ボツリヌス毒素とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 化学物質 > 毒素 > ボツリヌス毒素の意味・解説 

ボツリヌス‐どくそ【ボツリヌス毒素】


ボツリヌス毒素 [Botulinum toxin]

 食中毒原因菌としてよく知られているボツリヌス菌は非常に強毒性神経毒素であるボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス毒素はタンパク質性で、細菌毒素としては最初に結晶化された毒素である。この毒素作用は同じであるが抗原的に違うA,B,C,D,E,F,Gの7種の毒素知られている。その内A型毒素これまで知られている全ての生物毒の中で最も毒性強くヒト対す致死量は1μg(1g100万分の1)といわれている。この毒素加熱比較的弱い(100で1分、8510分)が、酸性では抵抗性がある。この毒素最初菌体内でつくられるが、細菌自己融解外部放出されるボツリヌス食中毒ブドウ球菌食中毒場合同じように、ボツリヌス菌食品内で増殖して毒素をだし、その毒素含む食品摂取した場合発症する
また、この毒素(C,D型以外)は毒性部分(軽鎖)と無毒部分(重鎖)から成り、その複合体の形で産生され細菌自体酵素トリプシンのようなタンパク質分解酵素分解されてから毒性がでる。したがって、この細菌による食中毒場合(E型)は、毒素消化管内でトリプシン分解活性化され毒性がでて発症する考えられている。ボツリヌス毒素は神経-筋接合部自律神経シナプス作用して神経伝達物質であるアセチルコリン放出阻害するので、弛緩性麻痺(まひ)をおこす。なお、この毒素細菌ウイルス(ファージ)の遺伝子によって産生されると考えられている。

ボツリヌストキシン

(ボツリヌス毒素 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 16:34 UTC 版)

ボツリヌストキシン(Botulinum toxin (BTX) or Botox)は、分子量が15万ほどのタンパク質で、ボツリヌス菌が産生する複合体毒素である。ボツリヌス毒素とも呼ばれる。毒素産生菌は、毒素型によりA,B,C,D,E,F,G の7種類に大別されているが、産生される毒素も抗原性の違いによりA,B,C,D,E,F,G の7種類に分けられている。医薬品としては筋肉を収縮させないよう働く作用を利用して、痙縮の緩和や美容に用いられる。


  1. ^ 阪口玄二、「ボツリヌス菌毒素の構造と機能」『日本細菌学雑誌』 1988年 43巻 6号 p.951-960 , doi:10.3412/jsb.43.951
  2. ^ JAMA 2001;285:1059-1070
  3. ^ Merck Index 13th ed., 1345.
  4. ^ ボツリヌス症 (PDF) 国立感染症研究所 平成24年12月07日
  5. ^ 藤永由佳子, 松村拓大, 阿松翔, 菅原庸, 油谷雅広, 「ボツリヌス毒素研究の新知見」『日本食品微生物学会雑誌』 2015年 32巻 2号 p.104-109, 日本食品微生物学会, doi:10.5803/jsfm.32.104
  6. ^ 小崎俊司、「阪口玄二先生とボツリヌス毒素研究」『日本食品微生物学会雑誌』 2015年 32巻 2号 p.101-103, 日本食品微生物学会,doi:10.5803/jsfm.32.101
  7. ^ 吉田眞一、柳雄介、吉開泰信編『戸田新細菌学』改訂33版、南山堂、2007年 ISBN 9784525160135
  8. ^ Rossetto O, Seveso M, Caccin P, Schiavo G, Montecucco C. "Tetanus and botulinum neurotoxins: turning bad guys into good by research." Toxicon. 39 27-41 (2001) PMID 10936621
  9. ^ Montecucco C, Rossetto O, Schiavo G. "Presynaptic receptor arrays for clostridial neurotoxins." Trends Microbiol. 12 442-446 (2004) PMID 15381192
  10. ^ 米軍生物研究所公表資料、1964年
  11. ^ ボトックス注射を使った過活動膀胱治療が、やっと日本でも保険適用されました!! 泌尿器科|五本木クリニック
  12. ^ エラボトックス10選!安いおすすめクリニック・効果・デメリットまとめ”. quuuun.com. 2022年1月27日閲覧。
  13. ^ 桑満おさむボトックスの種類と特徴、代表的な3つのボツリヌストキシン製剤について (五本木クリニック)
  14. ^ ボトックス|美容皮膚科・さいたま市浦和|OZI SKIN CLINIC”. www.ozi-skin.com. 2021年11月26日閲覧。
  15. ^ グラクソ・スミスクライン株式会社インタビューフォーム
  16. ^ Seng Han Lim, Yuanyuan Sun, Thulasi Thiruvallur Madanagopal, Vinicius Rosa, Lifeng Kang (2018-1). “Enhanced Skin Permeation of Anti-wrinkle Peptides via Molecular Modification”. Scientific reports 8 (1): 1596. doi:10.1038/s41598-017-18454-z. PMC 5785486. PMID 29371611. https://doi.org/10.1038/s41598-017-18454-z. 
  17. ^ 感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について 厚生労働省
  18. ^ a b c 感染症法改正に伴うボツリヌス菌・毒素のバイオセキュリティ対応 国立感染症研究所 感染症情報センター 病原微生物検出情報 Vol.29 p.42-44: 2008年2月号


「ボツリヌストキシン」の続きの解説一覧

「ボツリヌス毒素」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ボツリヌス毒素と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ボツリヌス毒素」の関連用語

ボツリヌス毒素のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ボツリヌス毒素のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
微生物管理機構微生物管理機構
Microbes Control Organization Ver 1.0 (C)1999-2024 Fumiaki Taguchi
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのボツリヌストキシン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS