ペルソナ・ノン・グラータとは? わかりやすく解説

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ペルソナ・ノン・グラータ

別名:好ましくない人物好ましくない者好ましからざる人物
英語:Persona non grata

外交上、受け入れる側の国にとって歓迎できない受け入れられない)と見なされた者を指す語。ラテン語Persona non grata」が用語としてそのまま用いられている。

ペルソナ・ノン・グラータは「外交関係に関するウィーン条約」に基づく概念であり、もっぱら外交官接受拒否する意味で宣言通告される。接受国による使節団長)の承認受け入れ概念を「アグレマン」と呼ぶが、ペルソナ・ノン・グラータはアグレマン拒否取り消しとも捉えられる

使節がペルソナ・ノン・グラータとして通告され場合使節派遣した国は当の使節外交任務終了させ、本国呼び戻さなくてはならない。なお、接受国の側にはペルソナ・ノン・グラータと見なし理由釈明する義務はない。

ペルソナ‐ノン‐グラータ【(ラテン)persona non grata】


【ペルソナ・ノン・グラータ】(ぺるそな・のん・ぐらーた)

persona non grata.
ラテン語で「好ましからざる人物」「歓迎されざる人物」の意。
ラテン語国際的な言語であった事から転じて国際的な外交交渉相手として相応しくない人物を指す。

一般には、外交使節受け容れる側の接受国が、使節受け入れ拒否する事を指す。
特定の個人対象として「歓迎値しない人物である」と宣告し派遣元に交代要求する
大使公使書記官参事官駐在武官領事その他の外交特権与えられる全ての人間対象にできる。
多にある事ではないが、たとえ国家元首であってもペルソナ・ノン・グラータを宣告される可能性はある。

なぜ歓迎値しないのか、という点について根拠理由明示する義務はない。
理由なく宣告され場合、その理由スパイ密貿易テロリズムなどに関係するもの推定される
単純に品性下劣であるから宣告するという場合もあるが、それによって非難を受ける事は普通ない。
実際、本来の意図は「恥知らず」を外交交渉の場から穏便に排除するであってスパイ対策ではない。

宣告される理由明白に犯罪的な行為証拠を含む場合も、単に儀礼上のトラブルである場合もある。
どちらにせよ、国家の公式見解として宣告する以上、その背景にはそれなりに深刻な事情がある。
誰か個人的な嫌悪感からペルソナ・ノン・グラータが宣告される、などという事は普通あり得ない

この宣告受けた人物は、一定期間後に外交特権剥奪される犯罪容疑があれば逮捕拘禁も可能。
ただし、派遣国はその前に当該人物本国呼び戻す事ができるため、実際に逮捕に至る例はほとんどない


ペルソナ・ノン・グラータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/09 15:22 UTC 版)

ペルソナ・ノン・グラータラテン語: Persona non grata英語: person not welcome)とは、外交官のうち、接受国からの要求に基づき、その国に駐在する外交官として入国できない者や、外交使節団から離任する義務を負った者を指す外交用語である。


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ペルソナ・ノン・グラータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:08 UTC 版)

中川一郎」の記事における「ペルソナ・ノン・グラータ」の解説

CIA諜報活動により、上記のように表向き反共唱えながらも裏では親ソビエト政権樹立画策していたと見なされ、1983年1月首相名代としてのアメリカ合衆国訪問際し「ペルソナ・ノン・グラータに相当する」として入国拒否通告された。こうしたことが彼の死にまつわる疑惑形成することにもなった。

※この「ペルソナ・ノン・グラータ」の解説は、「中川一郎」の解説の一部です。
「ペルソナ・ノン・グラータ」を含む「中川一郎」の記事については、「中川一郎」の概要を参照ください。

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ペルソナ・ノン・グラータ

出典:『Wiktionary』 (2018/07/01 22:50 UTC 版)

語源

ラテン語"persona non grata"の音写

名詞

ペルソナ・ノン・グラータ

  1. 歓迎されない人。招かれざる客
  2. 外交用語接受拒否された外交官

関連語


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