380よりも計画性がある。と747の当時の設計を評価する人もいる。[要出典]
- ^ 2000年代に入ってからは、各航空会社の燃費に対する意識がさらに強くなり、A340でさえ燃費が悪い(四発機であるため)としてボーイング777に切り替える航空会社もある。例:エア・カナダ、オーストリア航空など
- ^ 2008年12月現在、出典:月刊エアライン2009年3月号
- ^ 自社発注の-200Cを放出後長らくはDC-10とMD-11が主力だった
- ^ 現在殆どの機材が塗装変更済み
- ^ イカロス出版「旅客機型式シリーズ3 Boeing747classic」p109
- ^ 2008年3月に登録抹消された。
- ^ トランスアエロ航空で使用中。
- ^ イカロス出版「旅客機型式シリーズ3 Boeing747classic」p82
- ^ この時からボーイング社顧客番号H6が付けられるようになった。
固有名詞の分類
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